見出し画像

深夜の学校であった本当に怖い話

静まり返った校舎内。教室の電気をつけ、座席をメモしていると・・・

カラカラカラ・・・

廊下から空き缶が転がるような音が・・・


当時勤務していた学校は研究中心校で、全教科最低でも年に3回の研究授業を行っていました。

当然筆者も何度もやりましたが、その準備で夜遅くまで学校に残っていた時のことです。

部活指導を終え、通常業務を片付け、研究授業の準備に取り掛かかったころには、すでに22時を回っていました。

授業はもう明日に迫っています。

指導計画を修正し、授業で配るプリントや資料を整えていた時、ふと気づきます。


「座席表作ってない・・・」


研究授業では参観される先生方向けに、そのクラスの生徒の座席表を配布します。

それを作るのをすっかり忘れていました。

時計を見るとすでに23時を回っています。

窓の外から見える南校舎に、明かりのついている部屋はありません。

南校舎の窓に反射する中校舎の明かりも、筆者のいる研究室のみです。

筆者のいる研究室は、3つある校舎の真ん中、中校舎の3階。
西の端にある図書館の隣です。

授業をする2年3組の教室は、同じ中校舎の4階の東端。


いやだな~

さすがにみんな帰っちゃって、俺一人か~

明日も朝から授業つまってるし、明日作る時間ないな~


残業は慣れているとはいえ、深夜の学校を一人でうろつくのは、
それなりに抵抗があります。


できれば行きたくない・・・


でも、今夜のうちに作らないと明日どうなるか・・・



「しゃーないっ!」


1つ気合を入れて、教室へ行くことを決意しました。


夜の教室はマジで不気味


研究室を出ると北校舎が見えます。

やはり北校舎にも明かりは一つもついていません。

忙しい学校なので、日付が変わるくらいまでは、誰かしら残業していることが多いのに、今日に限って誰もいない・・・

メモとペンをもって、4階へ上がるため東階段へ歩き出します。

3階の廊下はもともと電気をつけてあったので、恐怖心はありません。

階段にたどりつき、電気をつけます。

普段過ごしている3階と違って、4階は異界の空気を感じます・・・


階段を上りきると、そこに広がっているのは真っ暗な学校の廊下。

奥のほうにある消火栓の赤ランプだけが、ほのかに光っています。

市街地にあるとはいえ、大通りから一本奥まったところに学校は立っているため、街灯などの明かりもあまり届きません。


手探りで壁にある廊下の電灯のスイッチを探り、廊下の電気をつけます。


パッと暗闇を追い払い、見慣れた2年教室の廊下が現れます。


明るくなった廊下には、もちろん誰もいないし、何も置いてありません。


東に向かって2つ目、校舎の端にあるのが目的の2年3組。

教室のドアを開けて、電気をつけます。

昼間はにぎやかが過ぎるくらいの場所なのに、夜は静寂に包まれています。


さっさと終わらせよう。


机に張られた名札を見ながら、座席をメモしていきます。

その時・・・




カラカラカラ・・・・




廊下から空き缶が転がるような音が・・・





・・・いやいやいや!

ないから!

廊下に空き缶なんてなかったから!

さっきちゃんと見たし!

気のせい気のせい・・・


そう自分に言い聞かせ、とにかく座席のメモを続けます。

すると・・・





ヒュ~、パタン!





今度はホウキか何かが倒れるような音が・・・




・・・またまたまたまた~!

そんなわけないから!

ホウキなんてなかったから!

ちゃんと見たし!

気のせいだって!



今回も無視してメモを続けます。

・・・・・・






ドンッドンッドンッ!!





突然、廊下側から壁を叩く音が鳴り響いたのです!

壁に張られた学級通信などのプリント類が、振動でかすかにゆれています。





えええええええ~~~~~~!?

それはないよ~~~!

いくらなんでもやりすぎやって!!

無視されて怒ったんか知らんけど、あかんて!!


そこまで自己主張したらあかん!!


やりすぎやって!!!




思わずへんな関西弁が出てしまうほど動揺してしまいました。

さすがにやばい!

さすがに気のせいじゃない!

残った数名の名前を急いでメモすると、教室の出口に向かいます。



恐る恐る廊下をのぞいて確かめると・・・



もちろん誰もいないし、カンもホウキもありません。



教室の電気を消し、そそくさと階段へ向かいます。


後ろは絶対にふり返りません!


なかば走りながら廊下の電気を消すと階段を駆け下り、
ホームの3階研究室に走りこみます!


やばいって!

これはやばいって!


もう座席表作るどころじゃありません。


帰りたい!


場所さえわかれば座席表自体は5分でできます。
明日の朝ちょっと早く来てやろう!

急いでパソコンを閉じ、荷物を片付けて帰り支度を整え、
猛ダッシュで校舎を出て車に乗り込みました。



翌日の研究授業は、平静を装ってなんとか乗り切りました。


数日後、迷ったんですが、例の2年3組の子たちに、深夜この教室であった不思議な出来事について話しました。

悲鳴が上がり、みんな怖がっていましたが、夏の暑い時期だったので、
喜んだ生徒も多かったようです。



授業が終わった後、一人の女子生徒が私のところにきました。

前々から「見える」と言っている、雰囲気のある子です。


「先生の話、わかります。だって私、





廊下から教室のぞいている三つ編みの女の子、何度か見てますから





いらないから!

そんな情報いらないから!!

私見てないし!

女の子見てないし!

誰もいなかったし!

音がしただけだし!



「見えなければセーフ」という謎ルールで、
筆者は全てを流すことにしました。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

役にたった。参考になった。もっと知りたい。もっと読みたい。そう思っていただけた方。よろしければサポートお願いします。投稿への意欲が爆増します!