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エンジニア・デザイナー組織の中途入社オンボーディングの考え方と作り方
この記事は、LITALICO Advent Calendar 2022、20日目の記事です。
もう2022年終わっちゃうの?!って気持ちですが、いやはや今年もあっという間の1年でした。
2021年5月にエンジニア・デザイナーの職種機能型の組織ができ、同時に専任のHRチームの立ち上げをはじめて1年8ヶ月がたちました。
取り組んできたあれこれについてちゃんとまとめて書きたいなと思いつつ、今日はこの1年8ヶ月で注力してきたこととの1つである、中途入社者の入社オンボーディングについて、どんな考え方でどんな風につくってきたかを書こうかなと思います。
ここ数年で「オンボーディング」という言葉もよく聞くようになり、本も出たり、いろんな会社さんが記事を書いてくれていたり、参考になる情報が増えてきていますが、実際に自社でゼロからオンボーディングを作るときにどうしたらいいんだろう?というときのヒントになったらうれしいです。
いくつかの前提
■組織
・LITALICOは「障害のない社会をつくる」をビジョンに、教育や障害福祉領域で事業展開をしている会社です。社員数は3,500人くらい。
・今回お話するのは、その中でもエンジニア、デザイナー、ディレクター、社内ITなどの職種のメンバー、100人強が所属するエンジニアリング統括部の中途入社オンボーディングについてです。
■採用状況
・こちらの図がわかりやすそうですが、新しいプロダクトの開発が決まったタイミングで必要な人員について採用をかけるという形から、プラットフォーム事業への注力が決まりエンジニアの通年採用がはじまり組織を拡大していくぞ、となったのが2021年でした。(増え方がすごい)
・エンジニアリング統括部のみで、毎月2~6名の新しいメンバーが加わってくれており、ほぼ毎月入社オンボーディングのプログラムを実施しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1671177296104-gy4n6R3NdB.png?width=1200)
■オンボーディングの状態
・2021年当時の状況としては、全社共通オフラインで行われていた入社研修がコロナの影響もあり動画化し、各部署ごとに入社者の受け入れをする形になっていました。
・新しくできた組織だったので、エンジニアリング統括部としてのオンボーディングプログラムはない状態。組織拡大がはじまる中で、入社オンボーディングのプログラムを整えることはマストでした。
……さてけっこう長くなりそうなので、そろそろ本題に入らねば。
オンボーディングプログラムをつくりはじめる前に行ったこと
①全員1on1を利用しての社員ヒアリング
組織もできたて、私も異動したてだったので、組織の状態と働く人を知るために最初に約80人全員と1on1を行いました。
その中で、直近1年でコロナ禍になってから入社したみなさんとの1on1では困りごとの確認をしながら、どんなオンボーディングを受けたのかどんなプログラムがあるとよいかのヒアリングも意識的に行っていました。また新入社員の受け入れをしたマネージャーとの1on1では、受け入れの課題感なども聞くようにしていました。
②他事業部へのヒアリング
私自身、入社から10年以上たちしかもオフラインでの入社体験しか持ってないので、社内の他の組織ではどんな風に受け入れをしてるんだろう?ということで社内のいくつかの部署にヒアリングをさせてもらったり、実際の資料を見せてもらったりしました。どの人もすごく親身になって相談にのってくれて大変ありがたかったのと、困りポイントなどを事前に把握できたことがプログラムを作る上では役立ちました。
③他社事例のリサーチ
ありがたいことにIT系スタートアップ企業のオンボーディングについての記事はまあまあたくさんあるので、ひたすら読みました。オーガニックの検索でも探していたけど、note内のオンボーディングのタグがついてる記事はたぶんほぼ全部読んだと思われる。(こういう作業を楽しめるのは収集心強めのオタク気質のおかげ)
参考になる情報は多かったけれど、全社ではなく一組織、しかも職種機能組織で、複数サービス、複数プロダクトを扱っている組織という条件がレアすぎて、似た状況の事例は少なく、当たり前だけどそのままは使えないので、具体の事例だけでなく、その施策に至った考え方の部分により注目してリサーチをしてました。
④アカデミックのリサーチ
なにかしらか土台となる理論があるとオオゴケしなくてよさそうだなという感覚があったので、組織社会化とキャリア発達のトランディションに関連する本や資料を再読して、プログラムを作成するにあたっての留意点の洗い出しを行うことにしました。とくにこの2冊は参考になりました。ありがとうございます。
オンボーディングプログラムのコンセプトをつくる
やばい、まだプログラムの内容の話にいけてない(笑)
ヒアリングとリサーチの次に行ったのが、オンボーディングのコンセプトをつくることでした。
私自身が非エンジニア・非デザイナーで、かつ異動したばかりでまだ組織の解像度もあがりきっていない状態だったので、プログラムの詳細を作りこむ前にCTO、VPoEと目線を合わせておいたほうがいいなと思ったことと、プログラムを作る中でもなにかしらの軸に沿ってつくったほうがよさそうだと考えました。(この辺は、編集者として仕事をした経験が活きているなぁと思います)
そんなわけでできたコンセプトがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1671181783664-Tuyx2TXIw3.png?width=1200)
オンボーディングのエンプロイジャーニーマップをつくる
次にオンボーディングの3ヶ月の期間で、入社してくれたみなさんがどんな体験ができるとよいのか?について、エンプロイジャーニーマップをつくりました。細かく詰め切るというよりは、イメージのすり合わせをするためのものです。
