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日本美術の楽園・京都国立近代美術館コレクション展で都路華香が特集展示中

 2021年12月現在、生誕150年・没後90年ということで、京都画壇の画家=都路華香の特集展示が、京都国立近代美術館のコレクション展で見ることができます。サムネイルに使った埴輪の絵は、全体像は下の写真のような屏風です。

都路華香《埴輪》1916年

埴輪と埴輪を作る老人と少年を描いた作品なのですが、何とも長閑なほのぼのとした味わいが、都路華香らしい作品です。
 友禅描きで生計を立てた父のそばで、幼い頃から絵に親しんだ華香は、9歳で京都画壇の重鎮・幸野楳嶺の画塾に入門しました。楳嶺四天王として知られる菊池芳文、谷口香嶠、竹内栖鳳の中では最も入門が早く、最年少でしたが、《水底游魚》や《春宵図》などの円山・四条派風の作品は、楳嶺のもとで力を蓄え、画力を磨いたことがうかがえます。そのほか、狩野派や琳派、文人画などからも学び、《埴輪》に見るような味わい深い作品を残しました。今回は、彼が墨で表現した《良夜》を見ることを楽しみにしていたのですが、想像したとおりの力のこもった作品でした。

《良夜》

 橋のところで半分姿を隠した、まん丸い月が、非現実的で幻想的な夜を照らし出しています。夜空は、伊藤若冲で知られる筋目描きを用いて、表現されています。

《良夜》の細部・筋目書きの夜空と波の表現

即興的で、かつやや偏執的な描かれ方をした波も、満月の夜の幻想性を高めてくれています。墨で描き出した月夜の表現は、華香はざまざまなものを残してくれており、どれも素晴らしいものばかりです。
年明け1月16日までの展示なので、お見逃しなく!


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