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竹田青嗣の現象学が入試問題に出題されたので実際に解いてみた
■ はじめに
2022年早稲田大学人間科学部の国語入試で、なんと竹田青嗣(以下「竹田」と表記)の著作から問題が出題されました。
まさか現代文の試験問題に竹田の文章、それもフッサールの現象学が登場するとは・・・
受験生にとってはさぞかしキツかったことでしょう。
生まれて初めてフッサールを知った受験生も多かったと思います。
Twitterのツイートには「フッサールって誰ねん」とか「今後フッサールを恨みます」のような内容もあったので、やっぱり難しかったのかなと。
大手予備校の講評でも「昨年より難化」と書かれてますし・・・
(ちなみに残りの古文と漢文の難易度は標準だったようです)
というわけで、フッサール現象学にハマっている私としてはこれは無視できないことなので、今回この入試問題に挑戦しました。
実は私、大学入試問題をやるのは人生初めてです。
とある大学の付属高校に通い、何の努力もしないでエスカレーターで大学に進学した自分が、まさかこのタイミングで大学の入試問題をやることになるとは(汗)
はたして結果はどうなったのか?
過去の記事よりもかなりラフな内容となってますので、ぜひ温かい目で読んで下さい(切実)
1:該当の文章
入試問題の内容(解答例も含む)は下記予備校のリンクから確認できます。
⇒ 代々木ゼミナール
⇒ 早稲田予備校(解答例と講評のみ)
⇒ 増田塾
今回出題されたのは『現象学とは何か?ー哲学と学問を刷新するー 2020年 河出書房新社』にある竹田が執筆した文章になります。
(上記の書籍は共著になります)
すでに図書館で本書を借りたことがあるので、該当する文章は読了済みでしたが、内容はほとんど忘れている状態で問題に取り組むことに。
まあ、それでも受験生より相当なハンデがあるのは否めません。
なお、該当の文章は竹田現象学の解釈が端的に書かれているので、これを読むだけでも竹田がフッサールの現象学をどう解釈しているのかが分かると思います。
2:とりあえず制限時間は20分で
この入試問題は60分制限だったようですが、大問が3つということで今回は20分制限でやりました。
正直、早稲田大学志望の受験生だったとしても20分でこの問題を解くのは至難の技でしょう。
残りの古文と漢文は難易度は標準だったとのことなので、それぞれ解答するのに20分も必要ないのかもしれませんが、とりあえず20分ということにしておきます。
実際に入試を受けるわけじゃないので、じっくり時間をかけてやっても良いのですが、なるべく受験生と同じ条件でやった方が公平だと判断しました。
3:早速問題を解いてみる
・文章と問いの構成をチェック
※この記事を書いている2022年2月27日時点の数日前に入試問題を解いたため、決してリアルタイムではないですが出来るだけ当時の様子を再現しながら書いた内容であることをご了承ください。
さあ、いよいよ入試問題に挑戦です。
まずは、文章と問いの構成をザッとチェック。
文章自体はA4用紙で2枚半強といったところ。
これくらいの文章量って普通なんですかね?
大学の入試問題を初めて見る自分にとっては、そこら辺の事情は全く分かりません。。
次に、問いの構成。
目を通した限り
・選択肢問題:7問
・空欄補充問題:5問
・傍線部理解問題:1問
という構成。
うわー、学生時代苦手だったら選択肢問題がけっこうある・・・
ん〜これは消去法で解きまくるしかないかも(汗)
てか、全部で13問って多くないか?!
せめて10問までにしてくれ(泣)
最後に各問題文をチェック。
選択肢問題が多いので、それぞれの選択肢の文章を読んでいたら時間がなくなると思い、とりあえず問題文だけを読むことに。
おっ、問3で「ノエシスーとノエマの構造」についての問題があるじゃないか!
