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No.11 ”だんだんおもご”とは何か?

 皆さまこんにちは。本年度のだんだんおもご総会が終わり、ようやく一息つくことができた、面河地区・地域おこし協力隊のくわなです。
 前回は、面河第一小学校の誕生経緯を追いながら、“第一”のみが存在した理由を見ていきました。

(前回記事はこちら↓)

 さて、初めて見た方は冒頭で述べた「だんだんおもご」の7文字が、大変気になっているところでしょう。え?気になっていますよね?

 というわけで今回は、面河地区で様々な活動に取り組んでいる住民自治組織「だんだんおもご」についてご紹介させていただきたいと思います。
 現代の面河を語る上では、絶対に外せないトピックですので、ぜひともご一読ください。


合併後の面河地区

 だんだんおもごの誕生経緯を説明するためには、まず久万高原町に合併して以降の面河地区の状況をお話しせねばなりません。

 さかのぼること20年前、平成16年(2004年)の8月に久万高原町の一部となった面河地区。
 当時の人口は881人ほどいましたが、現在は421人まで減少してしまいました。ちなみにそのうちの59.1%が65歳以上の高齢者。面河地区住民は、この超を付けても過言ではないほどの少子高齢化社会で生活しています。

(人口減少については以下の記事で詳しく語っています。)

 合併以前の旧面河村役場時代には40名ほどいた職員も、久万高原町役場面河支所となってからは4名で業務に当たっています。(※1)
 それによって、久万高原町役場のある旧久万町の方へ中心機能が偏り、面河地区を含む旧3村では、地域のことを地域で決められないという問題が発生しました。

 この間に、ほぼ唯一の公共交通機関であるバスの入るエリアが大きく削られました。また、主な交通手段である自動車を動かすために必須のガソリンスタンドも、平成24年(2012年)頃に消滅。合併時には5件以上残っていた地域向けの商店も、現在は1店舗を残すのみとなりました。

 改めて合併後20年間の面河地区を振り返ると、地域としての力が大きく衰えてしまったと言わざるを得ません。具体的な状況を並べてみると、恐ろしさすら感じてしまいます。

平成25年(2013年)頃に閉業した、高岡商店の跡地(本組地区)
幼少期のくわなも、よくアイスクリームを買いに行っていた思い出の地である
(令和6年5月撮影)

平成20年代後半の地域活性化活動

 このままの状況が続けば、地域そのものの未来がなくなってしまう。
 平成20年代中ごろの久万高原町内各所、特に旧3村(※2)ではそのような危機感が芽生え始めていました。

 そんな状況に歯止めをかけようと、最初期に立ち上がったのは、社会福祉協議会の皆さまでした。
 平成26年(2014年)には「地域支えあい応援セミナー・久万高原 生き方創造塾」、平成27年(2015年)には「地域福祉助け合い応援セミナー」を実施。地域づくりを基礎から学び、地域にあるものを使って活性化していくためのすべを、いよココロザシ大学等の専門家の皆さまから学んでいきました。

 これに続くようにして面河地区では、平成28年(2016年)に役場面河支所主催で「おもごの新しい物語事業」を開始しました。この事業では、愛媛大学から講師の方が来てくださり、地域課題の洗い出し面河の魅力再発見に取り組んでいきました。

「おもごの新しい物語事業」の中で、愛媛大学学生が前組地区で「地元学」の授業を行った際の1枚
当時の学生たちが、地域で出会った人について発表している場面である
(平成28年2月撮影/愛媛大学・笠松准教授提供)

「面河地区地域運営協議会」の誕生

 このような事業を進めていた中で、久万高原町役場の方でも、いよいよ動きがありました。
平成28年10月20日。この日開催された面河地区自治会長連絡会に持ち込まれたのが、「小さな拠点づくり」を面河地区で実施しようというお話でした。

 「小さな拠点づくり」とは、総務省が推奨している取り組みの一つです。 
旧小学校単位を目安とした地域ごとに、地域住民と地域外の方を含む様々な団体・個人が協力しあいながら、各地域の状況にあわせた地域運営の仕組み自体を新たに作り出してくことが目的です。

 面河地区の住民たちはこの話を受け、新しい事業に戸惑いながらも、ひとまず小さな拠点づくりに取り組むことにしました。
 こうして平成29年(2017年)に誕生したのが「面河地区地域運営協議会」設立準備会
 このやたら長い名前の会議は、「発起人会」「準備委員会」など若干違う名前で開催されることもありましたが、本格的な会の設置に向けて協議を行いました。この会は、地域住民を中心としてはいましたが、近隣地域の面河ファンの方も会議に参加し、アイデアを出し合っていました。

