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医療におけるDX ~Beyond the Pill:医薬を超えて~(1/2)

ぼくはバイオベンチャーの共同創業者の一員として、医療・医薬関連の事業を展開しています(医療・医薬だと概念が限定的になってしまうので、ここでは、より広い概念としてライフサイエンス・ヘルスケアと呼ぼうと思います)。起業は苦しいことばかりですが、医療を革新して、よりよい未来を見たい、というモチベーションで日々を乗り切っています。

さて、日本の医療のレベルは世界的に見ても高水準だといわれていますが、問題がないわけではありません。ずっと大きな変化を嫌ってきた日本の医療業界ですが、近年改革の機運が高まっています。その改革方向性はデジタル技術の介入によって大きなうねりとなりつつあります。

そこで、このNoteでは、医療・医薬といったライフサイエンス・ヘルスケア領域でのデジタル技術の現状とその将来的な変化の方向について概説していきたいと思います。

今回も2部作で、このNote(1/2)では医療でのデジタル活用の必要性と意義をお話し、次の(2/2)では、デジタル活用によって成立する医療の未来についてお話します(次回記事は、12/8水アップ予定です。)。

いまの医療の課題は?

日本の医療技術の水準は高いですが、研究開発などは進んでも、現場へ反映されるためには時間がかかります。特に日本の業界は業務プロセスの標準化・システム化が非常にうまいので、一度業務フローが確立すると業務効率が高い半面、変化しにくい硬直性を生み出してしまうという問題があります。

このことによってさまざまな面で、課題・問題が時がたつにつれ蓄積していき、いつのまにか日本のライフサイエンス・ヘルスケア業界は世界の時流から取り残されている部分が出てきています。

その課題は様々な領域に及ぶのですが、例を挙げれば以下のようなものがあります。

■ライフサイエンス・ヘルスケアにおける課題
【医療】
①生み出される情報量が莫大にもかかわらず、十分に情報を活用した業務改善や改革、技術開発ができていない
②一部の医療機関に人が集中しており、かつ個人に寄り添うという医療の性質上、提供されるサービスの内容・量がまちまちで、医療機関における待ち時間が遠大
③医療受診人口や医師人口が都市部に集中しているため、おのずと高度な医療提供は都市中心となり、過疎地域・超遠隔地に対する医療提供が十分でなく、非効率にならざるを得ない

【医薬】
④研究開発は職人技化しており、ノウハウの一般化・標準化が進んでいない
⑤サイエンス・技術が進歩するに従い研究開発に要する費用は大きく、開発期間(10年以上)は長くなる傾向にある
⑥医薬開発の歴史が長くなってきたため、医薬シーズ(研究開発の対象となる治療標的や技術コンセプト)が枯渇しつつある
⑦研究開発と臨床の距離が遠く、即時の連携が難しい

日本のライフサイエンス・ヘルスケア業界はずっとこれらの問題に目を背けてきた(というか、医療水準が十分なので改革する必要性が低かった)のですが、新型コロナウイルス感染拡大を契機に問題が顕在化し、その解決に向けた動きが加速してきています。

そして、その課題解決に貢献すると期待されているものの代表的なものが「デジタル技術」というツールです。

医療領域におけるデジタル技術の意義

一言に医療とデジタルといっても、どうやってデジタル技術が医療・医薬領域に関わっていくか?ということは、なかなか具体的イメージが湧きにくいと思います。

ぼくは今の会社の経営だけでは、十分な生活資金を得られていないので、副業をしています。昔取った杵柄で、経営コンサルですね。時間単価が高いので、少ない稼働率で十分な収入が得られ、かつ経験が競合優位性に直結するため自分の専門領域では高い評価をいただける場合が多く、兼業には非常に相性が良いです(複数職業を持つことの意義などについても、機会があれば別途Noteのテーマとして取り上げていきたいと考えています)。

実は、そのメインテーマが、新技術を活用した医療・医薬の業務改革や新規事業開発等を踏まえた戦略策定であり、うえで述べたように現在最も注目されているデジタル技術の活用方向性について、クライアントと一緒に考える頻度も多くなっています。いわゆるデジタル・トランスフォーメーション(DX)ですね。

これは前職の経営コンサル時代から続いており、なんとなくですが、今後のぼくのライフワークのひとつになっていくだろうと感じています。

ということで、これまでのぼくの経験とそこから考察する未来予想図について話していこうと思いますが、まずはライフサイエンス・ヘルスケアでデジタルを活用する意義について、整理しましょう。

デジタル技術といっても多種多様ですが、主に期待される機能は以下のように分類できると思います。
・遠くと遠くを繋げる
・情報を蓄積し、解析し、活用する
・現実の物質や現象を仮想(バーチャル)化し、シミュレートする
・上記らを自動化に利用する

これらを組み合わせて、技術/サービス開発や業務プロセスへ活かしていこうという動きがDXであり、ライフサイエンス・ヘルスケア業界では、AI創薬、デジタル・マーケティング、PRA・自動化、等のテーマがホットとなっています。

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ここまで、医療でのデジタル活用の必要性と意義についてご説明をしてきました。実はこのテーマの本題は次回(2/2)です。今回のNoteは、本題を理解するための前座的な位置づけなので、そんなんわかっとるわ!みたいな内容もあったかと思いますが、ご容赦ください。

こちらのテーマはPodcastでも収録しており、明日12/6月 配信予定です!
https://t.co/3g5U7ZxdFJ?amp=1

また本題の(2/2)は、12/8水アップ予定です。またお会いしましょう!




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