見出し画像

2021/9/23-9/26 15周年記念公演 兎団30 アテルイノシン 衣装note4

※このnoteには 兎団30 アテルイノシンのネタバレが多く含まれます。
今から配信アーカイブ視聴をご予定いただいてる方(ありがとうございます!)で、ネタバレはNGなんです!という方はこの先にお進みにならないようお願いいたします。
劇団公式ネタバレNG部分に関しては記載がありません(そんなシーンもあるのです)

プロローグはこちら
https://note.com/rainknow/n/n827502d7f466

あらすじや現代チームの衣装話はこちら
https://note.com/rainknow/n/n38ba0fb640d0

大和チームの衣装話はこちら
https://note.com/rainknow/n/nedfdfc6fce81


今回は早速、蝦夷チームの衣装について書いていこうと思います。
(そろそろ大作すぎて読む方が疲れてきたころと…すみません)

蝦夷チーム:長老(manego)

画像1

はい!長老の演出からのオーダーは出オチ感でした!
出オチ感を意識し、そんなに顔みえないのかい!というくらい深いフードを付けて、長いローブみたいな衣装にしました。
イメージはジブリに出てくる魔女的なおばあちゃんです。
manegoさんが上手くきてくださいました!ありがとうございます!

蝦夷チーム:サタミツ/ツルキ(恩田純也)


画像2

画像3

中世的な魅力のある恩田さん。身体の線は細いのに筋肉が綺麗でもはや衣装よりも芸術なので、いやでなければツルキはぜひノースリーブで行かせていただきたいとお願いしたら快くOKしてくださいました。
ので、遠慮なく脇の大きくあいたベストスタイルにして、なるべくシンプルに身体が生かされるようにデザインしました。
殺陣もされるし、何よりも跳躍力や身体能力が素晴らしく良いので、身軽な衣装のほうが行動に制限がかからないなと思い、なるべく軽い素材でかつ存在感のあるものを使用しました。
その分ウエストマークの役割を果たすベルトには、金具のついた重厚感のあるものを採用してバランスをとっています。
柄の強い衣装をさらりと着こなし、ヘアメイクも色々とご提案をいただきました。
蝦夷のテーマカラーは長アテルイのテーマ色「赤」と定めていたので、ポイントメイクに赤を取り入れているのですが、恩田さんのポイントの個所は下瞼です。後はアイラインを蝦夷チームには入れていただいています。
メイク的にはモレ役柳橋龍と阿弖流為役の可南子さんの間をとっていただいた部分も大いにあります。
強さと美しさを両方表現いただき、大感謝です。
髪の赤い色も生かしていただき、サタミツの時はほどいて、ツルキの時はツーブロックを生かした髪形に。
髪形で印象が変わるな、というのを実感しました。

画像4

サタミツの衣装は、電車の中では駅員さんなので車掌ルシメさんとおそろいの駅員制服コートですが、ホタルイカ漁をしているシーンでは、ウソミナさんと共布のトップスになります。
このシーンの画を大切にしたいと最初に台本を読んだ時から、せめてこのシーンだけでも幸せな二人でいて欲しいという願いを込めました。
デザインも、ひもを使い着る形をおそろいにしています。
ウソミナさんがスカートの下にはいているのも実は黒いパンツです。
頭に巻いたタオルも、漁師としてのポイントにも見えますし、ウソミナさんのヘアバンドと通ずるものにも見えるという仕上がりにしています。
(もう絶対デザインコンセプト言わないと伝わらないですね。笑)

画像5

画像6


駅員の時に、白いシャツ(早替えのためつけ襟です)を着ているのは、サタミツが大和へ平安京建設に行っていた、大和にいた、というところにも通じます。

蝦夷チーム:ウソミナ(緋乃僾)