これを最初に共有したことで、オンボーディングのゴール状態の認識あわせ、オンボーディングは中途新入社員が新しい環境になれてパフォーマンスを発揮できる状態になるまでのサポートである、という大切な部分の認識あわせができたように思います。
オンボーディングプログラムの設計とツール
コンセプトとジャーニーマップをベースに、オンボーディングのプログラムを作っていきます。
社員ヒアリングを参考にしつつ、とくにこだわったのは以下の3点でした。
①入社時に必要な情報/社内の必要な情報にアクセスしやすい情報設計
・オリエン資料作成
・セルフオンボーディングシートの作成
・必要な情報のリンク集の作成など
②ビジョンとwelcomeを感じられる入社体験
・welcomeを伝える入社体験づくり(初日プログラム、welcomeツール、名札の作成、新入社員の写真とあわせての自己紹介投稿など)
・オリエン、全体会などで理念/ビジョン/行動指針を知る、感じる、考える機会づくり
③社内ネットワークづくりの支援
・オリエンでの入社同期との自己紹介
・入社同期のslackチャンネル作成
・ななメンター制度
・入社1ヶ月後の人事1on1など
![](https://assets.st-note.com/img/1671182019599-cgHujNe3rv.png?width=1200)
新入社員を巻き込んでの改善プロセス
オンボーディングは運用が肝。
というわけで、新しいオンボーディングプログラムをスタートしてから、新しく入社したみなさんには正直に「このプログラムできたてほやほやです」とお伝えし、当日の内容や資料で分かりにくいところについてのフィードバックや、もっとこうしたらどうかというアイデアをもらい、その内容を反映しながら毎月少しづつ改善を続けました。
最初から完璧なオンボーディングプログラムをつくるのではなく、新入社員と一緒にオンボーディングプログラムをつくっていく、くらいの気持ちがちょうどよいのではないかと思います。
オンボーディングの現状課題
オンボーディングプログラムをはじめて1年がたったので、この期間の新入社員とその上長向けにアンケートを行い、振り返りを行いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1671415763756-dlEFzxKbv6.png?width=1200)
最初にも書きましたが、エンジニアリング統括部は複数の職種・プロジェクト・プロダクトに関わるメンバーが集まっている組織です。そのため、中途入社の方はエンジニアリング統括部の共通オンボーディングとあわせて各部署で業務オンボーディングを行っていきます。
業務的な側面としては部署でのオンボーディングの割合が多くなるのですが、部署ごとのオンボーディングの型的なものがないので、部署によって業務オンボーディングの体験やスムーズさ、同僚とのコミュニケーションの量などに差があるのが現状です。
まずは全部署に共通部分についてオンボーディングプログラムをつくってきましたが、次のフェーズではマネージャーのみなさんと連携して各部署での業務オンボーディングがよりスムーズになるような仕組みづくりをしていきたいと考えています。
今後のオンボーディング
今後は以下の2点を中心にオンボーディングプログラムのバージョンアップを予定しています。
①オンボーディングのゴールの明確化
・業務オンボーディングと接続する形で、エンジニアリング統括部共通オンボーディングのゴールを「新入社員の小さな成功体験をつくる」ことをゴールにしてプログラムを再設計する
②配属先部署/上長と連携してのサポート
・受け入れ側のオンボーディングのナレッジを共有しあえるような機会をつくる
・オンボーディングプランの作成や振り返りなどができるようなツールの提供
新入社員を受け入れる配属先の部署や上長のみなさんも、受け入れにあたっての準備やサポートがけっこう大変だったりするので、そのあたりをサポートしていけるような仕組みをつくっていきたいなと思います。
最後に
入社オンボーディングの中でよく「オンボーディングで気づいたことがあったら教えてください。それによって来月入社する人の入社体験がよくなります」と言ってるのですが、これはけっこう本気で思っていて。
入社オンボーディングのプログラムはHRだけではなく、実際に体験しながらたくさんのフィードバックをくれた中途入社のみなさんや受け入れ部署のマネージャーのみなさんと一緒につくってきたものだと思っています。(ほんとに毎月たくさんフィードバックをいただいています、ありがとうございます!)
「もっとこうしたらいいのに」「ここが分かりにくくて困った」「こんな制度をつくってほしい」
それがどんなささいなことでも、大きくてすぐにできないことだとしても、ひとりひとりの声を大切にする組織でありたいし、そういった声に対してアクションができるHRでありたい。
そして、ひとりひとりが声を出しやすい組織の雰囲気や文化をつくっていきたいと思っています。
まだまだできていないことも多いので、引き続きがんばります!
LITALICOのエンジニア・デザイナー組織に興味をもってくださった方はこちらからどうぞ。
明日のLITALICO Advent Calendar 2022は、@lxl010さんの「(仮)プログラミング的思考でクリスマスケーキを作る話」、@inomotoさんの「CDK for Terraformを実務でちょっと入れてみた」、@negiさんの「エンジニアリングマネージャーが週休3日で働くまでの道のり」の3本です!
2023/12/13追記
この記事を書いてから1年がたちますが、今年入社した@s_ykさんが入社者目線でのオンボーディングの記事を書いてくれました。うれしい。
▶中途入社者向け共通オンボーディングの感想
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