高校で倫理を勉強していた受験生にとっては有利かもしれないけど、ノエマには色々な解釈があるってことをこの入試問題で初めて知った人も多いはず。
問12問は竹田の現象学解釈を知っている人は、本文読まなくても選択肢だけ見れば答えられそうな問題。
ザッと確認した限り、確かに難しそうだ。
ただ、全体的に見て良い問題を設定しているなという印象。
ということで、これは順番に解いていくしかないと思い、素直に1問目から解いていきます。
この時点で2分経過・・・
・問1~4
◯問1
空間(a)に入る語句として最も適切なものを次の中から1つ選ぶ、解答欄にマークせよ。
イ:風景
ロ:時空
ハ:人称
ニ:価値
ホ:視線
これは楽勝。
前段落の文章に「ものの見方」というワードがあるので、答えは「ホ」
さすがに1問目は難しくない模様。
もし答えが「ロ:時空」だったら、それはそれで夢とロマンが溢れているので現象学がそういったものだったら確かに最高だなと思う(笑)
◯問2
傍線部1「「意識」に知覚像が現出する(所与される)こと」とあるが、著者はこれを端的に言い表すのに何という語句を用いているか。この傍線部よりも前の本文中から漢字四字以内で抜き出し、記述解答用紙の解答欄に記入せ。
「記入せ」って何やねん!と一瞬思いつつ、「よ」が脱字されていると瞬時に理解する。
入試問題でも誤字脱字ってあるんですね〜。
てか、問題文を確認している時は気がつかなかったわ(汗)
気を取り直して、前の文章を読んでみると「意識与件」がここでは該当すると判断。
まあ、問題文に「(所与される)」と書いてあるので「与件」というワードが入っていれば99%正解でしょう。
それにしても、漢字四文字以内の‘’以内‘’って少し緩く制限しているところが意地悪だな。
きっぱり「漢字四文字」って限定してくれれば良いのに・・・
◯問3
傍線部2「「ノエシスーノエマ」構造」とあるが、ここでの説明として最も適切なものを次の中から1つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:意識として知覚された像が断続的に変化する中で時間的に推移してしまうため、何らかの統一的な知覚像を得にくいという構造。
ロ:意識に現われ続ける知覚像が連続的に変化していったとしても、途絶えることなく何らかの確信を持ち続けられるという構造
ハ:意識に現れ、感じたものが知覚されるのと同様の仕組みで、想起や想像に対しても断続的に確信を持つことができるという構造。
ニ:想起や想像ではない知覚像を論理的に操作することによって対象意味を付与し続けなければ、対象を確信できないという構造
ホ:想起や想像という意識が現われ、それが時間的に変化しても、対象意味の統一が失われないかぎりこの対象を確信できるという構造。
これは前の文章を読めば、答えは当然「ロ」になる。
「イ」と「ニ」は「確信」について否定的なニュアンスをもった内容なので消去。
残りの「ハ」は前の文章で「(想起や想像ではなく)」と書かれていて、今話しているのは「知覚」についてなので×。
まあ、フッサールは知覚をベースにして、そこから想起や想像に展開して、そこで知覚と同様の対象意味が現れる場合、どのような構成を経てそうなっているかを分析したのは事実ですが。
「ホ」は『イデーン』の内容を見れば正解になると思う。
でも問題文に「ここでの説明」と書かれているので×になる。
◯問4
空欄(b)に入る語句として最も適切なものを本文中から五文字以内で抜き出し、記述解答欄用紙の解答欄に記入せ。なお、句読点や括弧・記号などが含まれる場合には。それぞれ一字文に数え、必ず一マス用いること。
ここでも「記入せ」の脱字が。
それは良しとして、この問題はちょっと難しいかも。
一瞬「知覚」かなと思ったが、それだと「知覚」そのものの確信が与えられなくなるので、すぐに間違いだと気付く。
よって、前の文章を読む限り「現実存在」がもっとも妥当だと判断。
もしくは「超越」でも良いような気がするけど、問題文に「最も適切な〜」と書いているので、それを考えると「現実存在」の方が適切かなと。
いやー、実に精巧に作られた問題ですなー。
この時点で時間は8分経過・・・
「これ、時間内に終わるのか?」と焦りつつ次の問題に取り組む。
・問5〜9
◯問5
空欄(c)に入る適切な語句として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:フッサール現象学で理解不能な構成
ロ:語の素朴な使用から類推できる構成
ハ:操作的概念から生み出させれた構成
ニ:多くの現象学者が説明する構成
ホ:内在的意識における確信の構成
本文1ページの最後の段落から伝統的(標準的な)フッサール現象学の解釈批判に触れ始めている。
これは即答で「ホ」と解答。
「c」の文章が「しかし」で始まっているので、その文章より前に書かれている標準的な解釈の内容は当然ながら当てはまらないので「ホ」以外は全て×になる。
よし、これでちょっとは時間を稼げたぞ!
