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落語ラン vol.26 「御慶ラン」

正月にふさわしい噺というのはいくつもあります。この「御慶」もその一つ。
ところが、私はナマでこの噺を聞いたことがないんですよ。理由は2つあります。一つは、初席(お正月の寄席のプログラム)は、噺家さんの持ち時間が限られているので、これを聞くためには正月のホール落語を見つけるしかありません(といっても、この噺がかかるかは微妙)。
もう一つは、例えば桃月庵白酒師匠が著書(「白酒ひとり壺中の天(白夜書房)」)でも指摘されているように、古今亭志ん朝師匠の御慶がすご過ぎるんですよ、恐らく。特に、前半(年が明けるまで)は、音源を聞いているだけでもスラップスティックな情景が目に浮かぶ素晴らしいものです。
時々、新年の挨拶に「御慶」と書いている方がいらっしゃいますが、その方はほぼ間違いなく落語ファンですね…。

ランニングコース

浅草三間町→湯島天神

あらすじ

貧乏長屋(【浅草三間町】と想定)に住む八五郎は富くじに夢中。今日も女房が着ている義母の形見の半纏を質草にしてまでも【湯島天神】の富くじを買おうとしている。八五郎には自信がある。なぜなら「ハシゴのてっぺんに鶴が止まっている」というめでたい事この上ない夢を見たからだ。八五郎は夢にあやかり「鶴は千年とは・し・ご、つまり鶴の千八百四十五番」を買い求める。ところが、あいにく鶴の千八百四十五番は売れてしまったばかり。がっかりして歩いているところを易者に呼び止められ、夢判断の話をすると、易者はハシゴは下りるものではなく、上がるものだから「千八百四十五番」ではなく、下から読んで「千五百四十八番」を買うべきとアドバイスする。そして、先ほどの富くじの売り場に戻ると、果たして鶴の千五百四十八番があった!そして、これが何とズバリ、一番の千両を当ててしまう…。

浅草三間町

噺の中では、八五郎の住所については言及がありません。ただ、湯島天神からある程度の距離がある貧乏長屋というとやはり浅草三間町ではないでしょうか?同じ富くじを扱った「富久(落語ラン#20)」の主人公久蔵の長屋が三間町ですし。落語では、「元犬」に出てくる桂庵(口入屋)が住んでいるのも浅草三間町ですね。浅草三間町というのは、今の町名にはなく、古地図で見ると駒形橋のたもとの駒形堂から東本願寺の前の通りに出る辺りまでで、台東区雷門1、2丁目、寿4丁目、駒形1丁目の1部が該当します。もっと分かりやすく言うと「駒形どぜう」は昔の駒形町、「バンダイ」は浅草三間町、そのお隣の諏訪神社は諏訪町、といった具合でこの辺りは相当町名が入り組んでいたようです。

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湯島天神

江戸時代、湯島天神の富くじは、谷中感応寺目黒不動と並んで「江戸の三大富」として知られ、なかでも湯島天神は利便性もあって大層にぎわったそうです。訪れたのは、1月2日でして例年であれば受験生と親御さんで溢れかえっているはずですが、新型コロナの影響で今年はさすがに人出も少なかったです。御祭神は、天乃手力雄命(あめのたぢからをのみこと)と、菅原道真公です。湯島天神はもともと458年(御宇2年)創建と伝えられ、その後1355年(正平10年)に道真公を勧請し、1478年(文明10年)には太田道灌公がこれを建て替えたようです。境内には王貞治選手の「努力」碑もあります。

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マップ

https://www.mapion.co.jp/m2/route/35.707368375656706,139.79497434566872,16/aid=d35177/

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