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『学び舎 もりのはらっぱ』で過ごした1年間

『学び舎 もりのはらっぱ』を始めて、おかげさまで1年が経ちました。

今回は、もりのはらっぱで過ごした1年間を振り返ります。
1年の最後のはらっぱが終わってから一気に書いたので、思うようにまとまっていません。
はっぱのメモとしてご覧ください📝



🌳1,想い


一歩、一歩、地道に続けられた。
1年が終わってホッとする想い。
一緒に始めた我が子が楽しめる場になっている。
自分自身も、好きな料理や畑を楽しんだり、人との出会いを楽しむことができた。
まずは自分が、大きくではなくても少しずつ確実に変わっている感じ。

はらっぱを始めるまでは、家にいる時間が長くて、我が子に負の感情を抱きやすい面もあった。はらっぱに通うことでわが子と適度な距離ができ、冷静にみることができたり、かわいいと思えることが増えた。

3年半前の、「何でうちの子が?」、「この先どうしたらいいんだろう?」という時期を経て、ようやくここまで来たんだという想い。
がっこうを始めようと思ってから始めるまでにも、コロナ禍を言い訳にしたりして、2年以上はかかった。
背中を押されながらも始めてみて良かった。

🌳2,参加者と参加費


○子どもを中心とした参加が多い

理由が様々で一括りにできないとは言え、世間一般で言われる「不登校」の子の利用が目立った。
必要性を感じるとともに、変わらず扉を開いていて、必要な時に訪れることができる場は大切。

○大人の参加は少ない

「生きづらさを抱えた大人も参加できたらうれしい」という声をいただき、その通りだと感じている。
ただ、どうしても「子どもが通う場所」というイメージが大きい。
大人にも声を掛けて行く。

1回だけ参加される方が多い
参加費を無料または格安に設定している場もあり、「参加費の壁」を感じることも多い。
ただ、事業を安定して長く続けるには、経済的な基盤も必要になる。
(詳しくは、「経営」の項へ。)



🌳3,社会的交流


大人同士が交流している姿を見せることができた。
自然と触れ合う姿
対話する姿
時には意見がすれ違ったり、折り合っている姿

ものづくりの達人、野草に詳しい人、竹炭職人、陶芸の先生、畑の好きな人、凧作り名人、習字が好きな人などなど、日ごろなかなか出会えない多種多様な人と出会うことができた。
これは、「自分はこれが大好き」だと思える何かを見つけるきっかけにつながる。

🌳4,保護者


迷っていたり悩んでいた親御さんも、繰り返し参加することで、自分も何か力になろうという気持ちが出てきて、運営に携わってもらうことができた。

🌳5,親子関係


子どもが変わると保護者も変わる。
課題があるなら把握させてもらい、おせっかいを焼かない程度に親子がもともと持っていた健やかな関係性を引き出す方向にほんの少し向ける。
あとは、それぞれの力の中で元に戻ってゆくのを見守る。
いろいろあるけど、親子って素晴らしい。親子っていいな。

祖父母の参加もあり、年代を越えた交流ができた。

一度はらっぱを訪れてものづくりを行った体験が、家庭での楽しみにつながり、親子の距離が縮まったという報告も聞かれた。

🌳6,変化


はらっぱ全体
・お借りしているNPO法人で石窯パンを販売していた頃は、お客さんの流れがはらっぱに風を運んできた。
石窯パンの販売が一旦中止になった頃から、外からの人の流れが少なくなり、純粋にはらっぱのために来てくれる人が少しずつ出てきた。

〈隊長(はっぱの次男)〉
子ども同士で共に遊びながら育ち合うことを目指して始めたはらっぱ。
少人数ながらも叶えられている。

家庭では興味を持たなかった料理に興味を持ち、自宅でも時々作るように。
友達に目が向くようになった。

〈隊長の弟(はっぱの三男)〉
学校に行かない兄を見ながら、半ば我慢して登校していた。
無理な時にははらっぱがあると思うことが支えになった。
「不登校」と言われる子のきょうだいにも安心したり、時々休める場が必要。

〈NPO法人の会員さん〉
NPO法人の会員さんや関係者の方がもりのはらっぱを開催中にたくさん訪れていて、得難い交流を図ることができた。
特に、よく報告に出てくる事務局のご夫婦である、「縄文のお父さん」、「縄文のお母さん」には、温かい心をいつも向けてもらった。
それが、参加してくれた子どもたちや大人にも温かい心のやり取りと本音の対話をもたらしてくれた。

