沖縄記録01

【沖縄記録 7】 伊江島記録

 宿にはいろんな人がいて、いろんなきっかけで旅立っていく。一緒に飲みに行ったある人は、「予約はとってないけど、明日台湾行の船に乗るよ。何とかなると思う」と言って旅立った。そんなことにも驚かなくなる。

 またある人からの情報では、「伊江島がいいよ」とのことだった。沖縄で本島の次に大きな島のようだ。那覇から船が出ているらしい。

 思い立ったら旅立ち時、すぐ現地のドミトリーを予約して、次の日の早朝、那覇の港、とまりんに向かった。

 ちなみにこの日は記録的な大潮の日だったようで、歩道まで海水が上がってきており、テレビカメラも来ていた。何かが起こりそうな予感である。

 船のチケットは釣りショップで購入するのだが、それがわかるまでも右往左往した。何せ地元のおじさんに尋ねても、ほとんど言葉がわからないのである。

 船は予想以上に小さかった。一応事前に聞いていたのだが、とても酔いやすいとのことだった。しかし船酔いしたことのない私は、どこかなめていた。そんなたいしたことはないだろうと……

 出向してすぐ、私は認識を改めることになった。揺れるどころではない、飛んでいる。この日は風が強かったこともあるのだが、大きな波が来ると船がジャンプするのである。しかも、この先この感じが続くと引き返すかもしれないというアナウンス。なにそれ、ただのアトラクションやん……

 先ほどのおじさんたち以外は皆ぐったりとしている。旅人は皆酔うことを避けられないようだ。

 予定より少し遅れて、舟は伊江島へなんとか到着した。宿の人が車で迎えに来てくれていた。食事は自分たちで調理するということで、スーパーで食材を買ってから宿へ。

 宿はほぼ民家で、この日は宿泊客が多いということで大部屋で他のお客さんと一緒ということになった。とはいえ二段別途よりは随分と圧迫感がない。

  晴れていたので、すぐそばの海へ。隣にはホテルのビーチがあったが、どうせ泳がないので普通の砂浜で満足である。ぼーっと海や蟹を眺めて過ごした。

 帰ってくると、他の旅人達も戻ってきていた。一年の半分は仕事、半分は旅をするというおじちゃん。海が目的のお兄さんたち、そしてとりあえず沖縄に来たお兄さん。話が弾み、このお兄さんと伊江島名物の城山(たっちゅー)から夕日を見ようということになった。お兄さんが原付、私が自転車を借りて城山に向かう。

 ふもとから少し頑張って登ると、ちょうど夕日が沈むところだった。

 宿に戻り、皆で食事を作り語らいあう。ふと庭を見ると、拳よりも大きなヤドカリがいた。たまに迷い込んでくるらしい。

 次の日は、別の砂浜にも行った。こちらは他に人もいない、静かな場所である。近くには洞窟もあるようだ。また、アーニーパイルという記者の碑もあった。

 

 来てよかったと思った。私は今でも、沖縄に行く人には伊江島をお勧めしている。

 今度はフェリーで本部に渡り、そこからバスで那覇へ。充実した一泊二日であった。



 


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