◯問6
傍線部3「現象学的還元の概念自体に対する根本的無理解を意味している」とあるが、その説明として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:フッサール以外の現象学者の多くは、実在生が原因になり、その結果として意識に対象の知覚像が現れているという自然的態度を受け付けていないということ。
ロ:フッサール以外の現象学者の多くは、現象学的還元における構成が、多種多様な構成を指すというフッサールが示した見解を支持していないということ。
ハ:フッサール以外の現象学者の多くは、現象学が扱う認識論が、確信の不可犠牲が構成さえる条件および構造を問題にしていることを踏まえていないということ。
ニ:フッサール以外の現象学者の多くは、純粋意識の範囲が、意識流という世界認識の一般構成の原理論として明確に示されている点を見落としているということ。
ホ:フッサール以外の現象学者の多くは、現象学的目隠しゲームを通して、現象学的還元の基本構図を誰であれ難なく取り出せることに考えが及ばないということ。
これは本文の最初の最初の方に「現象学的還元」の概念について書かれていて、それと照らし合わせると「ハ」以外考えられない。
一瞬「ニ」かもしれないと思ったが、今問われているのが「現象学的還元」についてなので、もし「ニ」なら現象学全体のことに関わってしまうので間違いだと判断。
この問題は、ここまで本文の内容を理解していないと解けない問題だと思う。
◯問7
傍線部4「純粋意識」とあるが、現象学的「目隠しゲーム」のなかで、何がこれに相当するとしているか。最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:目を閉じることで起こる覚醒
ロ:ゲームから想起された記憶
ハ:他者存在が排除された経験
ニ:現にある洋酒ボトルの手触り
ホ:混じり気がなく高い集中力
棒線部4の段落の前後の段落を読み取れれば解答できそうな問題。
「イ」は「覚醒」なんてワードは一切出てきていないので消去。
「ロ」は「想起された記憶」と書いている時点で消去。
この目隠しゲームでは、実際に洋酒ボトルの手触りを行っている場面を想定しているので、過去にまつわるワードが出てる時点で×。
「ハ」は「他者存在」については触れていないので×
問題は残りの「ニ」と「ホ」
これは悩みまくった受験生が多かったはず。
まず「純粋意識」という言葉だけで考えれば、妥当なのは「ホ」に決まってます。
なぜなら「純粋=混じり気がなく」と捉えることは十分可能だから。
ただ、前後の段落をさらに注意深く読んでると「~のありよう」というのは「純粋意識」そのものとも捉えられるし、その「純粋意識」の中でおこなれている確信の構成の様子(洋酒ボトルだと確信するまでの過程)つまり「純粋記述」と捉えることも可能なんじゃないか?と思ってしまい、「ニ」も正解なんじゃないかと余計迷ってしまう結果に。。。
悩んだ結果、「ホ」にすることに。
どうでもいい事ですが「純粋意識」を「高い集中力」と表現するのは標準的な現象学解釈の立場なら「はっ?」ってなると思います。
この問題は自信がないです。
◯問8
傍線部5「ノエマをしばしば「意味」と呼ぶ」とあるが、それはなぜか。その理由として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:知覚像への作用と確信を与える対象との間にある、ノエマが意味を媒介するという内在的なノエマとその意味が強く結合しているから