画像7

画像8

ウソミナさんは、大和で料理人として働いている時と、蝦夷に里帰りしている時で衣装をチェンジしています。
生まれ育った蝦夷にいる時は、前述したサタミツさんとおそろいのトップスとスカート、黒いパンツです。
ほのかさんは、紫やクリーム色がとてもよく似合います。
いつも紫を着てほしくなってしまい、よく着ていただいています。
今回は赤紫っぽい色のスカートをメインにしてみました。
ポケットに使った布地(グレー時にいろんな色のお花柄)は、手に取った時これはウソミナさんだな、と直感があり使用したものです。
蝦夷にいる女性の名前の付いた役はウソミナさんだけなので、女性らしいふわっとしたラインが出るようなデザインにし、ウエストマークに深いピンク色の帯を使用しました。
アテルイとのシーンも多いので、統一感はありつつも差が出るような配色を心がけています。

画像9

画像10


大和の衣装は、料理人=エプロンをイメージさせる白色のトップスにしています。ウエストマークも前掛けのようなデザインに変更しつつも、ピンクのひもは蝦夷の時に似たイメージになるよう、同じ系統の色を使用しています。大和できているものなので、蝦夷よりも華やかなイメージのあるものを使いつつ、スカートパンツを変えないことで蝦夷の誇りのようなものを残せればいいなと思っていました。

ウソミナさんは、大和に勤めているので黒のYシャツを着ています。
シャツは大和、と前回書いたのですがウソミナさんがシャツを着ている理由はこれです。

ヘアメイクは、紫色を使用していただきつつ、蝦夷のポイントメイクのアイラインを入れて統一感をお願いしました。
ほのかさんは額がとてもきれいなことと、料理人なので清潔感を、ということでヘアバンドのように布で前髪をあげていただきました。
結果的に芯の強さのようなところも表現できたのかなと、稽古が進むにつれ思っておりました。

蝦夷チーム:蝦夷/ルシメ(染野敦子)

大和チームで大和兵も演じている染野さん。蝦夷と大和を行き来しているので印象をはっきり変えられたらなーと思っていました。
基本のシャツを脱ぎ着しない形にしたのは、ウソミナさんとのバランス(女の子同士だし)もありますが、大和兵も蝦夷の役も同じシャツ着ているのが結果的に大ありだな、と思ったからです。大ありの理由は最後にでも。

画像11

画像12

蝦夷も、冒頭のモレ救出作戦の時と後半のかわいい女の子と2役です。
冒頭のシーンはモレの代わりの族長さんなので、イメージをツルキに近い形で布を選抜しました。染野さんはフルーツカラー・パステルカラーが似合うので、その雰囲気を生かしつつちょっと渋めのポイント生地をつけて族長さんに。
女の子の時はその服に、真っ赤ベースのお花の巻きスカートをプラスして印象を変えました。元気な女の子だったのでパッと華やぐ色が欲しく、阿弖流為の深紅的な赤ではなくThe赤です。
お花もかわいらしい色で、役に寄り添えたのではないかなと思います。

画像13


ルシメさんは、サタミツさんと同じ電車に乗っている車掌さんなのでおそろいのコート着用です。ルシメさんはバッグももっています。

画像14

画像15

そしてルシメ本来の姿(15歳で亡くなっている姿ではありますが)の衣装。
これは大和チーム、芙蓉さんの白衣装に連動されたデザインでありながら、彼女だけほかの人よりも若い姿なこと、最終決戦(と呼ばれております)いわゆる芝居のサビで初めてこの衣装で登場することを意識しました。
パステルグリーンの襟元と裾に入れたパステルブルーのリボン風ひらひらがポイントです。
帯はメイクに通ずるオレンジを取り入れて年頃のかわいい女の子のおしゃれ、蝦夷の生活に近い刺繡柄で土地への愛を示したつもりです。

先にヘアメイクのお話をすると、染野さんオレンジがすごい似合いそうだったのでアイシャドウはオレンジでお願いしました。とても似合っていたので私は満足です。ルシメちゃんのお花飾りは私物でご提案いただいたものを使用させていただきました。
象徴のようになってよかったです。私の中で蔵王の一輪のお花みたいなイメージがあったので形としてのお花がいきました。

