映画『哀れなるものたち』鑑賞メモ
ヨルゴス・ランティモス監督の映画「哀れなるものたち」を観た。
あまりにも世界観が作り込まれているので、観終わった後は、夢から覚めたようなふわふわした気持ちになって、立ち寄ったショッピングモールの地面をきちんと踏めているか、ベラの小さい頃(?)のような変な動きをしていないか心配になった。
音楽や美術、衣装・・これぞ総合芸術といった作り込まれた世界観で、この作品の世界観にしっかり没入できた。
なかでもエマ・ストーン演じる主人公ベラの存在が圧倒的だった。
ベラの、「これがいい!」と思ったものにルールとか関係なく素直に進んでいく様子は、それがどんな選択だったとしても、わくわくととか爽快感を感じさせるものだった。
映画の余韻にふけっていたある日、料理家の平野レミについて知る機会があった。
平野氏は料理の勉強を一切せずにいきなり作りはじめたらしい。鍋にトマトを入れて、次に牛乳・・といった感じで家にあるものをどんどん入れてみて、それがすごく美味しかったのがはじまりだそう。
なんだかベラの生き方みたいだなと思った。
もちろん何事も基礎が大事だと思うし、そこから応用していくのも大事だと思う。ただルールを知らずにいきなりはじめると、誰も思いつかないようなものが出来上がることもある。
そういうふうに出来上がったものをみると、「こういうやり方をしてもいいんだ!」って頭の中で凝り固まってるしきたりやルールがどこかにいく感じがしてスッキリする。
この作品も「新たな女性像はこうあるべきだ!」とかそういうのではなく、「こういう人もいていいよね」っていうユーモアまじりの何かそういうものを感じた。
作り込まれた上質な映像と素敵な女性の生き様を大画面のスクリーンで浴びるように観れた良い映画体験でした。
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