ロ:対象の存在の確信とその意味の確信は同時に形成されるため、主観によって把握されるノエマには対象の意味が含まれていることが多くなるから。
ハ:情報の集約物である知覚像が人間に作用するということは、ノエマそれ自体に意味があると判断される性質が備わっていることに等しいから。
ニ:対象自体を指すノエマは、知覚像と体験の結合から生じるのではなく、知覚された物自体がそのままノエマの意味を表現しているから。
ホ:多義的な知覚像に対して、ノエマが特定の文脈を指し示すことで、知覚像についての解釈の幅を限定し、理解を助ける意味を持っているから。
これは「イ」と「ロ」で少し迷ってしまった。。
棒線部5の直後に「対象の「意味」の直観的な到来だからである」と書いているので「ロ」が妥当なような気もするけど、最後に「〜多くなるから」と書いているので、それだとノエマそのものが確率的なものになってしまうので×だと判断。
というわけで最終的に「イ」にすることに。
この問題もあまり自信がないです(汗)
問9
空欄(d)に入る語句として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:絶対的な独自性
ロ:超越的な客観性
ハ:基本的な優位性
ニ:感覚的な志向性
ホ:先験的な他者性
これは即答で「イ」と解答。
前の段落で「私自身の痛み」と書かれているので1番妥当なのは「イ」になる。
これは合っているでしょう。
この時点で時間は14分経過・・・
やばい、問7,8で予想以上に時間を使ってしまった。
こりゃあ解答を見直す時間はなさそうです(泣)
・問10~13
◯問10
傍線部6「われわれはこれを、現象学的「間主観性」の概念の一般モデルとみなすことができる」とあるが、それはなぜか。その理由として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:すべての人は主観に依存して世界を認識するしかないが、「言語ゲーム」を通して、例外なく自分自身の主観的確信の構成が他者のそれと同一の構造を有すると確信されるから。
ロ:世界はその総体を純粋意識に還元できるので、各人が自分だけの世界は原理的に交換不可能であるにもかかわらず、本質的には他者と自己との間で同一であると仮定できるから
ハ:現実の「かぶと虫」という存在は、知覚像から誰しも「かぶと虫」であることを確認できるので、他者との間で言葉を交わさなくても、共通理解が得られるから。
ニ:人間は「言語ゲーム」によって多人数が同時参加する世界についても認識を交換できるため、通信の遅延がなければ世界が同一であると予想できるから。
ホ:各人は自分だけの交換不可能な世界を生きているため、自分の認識と他者の認識を同一にするためには、世界が同一であると想定しなければならないから。
これは棒線部6の後にある2つの段落を読み取れれば「イ」が最も妥当。
この問題はそんなに難しくない。
◯問11
空欄(e)にあてはまる語句を本文中の表現を用いて三字以上、五字以内で記述解答用紙の解答欄に記入せ。なお、句読点や括弧・記号などが含まれる場合には、それぞれ一字文に数え、必ず一マス用いること。
3回目の「記入せ」が登場。
ここまでくると「もしかしてこれが正しい日本語表現なのか?」と不安になる(笑)
か、ここにきて空欄補充の問題かい!
