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「それで!」を引き出す提案は、「分析」からスタートしない

私は現在、Webマーケティング支援会社にて、コンサルティングの仕事をしています。
現在の会社に入社して丸2年が経ち、コンサルタントとしての実務経験は、ちょうど1年くらいです。

今回は、コンサルティングのご依頼をいただく前におこなう「提案」のコツについて、現時点で得ている学びを共有します。


推進力がある提案には「ワクワク」がある

コンサルティングの案件は、クライアントさまに向けて「施策の提案」をおこなうことから始まります。
初回のヒアリングを踏まえて課題のアタリをつけ、コンサルティングを通じてどのような施策を実施するかをお伝えするのです。
その提案内容にご納得いただけた場合、コンサルティング契約を結び、お取引が始まります。

中小規模のクライアントさまの場合、社長が商談に直接出席されるケースがよくあります。
このとき、社長さんに「ではその施策で!」と言っていただくには、どうすればいいのでしょうか。

私はこれまで、先方のサイトのアクセス状況や、PEST・5F・3C・SWOTをはじめとするマーケティング分析といった「データ」をもとに提案すればよいのだと思っていました。
というか、それ以外の方法を知りませんでした。

でも、それだと上手くいかないんです。
提案の経験を重ねるなかで、経営者さんにGOサインを出してもらうには、どうやら「ワクワク感」が重要だ、ということがわかってきました。

「ワクワク」というと何だかふわっとしていてアホっぽいですが、しっかりとロジックがあります。
今回は、「ではそれでお願いします!」と依頼していただくうえで重要な「ワクワク」のある提案をつくる方法について、現時点で試行錯誤している内容をお話しします。

私自身もまだまだ全然勉強中なのですが、私と同じようにコンサルタント経験が浅く、クライアントさまへの提案が必要な業務をされている方の参考になれば幸いです。

■分析の延長上での提案は「想定の範囲内」

「御社のサイトを分析したところ、競合と比べてサイトの導線が分かりづらく・・・」「競合との比較から、購買につながるキーワードでのコンテンツが少なく・・・」って、社長からしたら、そんなことはどうでもよかったりします。

データとして分析していなくとも、肌感覚でわかっているというか、「なんでそんなことをこんなガキに言われなアカンねん」と思われてしまいます。
ついでに言うと、ざっと分析するだけなら、AIでも十分だったりしますし。
PEST分析 ChatGPT」「3C分析 ChatGPT」とかで検索すると、様々なプロンプトを紹介してくれている記事が見つかります。

AIにできることであれば、高い費用を支払ってまでコンサルティングを依頼する必要はありません。
よって、依頼していただける確率は極めて低くなってしまいます。
仮にご依頼いただけたとしても、今後、分析した内容だけにもとづく提案の価値はどんどん下がっていってしまうでしょう。

ご依頼いただけて、かつ、しっかりと対価をいただける提案をするには、分析結果から導き出せる範囲内にとどまっていてはあきまへん。
そこで必要なのが「ワクワク」という要素です。

■コンサルタントは、お客さまと一緒に夢を見る「モチベーター」

コンサルタントは、絶対的な正解をもっていて、その答えをお客さまに提示する仕事ではありません。
お客さまと一緒に夢を見る仕事です。
・・・っていうとめっちゃアホっぽいんですけど、たぶん間違ってないと思います。

そして、その夢を実現できるよう、具体的なアクションプランを提示する仕事です。
かつ、そのアクションプランを実行できるよう、手足を動かして親身にサポートする仕事です。

このあたりの考え方は、最近読んだ『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』という本にもめっちゃ影響を受けていると思います。
(クライアントのビジョン実現に向けて伴走する「ビジョナリーパートナー」という概念を提唱している、和仁達也さんの書籍)

では、いったいどのようにすれば「ワクワク」していただける提案ができるのでしょうか。
次の章で、提案を考えるために実践している具体的な方法を記載します。

ワクワクのある提案を考えるための3ステップ

クライアントさまと一緒に夢を語るような、ワクワク感のある提案をするためのステップは、以下の3つです。

  1. 理想的なゴールの状態から考える

  2. 「ぶっちゃけ」を軸に、とにかくアイデアを発散する

  3. 分析結果を使ってアイデアを補強する

それぞれ解説します。

■【ステップ1】理想的なゴールの状態を考える

「商品・サービスがめっちゃ売れて、お金が儲かる」
マーケティングのご相談をくださる場合、多くのクライアントさまの根源的なゴールはここに集約されます。
もちろん、その他にもさまざまな目的があるとは思いますが、その前提条件として、まずは売上が上がることを求めていらっしゃるはずです。