ちょっと中途なタイミングですが…蝦夷のデザインコンセプト

蝦夷は、ドレープやタックを意識したデザインになっています。
大和は朝廷の人たちですが、蝦夷は民族的な要素が強いので和服から少し離したデザインにしたかったという意図や、
日出づる国の云々…なんて言葉もありますが、大和は陽蝦夷を陰としたときに、ドレープやタックを使うことで明かりが当たった時の陰を生かせるかなという思惑があります。(今回照明を手掛けてくださった由利さんの明かりは本当に綺麗で、そんな色だせるんだ!というようなことがたくさんあります)

後は演出ともども個々人で思っていた柄が「ペーズリー」。実は全員その要素が蝦夷チームには入っています。全色見つかってよかったです(本音)
後は草木やお花のモチーフが、同様に全員に入っています。
これは一万年続いた、自然に寄り添った生活をイメージしたものです。ペーズリーも同じような理由で、脳裏に合ったものと思います。

そして特殊生地は使用せずに作りました。レースは数名取り入れていますが、これは織物に似た効果で取り入れています。
…舞台をご覧いただいた方は、あれ、特殊生地使ってなかった?と思われているかもしれませんので、それはその時が来たらご説明します…。

立ち戻って白い芙蓉とルシメの衣装

画像16


画像17

画像18


大和のコンセプトは大和チームのnoteで説明しましたので割愛します。

実はこの二人の白い衣装は、和服・ドレープ・特殊生地の使用概念を突き破って、むしろ交換するような形でデザインされています。
ルシメの基本の形は白い襦袢です。袖を軽やかな特殊生地にして芙蓉さんの印象に近づけていますし、一番正面につけたドレープのスカートはチュールで作成しています。
パステルブルーの裾は蛇腹型におり、リボンともお花ともとれるように仕上げており、直線を生かしています。

一方芙蓉さんは、白いは織物の素材が特殊生地ではあるものの、スカートはタックを寄せて、羽織った背中についた飾りは、ドレープを寄せて丸い印象にしてあります。

そう、最後にみんなで電車に乗るシーンで、この二人は蝦夷と大和が仲良く暮らせる時代に思いを馳せます。
その二人が、死者として最終決戦に立ち会う唯一の人たちなので、願いを込める形でデザインなどを混ぜてみました。
別に内緒にしていたわけではないのですが、演出にこの意図を伝えずに作成したことをここでお詫び申し上げます。

蝦夷チーム:モレ(柳橋龍)

画像19

画像20

今回、思い切っていつも当てない大柄な布地にノースリーブ、デザインも大きめのトップスにスリムパンツ、裸足、というとても野性的な衣装を当ててみました。
容姿が整っているので、基本何を着せても似合うと思っていたので特に迷いはなかったですが好評いただいているようで一安心です。

モレ・ツルキ・アテルイはほぼ本人たちの体格にあわせて、オートクチュールのような状態で作成しました。
殺陣の動きが生えるようにしたかったので、一番体格に合わせたつくり、という部分で意識しています。
ドレープも、一番その人のいいところが生きる形のところに取り入れるように構成しました。

こんなに細いのに豪傑なモレ、と劇中で言われているように柳橋さんが細いのでその細さを生かしつつも豪傑さの表現として、大柄のトップスは背中に鳥の尾のようなドレープを大きく取り入れ、また肩の部分も羽のようにドレープを寄せたノースリーブになっています。
私の中では、空を飛び回る鷹のような、そんなイメージで作りました。
寒色系を当てがちなのはいつもなのですが、アテルイの一番の理解者で頼れる男、という観点からもついになる色がいいかなと思い今回は青にしました。(私がKin〇i好きだからではない)
メイクが赤いのも影響しており、ペア感が一層増したと思います。

