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2021/9/23-9/26 15周年記念公演 兎団30 アテルイノシン 衣装note1

こんばんは。
つい先日まで、所属する劇団の15周年記念公演を上演していました。

役者としての話はさておき、2019年10月公演より担当させていただいている衣装の話を少ししてみようかなと思います。

私自身、映画のパンフレットに記載されていたり、DVDを買うと観ることができる「制作の舞台裏」みたいな話がすごく好きです。
なので、きっと一部の層には需要があるのではないかと信じ、かかわった舞台でネタバレ許可のとれたものに関しては、なるべく頭の中を解体していこうかなと、今は思っています。

過去の話もした方が、より伝わりやすいことはあるだろうと思いつつも、
大人の事情で最新公演の「アテルイノシン」衣装にまつわることを、自分の思考の整理も兼ねて話してみます。
今回は初回なので、本編に入る前に私のデザインスタイルを軽くお話…。

さてさて、私は衣装デザインをするとき大体
台本をいただいたらまずは4回くらいきちんと読みます。
目的は下記。
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1.お話の流れを把握
2.このお話のサビの部分と、キーになるシーンの見当をつける
3.役ごとの役割を把握する
4.舞台上に一緒に上がりそうな役のグループを把握
5.1人多役になりそうか大体の予測をつける
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最低でも上の事柄を把握していないと、デザインを進めても大体途中で事故ります。
演出・脚本家の意図と外れた衣装を作成しても、全くいいものにはならないですし、独りよがりな衣装デザインは作品を壊しかねません。

ぶっちゃけ、役者さんが上手ければ全身黒い服だろうが白い服だろうが、
その役に見えてしまうものだと思うので、

作品の世界を最大限に広げるための衣装を作る

ことをいつも意識しています。
その中に、私にしかできない世界観を反映できたら最高だな、といつも考えています。

そんなこんなしていると、配役が決まります。
配役が決まる前になんとなくデザインを進めることもありますが、どんな時でも配役が確定してから最終稿を作成します。

それは役者さんの個性や動きの特徴、声色などを最大限に生かした衣装を完成させるためです。
上下のバランス、丈の長さ、配色などは身長や髪の長さ、声色、顔の特徴で似合うものが大きく変わりますし、
衣装のデザインでその人の動きに制限をかけてしまったら本末転倒です。

なので時間の許す限り、共演が決まっている方の舞台は観劇に行くようにしています。
知っていると知らないのでは、初速が変わるのです。
もちろん初めましての方も最終的には大差はなくなります、お稽古でたくさん見るように心がけているので!
後は、申し訳ないですが完成順を後ろにさせていただくことで、情報を埋めさせていただいたりしています。

そして似たようなところで、上演する会場の雰囲気や広さを必ず確認します。
それは、衣装の規模やデザイン、使用する布の感じなどが会場の広さや天井の高さによって決まると思っているからです。

舞台衣装は普段着と違い、照明を浴びることを前提として考える必要があります。
特に、大きい会場になれば浴びる照明の量も質も変わりますしその気になれば照明を生かすことができます。

また、例えばカフェスペースのようなところで上演する際に、劇場で上演する際に着用するようなデザインや素材の衣装を作成すると空間から浮いてしまい、作品を殺してしまう可能性があります。
逆に、小さなスペースだからこそ生かせるメイクや衣装ももちろんあります。細かい柄や色の変化は小さい会場だからこそ楽しめるものです。

大きい会場になれば、状況は真逆になるわけです。

そのため空間に合わせた衣装やヘアメイクを考えるために、
小屋見学についていくタイプの衣装さんですが、快く同行させてくれる方々ばかりでありがたく思っています。
小屋見学に行く際は楽屋の広さも確認して、早替えなどに思いをはせることもあります。

後は…手持ちの衣装に使えそうなものを一気にリストアップします。
お金を湯水のように使って、何でも買ってなんでもそろえて作れる環境が整えばいいのですが、コロナ禍の昨今節約できるに越したことはありません。

既製品を生かしたり、リメイクしたりもします。
スタイリスト、デザイナー、パタンナー、お針子さんを全部やる覚悟です。
アテルイノシン、なんとすべて劇団及び座組の皆様の手持ちのもので衣装作りきりました。
…佐藤と兎団は物持ちが良いので救われています。

そして、あれやこれやと考えて出来上がった衣装はこんな感じです。
個々人メインの役の衣装を着ています。
(アテルイノシンの話の説明がないじゃないか、とのつっ込みはパート2で回収させてください)

蝦夷軍と現代の人
(既製品の人がセンターなのもったいない(しかも衣装さん本人)…という衣装さんのつぶやき)

画像1

大和の人たち

画像2

これはほんの一部ですので、2からは実際に何を考えて作ったのか、イラストや写真を交えてお話できたらなと思います。

あ、実はヘアメイクも担当しているので併せてお話していければと思います。
今回は本当に序章になってしまいましたがこの辺で…。
ありがとうございました。

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