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素敵なダイナマイトスキャンダル

冨永昌敬監督が好きだ、大好きだ。

私が、初めて所謂、ミニシアターに映画を観に行ったのは大学1年生の時だったと思う。

新宿が定期券内になった埼玉県民は浮かれていた。当時、監督で映画を観るという文化があまり無かった私は、「原作」こそが全てだった。本の方が好きだった。

高校生の頃、DVDでみた「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」に痛く心を打たれた私は、原作者である本谷有希子さんの映画が、また公開する!しかも定期券内の映画館だ!という気持ちで、テアトル新宿に「乱暴と待機」を観に行った。

これが、私のミニシアターデビューである。

めちゃくちゃハマった。なにこれ、おもしろ!だった、本より面白いじゃん、と思った。その時、初めて監督が本谷有希子さんじゃないことを知り、冨永さんの存在を知った。そして、映画を監督で観るという見方をし始めたのもこの頃だったとおもう。なので、同時に吉田大八監督も、その前から好きだった「下妻物語」の中島哲也監督も追い始める。

そんな、私の価値観をある種変えてくれた冨永さんの、新作を今日やっと観に行けた、タイミングがあってやっといけた、しかもテアトル新宿で、もうテアトル新宿で冨永さんってだけできゅうってなる。

しかも、めちゃくちゃおもしろかった。
あー、おもしろかったって感じだった。
やっぱり、今回はドキュメンタリーではないけど、ほぼ伝記だし、登場人物も若干被っているから、赤塚不二夫のドキュメンタリーを思い出すけど、全然ちがう。

なんだろう、すごく自然で緩やかで繋がっているんだけど、時空や映画の雰囲気は波がすごくあって、まさしくタイトルの母親がダイナマイトで爆発した回想シーン、表現・芸術に憧れそれを語り夢をみる青年時代、ある種その夢を叶えたはずが芸術の意味が薄くなっていく男お金を得て何かがなくなっていく男の様が緩やかにでも激しく繋がっているのだ。

なにせ、柄本佑が妙にエロいし、カッコいい、本当に魅力的。いや、冨永さんは本当に俳優を魅力的に撮るからだから好き。尾野真千子も、セリフこそ少ないが素晴らしかった。みんなよかった。原作買ったし、すぐ読んだ。

昭和のあのエロとサブカルの混在期。
もし今、この、2018年が過去になった時、そのポジションとなるのはなんなのかとか、そんなこととか考えてみたりしながらも、一番思ったのは、

生きてるなあ。
末井さんは、すごく、すごく生きてる。と思った。

あー面白かった。

あまり映画のこととか書かないようにしたいんだけど、無理だな。

#日記 #エッセイ #コラム #映画 #落花生

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