日本みつばちの話、しじみと湖の水質浄化の話、大規模な土地開発、植物園の保護、ご自身の人生について…
様々なことを語ってもらった。

同時に、もりのはらっぱの活動の重要性も感じていただくことができた。

🌳7,学校との連携


有資格者が運営しているためか、はらっぱでの時間を信頼して在籍校の出席日数として加えてもらうことができた。
在籍校の先生と連絡を取ることがあった。 

反面、お子さんによっては、はらっぱの様子を学校に伝えることに抵抗や不安を示す子もいるのではないかとも感じている。
この点については、いずれにしても子どもの利益につながる方向を確かめながら進めて行く必要性を感じた。

また、安易に出席日数を稼ぐことを目的とした利用につながらないよう、個々人の課題や持っている力を確認して行く必要性を感じる。


🌳8,他団体との連携


以前の私だったら、他のグループと積極的に交流をしたり、グループ同士を取りまとめようと頑張ってしまったかもしれない。
今の私は、まずは手の届く範囲から一歩一歩進み、出会ったご縁から順番に、大切に広めて行こうと考えている。

🌳9,自然の力



石窯の力強さと恵み
たき火の火をおこす大変さ
火や木々、草、自然のありがたさ、あたたかさ
土から出てくるカブト虫の幼虫
干し草の心地よさ
守ってくれる大きな木
見たこともない野草の味
最初は怖いのに段々慣れてくるみつばち
果樹園の果物のめぐみと力強さ
小さな植物のつぼみの存在感と愛らしさ
猛暑の中の柔らかい風
野草やお野菜の優しく力強い味わい

子ども時代に自然と触れ合い、体験から学んだこと、五感を通して味わった偉大さ、心地よさ、厳しさ…
記憶は薄れてしまったとしても、必ずどこかに残っていて、生きていくための力になるはず。

自分自身が子どもの頃、野山を駆けめぐって思い切り遊んだ体験は今も残っていて、迷った時に道を照らしてくれる。

生きる上で何が大切なのか?
自分は心の底ではどうしようと思っているのか?
何が大好きなのか?

生きていくために大切な直感をみがきながら、本来持っているはずの自分が生きるための軸や主体的に進む力を引き出す。


🌳10,必然的な流れ


もともと、畑で野菜を育てるのが夢だった。
突然次男が学校に行けなくなり、通学路を変えたら不思議と畑とのご縁に恵まれた。
はらっぱを開き、その畑で育てた野菜を来てくれた人々に食べてもらうことができた。
こんな風に上手いことめぐっていく流れが用意されていたような気もするし、自分がもともと願って歩いて来たことが、進む方向に影響を及ぼしているようにも思う。

🌳11,けがについて


小さなけがを体験しても、自己の回復に向かう力を引き出すことで、次につなげて行く。
大きなけがに対する対処についても学んで行く。
簡単ではあるが、救急セットははらっぱの際に毎回持ち歩いている。

🌳12,主催者の立ち位置


全体を見ながら、参加してくれた方々との関係性も築きながら、一人一人の個性を見極めながら、何よりも自分が楽しみながら続けてきた。
なるべくその人が自分自身の力を自分で引き出せるよう、与え過ぎないように心がけた。

また、子ども同士の遊びの世界に誘われれば一緒に遊ぶし、そうでなければ子どもだけの遊びの世界を壊さないように見守った。
その際にも、それぞれの子が何を感じ、何を課題にしているのかという点を把握しながら一緒に過ごすようにした。

プログラ厶を設定しながらも、興味があれば参加でき、興味がなければ自分の想いを出しながら過ごせるような雰囲気を作って来た。

畑、料理など、自分が大好きなことを心から楽しんでいる姿を見てもらうことができた。

自分がそのように楽しんだことで、参加してくれた人々にも喜んでもらうことができ、それがさらに自分の喜びにつながった。

参加費をいただいたり、NPOの譲りますコーナーの品を無料でおみやげとしていただく。
NPOの方から、手作りの食事やおやつを分けていただいたり、こちらも食事を分かち合って一緒に味わう。

物やお金を通して、人と人との間で気持ちが巡って行くことに重きを置いた。

🌳13,主催者と家族の健康維持


はっぱ自身の体調不良、子どもの体調不良は、時々ではあってもどうしても避けられなかった。
無理をすると続かない。
自分が場や持ち味を出しながらも、自分自身が楽しむ。
これまで学んで来た発達や心理士としての技術については、参加費の一部として技術料をいただく。
参加費を支払うのが難しい家庭にも、別枠で参加できる場を提供できるように配慮して行く。

一方で、参加費が安い方が良いからと、学んで来た技術を安く見積もり過ぎない。
参加費をいただくだけの価値をお届けできるよう、自分自身が体験を通して学んだり、世の中と広くつながりを持って行く。

