読書記録『20歳の自分に受けさせたい文章講義 』(古賀史健)2(読了)

古賀史健さんの『20歳の自分に受けさせたい文章講義 』を読み終わりました。

ライターを目指す人には優先的には薦めないという意思に変わりはありませんでした。

こちらの本では、次のような記載がありました。

  • 断定する方が説得力がある

  • 断定するためには論理が重要だ

このような主張に異論はありません。

問題はその方法です。論理の重要性を解く一方で「論理的な文章を書く方法」の説明は十分とはいいがたいのです。

他に、論理は主張と理由と事実の3層であるとも述べていました。

しかし、事実をどのように集めるかの説明は不十分です。
書くべきものは日常の中や頭の中にあるといった、やや乱暴な書き方もしています(ライターとして書く場合、取材や調査を行うほうが一般的です)。

文章に苦手意識のある人に向けて書いた本ですので、本来のターゲットに読まれているのであれば記述自体に問題はないでしょう。ところが、この本がライター志望者に薦められた結果、インプットが足りず、論理性もないまま安易に断定する記事が増えているように感じます。

断定する箇所の前後に理由や事実を列挙するものの、論理が通っていない、事実が不正確、調査が不十分。そのような記事が少なくありません。

この本はあくまで「文章を書くのが苦手な方が第一歩を踏み出すため」にあるのです。文章を書くのが苦手な方には役立つでしょうし、この本を読んでブログやエッセイなどを書きはじめた方がいるのであれば、素晴らしいことだと思います。

しかし、ライター志望の方には、もっと優先度の高い基礎があるのではないでしょうか。

料理で例えるのであれば「電子レンジで作れる料理本」が、料理に苦手意識を持つ方にとって素晴らしい本だったとしても、料理人を目指す方に優先して推奨する本とは限りません。
料理人になるには、包丁の使い方や火加減、衛生管理など重要なことが沢山あるはずです。

衛生管理がわからないまま、料理人になる人がいたら恐ろしいですよね。

同じような理由で、私はライター志望の方にこの本を優先的に薦めることはできません。

私がこの本を読み、ライターには不十分だと感じたことを踏まえて他の本を紹介する予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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