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[読書日記]『木暮荘物語』

アパート系物語を読んだ後は、慣れ親しんだ街がいつもと違う顔をみせているように感じる。
普段より音がはっきり耳に入るし、窓からこぼれる光に哀愁を感じる。人生という物語を意識してしまうからだろうか。

本のタイトルは「木暮荘物語」。何気ない日常を切り取った人々の人生ストーリーを想像するのではないだろうか。その通りだ。この本には住民やその周辺の日常が綴られている。暴露話なのではないかという人には見せない部分の日常が7つ綴られているのだ。(理解・共感できるお話ももちろんある。)

そんな人間の部分のお話だからか、私はこの物語に出てくる幾人かを「気持ち悪い」と感じた。でも、この物語では幾人かのこの部分をーーしている人がいるのだ。
ーーの部分にはしっくりくる言葉が見つからなかった。認めているのか、ただ受け入れているだけなのか、許しているだけで見ていないのかは分からない。もっと親しい感情かもしれないし、これら以下なのかもしれない。

きっと現実にもそのような関係はあるのだろう。そういう関係の人たちは相手のことを何人だと思っているのだろうか。自分の隠したい部分をーーしてくれる人とはどんな関係を保っているのだろうか。

私にも親友にでさえ言いたくない秘密はある。もしも、もしも私の秘密が何かの拍子に晒されてしまったら。私は「逃げる」の一択であると思う。

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