 そんな準備会の中で、「部会を設置することで具体的な活動に取り組もう!」という案が出てからは、一気に状況が好転し、平成30年(2018年)の2月から本格設置に向けて動き始めました。

 そして平成30年4月1日、ついに「面河地区地域運営協議会」が設立されました。
 同年6月には最初の総会を実施。それ以降は、住民と面河ファンによる各部会で、様々な地域課題の解決に当たっています。

 活動2年目には、地域住民に向けて愛称を募集。それを経て令和2年度からは「だんだんおもご」という愛称で活動をすることになりました。

 こうして令和6年となった現在も、だんだんおもごとして活動を続けています。

本年度の総会の様子
当日は41名の方が集まり、各議案について協議を行なった
(令和6年5月撮影)

「だんだんおもご」の目的


 だんだんおもごには、準備会の中で練られて作成された、“規約”が存在します。
 ここでは、その中に書かれている目的を紹介させていただきます。

(目的)
第2条 本会は、面河を愛する人々が意見を出しながら未来の在り方を描き、自然環境や人材を活用することで、住民が健やかで逞しく、光り輝き、いつまでも住み続けられる面河を自主・自立・助け合いによって実現することを目的とする。

面河地区地域運営協議会規約(令和5年5月27日改訂版)より

 この目的の重要なポイントは2つ。

 一つは、参加できる会員について「面河を愛する人々が」と表現しているところです。
 住民だけで運営していくのは難しいから……という消極的な側面もありますが、準備会段階から設立や運営で協力してくださっている方の中には、面河地区外の方、さらには町外の方も数名おられます。
 これまで力を貸してくれていた、地域外の方々を仲間外れにするわけにはいかないからと、この「面河を愛する人々」という表現が生まれました。

 もう一つは、「自主・自立・助け合いによって」の部分。
 先ほど面河地区が置かれている状況をお話した際に、「地域のことを地域で決められない」課題があることをお伝えしたかと思います。
 この大きな課題を、自分たちが自主的に、自立して、助け合いながら解決していこうというのが、だんだんおもごの最も重要な目的です。

本年度の総会会場の写真
かつて面河村の村章だった「お」のマークを、だんだんおもごのシンボルマークとして新たに採用
面河地区の自立などを目指し活動している
(令和6年5月撮影)

「だんだんおもご」の部会活動

 さてここからは、だんだんおもごは具体的に何をやっているの?というお話に進んでいきたいと思います。

 準備会を進めていく中で、部会を設置したことで具体的な活動につながったわけですが、現在もこの部会を基盤として活動を進めています。
 だんだんおもごの設立時には4つだった部会ですが、現在は5つの部会で様々な地域課題に取り組んでいます。

 ここからは、簡単に各部会の目的と主な活動を紹介させていただきます。


総務部会

 「自治会長、公民館長、行政機関等との連携・共同に関する事業を担う」ことを目的としています。

 だんだんおもご全体の事務局的な役割を持っており、主に総会理事会役員会等のとりまとめや、目的内にある関係団体等との連絡などを行っています。

こちらはだんだんおもご理事会の様子
2ヵ月に1回、代表者が集まり活動の共有などを行っている
(令和6年2月撮影)

福祉部会

 「住民の福祉に関することに取り組む」ことを目的としている部会です。

 主な活動は、面河烏龍茶(ウーロン茶)等創造活動住民主体型サービス預かり保育サービスです。

 特に力を入れているのは、面河烏龍茶等創造活動。地域の中にある耕作放棄地となっていた茶畑を手入れし、販売するまでの事業に高齢者の方々が参加することで、介護予防に努めようという活動です。
 最初期は数万円の売上のみでしたが、近年は売り上げも伸びてきており、参加者の生きがい創造にもつながっています。

今年度の新茶収穫後の選別作業の様子
メインの商品はウーロン茶だが、福祉部会では番茶の販売も行っている
(令和6年5月撮影)

観光部会

 「面河の資源や人材に関することに取り組む」ことを目的としています。

 主な活動は、ポタリングツアー(自転車を使ったガイド)の普及活動、イベントの開催やガイド活動渓谷・河川清掃地域の歴史文化・鳥獣被害の調査などです。

 これまでの記事でも何度か登場している「面河渓」でのガイド活動や、イベントの実施、それらの活動の拡大などを担っています。
 コロナ禍で活動が縮小してしまった部分もありますが、ポタリングツアーを中心に、徐々に活動を再開しているところです。今後もぜひ情報をチェックしてみてください!