あまり厳密に言語化しなくてもOKなので、まずはざっくりとした方向性を定めましょう。
そして、そのゴールを達成するには何が必要なのかを、逆算思考で考えていきます。

このあたりの考え方は、勤務先の社長から教わったノウハウに加え、『全脳思考』という本から影響を受けました。
(相手が120%満足している状態を想定し、そこから逆算して取るべきアクションを考える「フューチャーマッピング」の概念を紹介している書籍。神田昌典さん著)

ただし、担当者さまがご相談に来てくださっている場合、「部署の数値目標達成」がゴールという可能性もあります。
つまり、売上向上よりも、サイトへの訪問者数増加を優先したい、というケースもあるということです。
その場合は「サイトへの訪問者数がめっちゃ増えて、部署の数値目標が達成できる」をゴールに設定し、そこから逆算して提案内容を考えましょう。

■【ステップ2】「ぶっちゃけ」を軸に、とにかくアイデアを発散する

ゴールを見据えられたら、そのゴールを達成するためにクリアすべき「課題」を考えます。
といっても、正解なんかわからないので、まずはとにかく思考を発散させまくることが重要。
でないと、想定の範囲内のアイデアしか浮かんでこず、ワクワクに至る提案が生まれないからです。

想定の範囲外の発想をするには、いったんフレームワークから離れて、自分の感情に紐付いた表現で考えを書きとめていきましょう。
フレームワークの枠組みの中で思考するというよりは、発想の補助具としてフレームワークを使うという感じ。
収束は後からいくらでもできるので、まずはどんどん意見を出していきます。

発散するうえでのキーワードは「ぶっちゃけ」です。
「ぶっちゃけ、●●を買うんだったら、Google検索じゃなくてインスタで探した方がラク」
「ぶっちゃけ、このサービスを申し込む理由って、周りに「●●使ってるんだよね」って自慢したいからなんちゃうか」
とか。

課題と全然関係なさそうなものでも、まずはどんどん出していきます。
すると、ゴールと現状との間をつなぐ課題が、意外なところから見つかったりします。

■【ステップ3】分析結果を使ってアイデアを補強する

ステップ2で見出したアイデアに、納得感を付与します。
というのも、ぶっちゃけ軸で発散したアイデアって、「おっ!なるほど」という感じはあっても、「ほんまにそうか・・・?」という危うさがあるんです。
結果として、予算を使ってアクセルを踏むべきか否か判断しにくい提案になってしまいます。
それ以前に、自分が自信をもって提案できません。

よって、アイデアを補強するための根拠が必要です。
そこで活用するのが、フレームワークやアクセス解析といった「分析結果」です。

分析結果を使って補強することで、アイデアがハリボテではなく、しっかり身の詰まったものだということが示せます。
これは「後付けで理由をでっちあげろ」というわけではありません。
分析結果を使って補強できないアイデアの場合、残念ながら的外れなアイデアだったと考えた方がよさそうです。
逆に、分析結果から少しでも根拠づけできるのであれば、そのアイデアはかなりイイ線いっている可能性があります。

分析結果をもとにアイデアを検証することは、提案の説得力を増すと同時に、提案が間違っていないかどうかを判断するうえでも非常に重要です。

ワクワクのある提案は、伝えたくてワクワクする

こうして完成した提案は、最初にクライアントさまからうかがったご相談内容よりも、1周り大きなスケールになっていることが多いです。
たとえば、当初はサイトの利便性向上に関するご相談だったはずが、最終的には、業界内におけるクライアントさまのポジション取りも含めたご提案になったりします。
スケールが大きくてワクワクしますね。

もちろん、手法として「サイト改善」に取り組んでいくことにはなるのですが、大きなゴールに向かって実施する施策なのだと意識するだけでも、スケールが大きくてワクワクしますし、方向性もブレません。

そして、クライアントさまにワクワクしていただけそうな提案ができあがると、こちらとしてもワクワクし、早くご提案したくてたまらなくなります。
だから提案資料の作成にも力が入るし、提案のプレゼンにも勢いが出ます。

結果として、ご依頼をいただける確率も高くなります(たぶん)。

まだまだ全然未熟者のクセに偉そうなことを語ってしまいました。
実を言うと、上記のことを踏まえて色々考えつつも、結局は上司(社長)に頼りまくっています。
なので全然有言実行できてなくて恥ずかしいのですが、業務の中でぼやっと考えていたことを整理できて、個人的にはよかったです。
この記事が、私と同じようにコンサル経験の浅い方のご参考になればうれしいです。


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