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沖縄記録

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沖縄のあれこれ。
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【沖縄記録 10】座間味へ

【沖縄記録 10】座間味へ

 調査旅行で、一日だけ自由な時間が作れた。せっかくなので、本島以外に行ってみることに。

 朝、とまりんに向かう。伊江島行き以来であった。前回とは違い、そこそこ大きな船である。運が良ければ、くじらも見られるらしい。

 港に着き、自転車を借りる。島内で盗む人はいないということで、鍵はついていなかった。

 島内には、沖縄戦の記録が数多く残っている。

 ほとんどは坂道である。自転車だときついが、の

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【沖縄記録 9】 やんばるのマングローブ

【沖縄記録 9】 やんばるのマングローブ

 沖縄と言えば海のイメージだが、本島北部は結構山深い。

 美ら海水族館や伊江島方面に行くときにも経由するのが名護だが、バスでやんばる方面に行くにもここを通ることになる。今度は日本ハムのキャンプをしていた。

 名護バスターミナルは静かだが、バスの出入りはそこそこ多い。

 あまり天気は良くなかった。乗客も私以外には女子高生が一人。北部へ向けて、バスが出発する。

 「第二宇出那覇」という、珍しい

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【沖縄記録 8】北谷散策

【沖縄記録 8】北谷散策

 沖縄も何回か行くと、那覇以外を楽しみたくなる。

 初めて学校の研究費で行く調査旅行、目的地はやんばるだった。免許のない私は相変わらずバスで移動するとかなく、一日目は宿泊のみ。そこで少し先、北谷に泊まることにした。

 米軍基地がすぐ近い町、北谷。フェンス沿いを歩き、宿へ。那覇の宿よりも沖縄っぽい家だった。屋上で何やら作業している男性が。聞くと長期滞在しているうちに在住を決め、ピザ窯を作っている

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【沖縄記録 7】 伊江島記録

【沖縄記録 7】 伊江島記録

 宿にはいろんな人がいて、いろんなきっかけで旅立っていく。一緒に飲みに行ったある人は、「予約はとってないけど、明日台湾行の船に乗るよ。何とかなると思う」と言って旅立った。そんなことにも驚かなくなる。

 またある人からの情報では、「伊江島がいいよ」とのことだった。沖縄で本島の次に大きな島のようだ。那覇から船が出ているらしい。

 思い立ったら旅立ち時、すぐ現地のドミトリーを予約して、次の日の早朝、

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【沖縄記録 6】行き当たりばったりバスの旅

【沖縄記録 6】行き当たりばったりバスの旅

 沖縄旅では、バスの時刻は本当に読めない。那覇市内はともかく、遠征するときは少々予定が狂うことは覚悟しないといけない。

 そんなわけで私が敢行したのは、「とにかく来たバスに乗る」という旅だった。朝、遠距離用のバス停で待っていると来たのはコザ行き。何があるのかわからないまま、とにかく乗る。

 昼のコザは少しさびしい街だった。

 シャッターの締まった通りを、とりあえず歩いていく。何も調べてこなか

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【沖縄記録 5】 ドミトリーの交流

【沖縄記録 5】 ドミトリーの交流

 二回目の沖縄に向けては、慎重に計画を立てた。まずは時期。これは九月末にした。世間とは違い、学生は夏休みである。また、誕生日割を使うことができるので、旅費を抑えることができた。

 次に、宿。これはドミトリーにした。素泊まりの安宿である。一週間で一万円という格安。ホテルは居心地がいいのだが、中に入ってしまうと全く現地を感じることができない。

 前回からの約半年間の間に、モノレール(ゆいレール)が

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【沖縄記録 4】 語りかけてくる壕

【沖縄記録 4】 語りかけてくる壕

 

 おきなわワールドで楽しんだことについては、軽く触れるぐらいでいいだろうか。とにかくいい所なので、ぜひ訪れてみてください。

 初めての沖縄旅行で最も印象に残っているのは、旧海軍司令部壕である。事前にはリサーチしていない場所だった。非常に整備されてはいるものの、壕の中に入ると妙な湿っぽさが感じられる。

 多くの人がそこで苦しんでいた、ということだった。時には味方をも傷つけたようだった。そし

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【沖縄記録 3】おじさんと一緒

【沖縄記録 3】おじさんと一緒

 全く予想外のことながら、タクシーのおじさんにいろいろと案内してもらうことになった。

 喜屋武岬を後にし、向かったのはひめゆりの塔。思っていたよりもお土産屋さんなどがあり賑やかであった。

「ちゃんとお祈りした?」

 おじさんに聞かれる。一人で来ていたら絶対に体験できない「思い」を感じる。

 その後は平和祈念公園へ。戦没者の名前が書かれたプレートの前で「名前あるかもよ」と言われた。そう、私の

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【沖縄記録 2】 バスを諦め喜屋武岬

【沖縄記録 2】 バスを諦め喜屋武岬

 沖縄二日目。ガイドブックを頼りに目指すのは、本島南部。免許を持っていないため、バスで目指すことになる。

 私はローカルバスが好きである。狭い路地を入っていくと、その土地の香りが感じられるようである。

 そして糸満へ。乗りついでひめゆりの塔など目指そうと思ったところ……ない。乗り継ぎのバスがかなり先までない。もう少し本数があると思っていたので、面食らった。

 そんな私のような旅人を待っている

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【沖縄記録 1】 初上陸初迷子

【沖縄記録 1】 初上陸初迷子

 初めて沖縄に行ったのは大学三年生の春休み。卒論に向けて、調査の旅行だった。

 突然決めて行ったため、完全にリサーチ不足。空港を出るなり「バスの洗礼」に遭った。まったく時間通りにつかないのである。当時、まだモノレールはなかった。

 この時だけは、普通のホテルに泊まった。安宿の存在すら知らない頃である。

 とりあえず一日目は首里城を目指そうとしたのだが、バスを間違える。下りた場所から建設中のモ

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