ウエストマークには緑や茶色などいろんな色のスカーフを使用し、蝦夷を愛する男としてみんなの色を取り入れている感じをイメージしました。

メイクの赤は、アテルイが目じり、ツルキが下瞼としたのでどこに入れようか候補が2か所あったのですが、切れ長の瞳を生かすべく目頭に決めました。いわゆる切開ライン、みたいな感じです。
人によっては強く出すぎたり、なんとなく違和感が出てしまう箇所ですが、顔立ちとキャラクターのバランス故、狙い通りの個性となりました。
セミロングヘアは特に強く形作ることなく(早替えも多かったので)、あえて軽い髪質を生かしてほどいたままにしていただきました。
同じ劇団員としては、新しい一面が発見できたようでうれしいです。

蝦夷チーム:アテルイ(斉藤可南子)

さて、最後です!
このお話のタイトル、アテルイです。


画像21

画像22

画像23


アテルイは豪傑でたくましい男として伝えられていますが、もともとその方向性で作るつもりは毛頭ありませんでした。
イメージは「戦の天才・カリスマアテルイ」です。
男性と女性では骨格や筋肉のつき方などがそもそも違うので、ひとえに細いといってもやはり女性のほうが線が細く見えるものですし、そこを無理やり男性的に寄せるよりは、中世的な魅力を持ち合わせている可南子さんの個性をそのまま生かした方が、結果アテルイになるだろうと思っていました。
その想像は、どうやら成功したようです。

色も、最初から深紅をメインに行きたいと思っていたので、赤系の布地などを選定し、最終的にペイズリー柄のワンピースを土台にリメイクしていったものが今回の衣装になりました。(ワンピースは一切壊さずに使用しています)
可南子さんが演じるうえで気にされていた体系のフォローや、田村麻呂とのシルエットの違い、長としての風格など、すべての条件のバランスで土台のワンピースの上にドレープを寄せながら形作っていきました。
家のマネキンと可南子さんに交互に来てもらいながら、すべて立体裁断かつ手縫いで作成したのですが、製作工数自体は実は一番はかかっていません。
(一番は田村麻呂さんかな?芙蓉様かな?というところです)
袖のデザインは、立ち姿と殺陣の時に邪魔にならないかつ生きるように、わざとアンシンメトリーにしたことが一番のこだわりです。
ウエストマークに使用した帯は、モレ同様たくさんの色がちりばめられていて、大地や草木や蝦夷の民の色をイメージしています。
金の糸が入っているので、ツルキのウエストマークの金属部分とも連携されています。

基本の黒いレースのトップスとレースが付いたフレアパンツは、実はフライヤーの時に使用したものと変えていません。
動きに邪魔になるかな、女性的に見えすぎるかななどと気にしたことはあったのですが、結果杞憂でした。

ヘアメイクは、長くてもともとの癖を生かした、ハーフアップよりはポニーテールというスタイルでお願いし、ゴム部分は赤い布でカバー&色とボリュームを添えて衣装とのバランスをとっています。
黒と赤でキャットラインを引いていただいているのですが、これも一見女性的に見えるメイクかなと思われるかもしれませんが、可南子さんはどちらの方向性にも持っていける雰囲気をお持ちだと思ってので思い切って当てています。が、こちらも成功したと思います。

そしてアテルイにだけ、特殊生地を使っています。
これは、アテルイが最後に見つける「シン」の答えは、昔からアテルイの中にあったもの、として、大和にしか使っていない生地を取り入れることでそれを表現した、というところです。

さ、忘れられている人いませんね?
これにてキャスト別の衣装の解説は終了です。お付き合いいただきありがとうございました。

次回は、フライヤーの話と総合の話をして最終回としたいと思います。

もし作品に興味をお持ちいただけましたら、配信アーカイブが10/6 23:59までご購入いただけます。
視聴は10/8 23:59までご覧いただけますので、よろしければご検討ください。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/022t3ij9kuu11.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?