面河渓・鉄砲石川方面の遊歩道清掃
観光地の美化活動などにも取り組んでいる
(令和5年8月撮影)

交通部会

 「交通問題をはじめ住民の生活利便性の確保に関することに取り組む」ことを目的としています。

 主な活動は、交通空白地域での住民輸送活動、通学路等の除雪活動などです。

交通空白地域という言葉は、耳なじみが無いかもしれませんが、「バスなどの公共交通機関が全くない地域」のことを指します。
 交通部会では、この地域内で「ももんが号」を走らせることで、地域住民の交通手段の確保に努めています。
 地域のインフラに関わるということ言う意味では、非常に重要な活動となっています。

「ももんが号」による輸送活動の様子
地域の住民たちが交代制で運転手を担当している
(令和4年7月撮影/だんだんおもご所蔵)

清流面河部会

”清流面河”の外観
トイレ・売店の他、シーズン中は食堂も営業をしている
(令和5年10月撮影・一部加工済み)

 「面河渓自然環境保全活用交流拠点施設の管理運営に関することを担う」ことを目的としています。

 またも長ったらしい名前が登場しましたが、こちらの施設は昨年10月にオープンした施設で、「清流面河(せいりゅうおもご)」の愛称で運営しております。
 だんだんおもごが久万高原町より指定管理を受けたことで、本部会を設置し活動を行っています。

 清流面河に関しては、以下のHPに詳しく載せています。余談ですがこちら、くわなが編集しているページですので、ページ内にあるSNSを含めて応援していただけると、ものすごく嬉しいです。(宣伝)


まとめ

 ここまで、面河地区地域運営協議会だんだんおもごの誕生経緯から、目的、具体的な活動内容までお話させていただきました。

 実はこのだんだんおもご、初めから住民たちが乗り気だったわけでは無く、初期の会議では消極的な意見が飛び交うことも多くありました。
 地域の中でも、新しい活動を始めることを面倒くさがる声が上がっており、「数年も持たんじゃろ?」なんて言われていた時期も。

 当初はこのような状況でしたが、部会活動を始めたことをきっかけに、徐々に主体性が高まっていきました。
 そして、現在は活動7年目に突入し、安定した地域活動を行えるようになっています。

 だんだんおもごの目的にもあった「自主・自立・助け合い」のキーワード。これらを大切にしているからこそ、設立時には考えられなかったほどの長期的な活動につながったのだと思いますし、これを忘れなければ、きっと今後もこの活動は続いていくでしょう。

 地域をとりまく状況は、変わらず厳しいものがあります。ですが、この活動を通して、いつまでも住み続けられる、光り輝く面河が実現されることを、切に願っています。

福祉部会の茶葉収穫作業中の一枚
この写真に写っている人たちのように、いつまでも光り輝ける面河を目指していきたい
(令和6年5月撮影)


追記

 だんだんおもごでは各種SNSによる広報も行っております。こちらについてもくわなが運用しております。
 以下のURLから、皆さまが使われているアプリでチェックしてみてくださいね(宣伝その2)

Instagram だんだんおもご(公式)(@dandanomogo) • Instagram写真と動画

Facebook だんだんおもご | Facebook

Tik Tok  だんだんおもご (@dandanomogo) | TikTok


【注釈一覧】

(※1)人口規模に職員数を合わせる都合や、総務課以外の業務を集約させる必要があったため縮小されている
 なお「4人」という数字は、総務課職員および教育委員会の人数のみを合算したものであり、集落支援員、地域おこし協力隊、介護認定員等の人数は加算していない。
(※2)久万高原町に合併した4つの自治体のうち、面河村、美川村、柳谷村を指している。なお、地元では「川下3村」と呼ばれることが多い。

【参考文献】

・卒業論文「地域運営協議会活動の現状と課題―愛媛県久万高原町の事例から―」(2020年・桑名虹之介)
・行政区別世帯人口調べ(2023年・久万高原町)
・令和6年度 第7回「だんだんおもご」定例総会(当日配布資料/2024年・面河地区地域運営協議会)




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