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落語ラン vol.23 「猫定ラン」

忠臣蔵の季節でもありますし、回向院方面に行ってみようと「猫定」をとり上げました。が、この猫定、私は寄席やホール落語では聞いたことがありません。それどころか、圓生師匠の古い音源でしか聞いたことがありませんので、コースは結構手探りでした…。

あらすじ

【八丁堀玉子屋新道】に住む魚屋の定吉。魚屋とは名ばかりで本業が博打打ち。朝湯の帰りに居酒屋で真っ黒な猫を引き取り、熊と名付ける。猫嫌いの女房が湯に行った留守に、熊を相手に丁半博打。すると、熊は半の時には1回、丁の時には2回鳴く。これはいいやってんで、それ以降熊を連れていき連戦連勝。「猫定」と呼ばれるようになる。ある時、江戸に居られない用事が出来て定吉は二か月ほど家を留守にして旅に出る。ところが猫嫌いの女房お滝は、あろうことか若い男を家に引き入れ不貞行為に及ぶ。江戸に帰ったある日、定吉が【愛宕下】の藪加藤へ遊びに行った留守に、女房は間男に亭主殺しをけしかける。その晩はなぜか熊が鳴かないので、早めに引き上げてきた定吉を、【采女が原】で待ち構えた間男は後ろから竹槍で突き殺してしまう。が、とたんに猫定の懐から黒いものが飛び出して、間男も食い殺されてしまう…。

ランニングコース

八丁堀玉子屋新道→愛宕下(藪加藤)→采女が原→回向院

八丁堀玉子屋新道

玉子屋新道という地名は古地図にもありませんで、調べたら今京華スクエアとして京華小学校跡地を利用(コミュニティ施設や早稲田のエクステンションセンターが入っている)している辺りのようです。昔はこの界隈に玉子屋でもあったのでしょうか?ご存じのように、八丁堀は与力・同心が多く住んでいましたから、博徒である猫定はさぞかし住みづらかったのではないでしょうか?

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愛宕下(藪加藤)

藪加藤というのも、まったくなじみのない名称です。古地図で調べてみると、今の虎ノ門ヒルズ周辺に加藤越中守の上屋敷があったようですね。その近くに藪小路という通りがあったので、藪加藤。その中間部屋で賭場が立っていたようです。八丁堀から愛宕までは遠いとまではいきませんが、そこそこの距離ですね。

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采女が原(采女橋)

采女が原も馴染みがありませんが、新橋演舞場の前辺りのようです。昔は伊予今治藩主、松平采女正定基の屋敷があったようですね。新橋演舞場の前の首都高に掛かる橋が「采女橋」です。

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回向院

あらすじには書いていませんが、この噺は結構怖い噺で、おどろおどろしい展開になります。で、ネタバレではありますが、忠猫の熊は猫定の無念を晴らし、間男と毒婦お滝に仇討ちを果たしたあっぱれな猫と奉行から報奨金を得て、回向院に「猫塚」を建て手厚く葬った、ということになっています。が、これは落語の噺であって、回向院には別の由緒が書かれています。詳細調べると、日本橋の時田半次郎という男が貧乏で困っていると、飼い猫が小判をくわえてきた。以来、時田家は栄えたので、その猫を祀ったのが猫塚(回向院の記述では「魚屋」)とのこと。で、この猫塚ですが、義賊ねずみ小僧次郎吉の墓の横にあります。ねずみの横に猫塚というのは面白いですが、ねずみ小僧次郎吉はなかなか捕まらなかったので、受験生やギャンブル好きの人はこの墓を削って持って行くとご利益があると言われていたようです(今は「削り用」に「お前立ち」という石が設置されています)。

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余談1

近隣には吉良上野介上屋敷跡に出来た本所松坂町公園があります。

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余談2

そして、すぐ近くには芥川龍之介の生育の地の表示があります。

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マップ

https://www.mapion.co.jp/m2/route/35.67468549856218,139.7754371351245,16/aid=3b8d6c/


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