学んできたことが人や社会の役に立っているという喜びが、長続きの秘訣。

🌳14,強みと弱みを自分で意識する


○自分の強み
・安心感を抱いてもらいやすい
・信頼が得られやすい
・朗らか
・柔らかい雰囲気
・心を開いてもらいやすい
・真面目
・時にユーモアを発揮する
・大好きなことがある(畑、料理、食べること、自然)
・決めたことはすぐ実行できることがある
・行動力がある
・言う時ははっきり言う
・文章で表現するのが好き
・じっくり考える
・不登校の子を持つ保護者としての立場を経験している


○自分の弱み
・完璧な人と思われがち
・助けを必要としないように見えてしまう
・人に頼ることが少ない
・1人で進めてしまう
・正論ばかり言って近寄りがたい
・おせっかいを焼き過ぎる
・必要以上に手助けをしてしまう
・体力に乏しい
・嘘をついているつもりはないのに、正直になれない部分がある
・大丈夫ではないのに大丈夫な振りをしてしまう
・人に弱みを見せにくい
・本音を出すまでに時間がかかる
・動くまでに時間が掛かることがある
・口下手な面がある
・感情を表現するのが苦手な面も

「良い」、「悪い」ではなく、どちらも意識したうえで活かす!!

🌳15,運営形態


週1回では足りないと感じるし、時間数も。
本当は、拠点となる場があって、常設して運営して行けるのが理想。

一方で、これまでの仕事を続けて基盤を作りながら、はらっぱの運営を続けるという両輪での運営は、小回りが利いて便利な面もあった。

公立の学校、自由ながっこうの両方に片足ずつ入ることで、学校現場や社会では何が課題になっているのかを常に感じ取りながら歩むことができた。

しっかりと枠組みができてから進むのではなく、性格上ある程度の方向を決めたら、走ってからまた考える。

申し込み制じゃないのも良かった。

🌳16,経営


体験の材料費、交通費、宣伝費など、諸々を含めると事業としては初年度は赤字。
長期的には助成金を申請するのも一つの方法

あるいは、NPO法人と連携して進めて行く方法もある

…参加費の設定
今後日程が増えたら、日数によってお得になる設定に。
より気軽に、幅広く無料で参加できる場と両輪で行けるのが理想。

一方で、毎回の参加費を払うのが難しい家庭があることも考慮し、無料で参加できる遊び場も再開して行く。


🌳17,これからの課題と展望



・初回参加から次につながりにくい
月謝制でもないし、入会制でもない。一回生の出会いを大切にしながらも、必要な人には続けて来てもらえるよう地道に伝え続ける。

・問い合わせや参加希望があっても、連絡が途絶えやすい
勇気を出して問い合わせをしてくれたこと自体がありがたいと感じる。

・NPO法人の敷地を借りているので、敷居が高い
どんな場なのかを知ってもらえるよう、積極的に発信をして行く。

・一方で、必要としている方に必要な時期に届けることができている面もある。

・もしNPO法人と共同で運営するとしたら、どのように進めたら良いのか?

・NPO法人の敷地を無償で借りていたり、無償で様々な食品、お茶などをいただくことが多い。
一方的に「いただく」だけではいずれ限界が来てひずみが生じやすいため、負担にならない程度の利用料(施設維持費)を支払うことで循環を促してゆく必要性を感じる。

・有資格者だから安心な一方で、敷居が高いと思う方もいるのでは?

・自然の中で、土や草花、虫、たき火やスス、灰にまみれて泥だらけ、真っ黒けで過ごすのは、ある程度の体験を積んでからでないと不安をかき立てる場合がある。
特に、ゲームやオンラインの世界から見ると、全くの別世界。
中高生の世代にとっても、すぐに参加しようという気持ちにはなりにくい。
対象は全世代としながらも、ぼやけないようにある程度の的を絞って行く。

オンラインのはらっぱを設け、自然の中のはらっぱへ促すこと考えたものの、まずは今の路線を大切に続ける。

・外に発信をしてゆく
ホームページ、SNSの更新を分かりやすく、こまめに。

・お住まいの地域でも実践してみようという人を積極的に受け入れ、応用できる部分はどんどん取り入れてもらう。

・全国のフリースクールやオルタナティブスクールなどの傾向を見守る。
教育に関係する情報には引き続き目を向けて行く。
一方で、情報をうのみにしない。情報に飲み込まれないよう、自分の軸を大切にしながら吟味する。

・フリースクールについて検討する以前の、不登校初期の悩みや迷い特に大きい時期にも、何かしら手が差し伸べられるように。

・必ずしもはらっぱに通わなくとも、こちらから出向いて行って交流が持てるようにする。

令和6年4月
『こころの自転車やさん harappa』
はっぱ

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