もう時間がないから、この問題は捨てることに。
たとえ前後に該当する表現があったとしても、確認している時間すらないくらいタイムリミットは迫っているので潔く諦めます。
しかも残り2つは選択肢問題だし・・・
とりあえず「対象確信」とでも記入しておくことに。
奇跡的に正解していることを願いつつ次の問題へ。
◯問12
傍線部7「超越論的主観性はじつは間主観性に先行されている、といった批判」とあるが、著者はこの批判に対してどのように反論しているか。その説明として最も適切なものを次の中から一つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:超越論的主観性と間主観性は、表明的な違いはあるが、主観性という人間の根幹となる共通の概念を含んでいるため、こうした批判自体が意味をなさない、と著者は反論している。
ロ:超越論的主観性が間主観性に先行されるという批判を受け入れた場合、他者を前提としない認識は成り立たず、確信構成の条件を再考しなければならない、と著者は反論している。
ハ:現象学の役割は正当性の根拠の解明なので、本来的な議論として、客観世界が主観世界に先行するという、主観と客観の構図をそもそも扱う必要はない、と著者は反論している。
ニ:現象学では他者の確信がどのように構成されているのかに対してさせも主観により確信が与えられるため、主観ー客観の構図という対比自体が成立しない、と著者は反論している。
ホ:自分の世界と他者の世界が同一の世界であるに違いないことは、自然かつ暗黙の確信であるため、この考えに批判を述べるのは哲学者として相応しくない、と著者は反論している。
この問題は、竹田の現象学解釈を知っていれば本文を読まなくても即答できる問題。
答えは「ニ」になるはず。
竹田お得の<主観ー客観>図式を使った批判がもろに出ている内容。
棒線部7の段落を読めば、おのずと「ニ」になるはずだけど、もしかしたら「ハ」で迷った受験生が多いかもしれない。
「正当性の根拠」というワードが登場するのは1番最後の段落だけど、これは著者の言葉ではなくフッサールの言葉なので著者の反論には当たらないはず。
いよいよ最後の問題。
残り時間は3分ほど。
なんとかギリギリで終わりそうです。
◯問13
この文章の内容に合致するものを次の中から二つ選び、解答欄にマークせよ。
イ:現象学的還元の方法は認識に関わる問題を明らかにしているのにもかかわらず解釈論議が生まれるのは、フッサールより後の多くの現象学者たちが根本的に誤っているからである。
ロ:フッサールによる現象学の動機は哲学の再生にあることには間違いないが、現在から見れば古い考え方になってしまったので、新しい考えに刷新していく必要がある。
ハ:現象学の中心課題は、知覚像が連続的調和を維持することを通じて生じる、超越物が存在するという確信が、どのような条件ならば疑いないと言えるのかを解明することである。
ニ:認識は疑うことができない確信の構成として行われる性質であるため、知覚の不確かさが常に伴う人間の認識を通じて客観的な知識を得ることはできない。
ホ:机などの対象を知覚することや自分の世界と他者の世界が同一のものだと捉えることは、自然な考え方であり、私たちに対象や世界についての確信を与える。
へ:主観と客観との対比関係に基づいて人間の認識を理解するという方法は改善すべき点も多いが、これらに対処すれば、最終的には倫理観を伴った考え方になる。
最後の最後に2つ選べるのはちょっとラッキー。
ただ、これまでの選択肢問題より1つ多くの選択肢がある。
ん〜意地悪だな。
まず「ロ」と「ヘ」は消去。
そんなことはこの本文には一切書かれていない。
「ニ」も違う。本文に「客観的な知識を得ることができない」とまでは言っていない。
残りは「イ」「ハ」「ホ」
この中で確実なのは「ハ」
問題なのは「イ」と「ホ」
「イ」は棒線部3で「現象学的還元の概念自体に対する根本的な根本的無理解を意味している。」と書かれているので合っていると言える。
一方「ホ」は確かにそのような内容と伺われる文章があるとは思ったが「イ」の方がよりはっきりと本文に合っている気がするので除外。
また「机などの対象を意識的に〜」の部分の‘’意識的‘’という表現になっているが、これがもし「机などの対象を知覚すること〜」みたいに‘’意識的‘’というワードがなければ正解なのかもしれない。
‘’意識的‘’でないからこそ自然な考え方に至るわけなので、それを考慮すると×になるはず。
深読みし過ぎですかね?(汗)
よって、ここでは「イ」と「ハ」にすることに。
時間は大丈夫か?
おっ、なんとか残り1分弱で終わることができた。
さっき捨てた問11に再度挑戦する時間があるにはあるが、もう疲れたので終わりにすることに。
・最終的な解答
解答は以下のようになりました。
問1:ホ
問2:意識与件
問3:ロ
問4:現実存在
問5:ホ
問6:ハ
問7:ホ
問8:イ
問9:イ
問10:イ
問11:対象確信
問12:ニ
問13:イ、ハ
自信がないのは問7,8で、問11は完全に間違っていると予想。
なので、全部で3問間違えかなと。
では答え合わせに移りましょう。
4:緊張の答え合わせ
解答はすでに問題文の箇所で紹介した各予備校のものを使用します。
ここで一つ問題なのは、早稲田予備校と代々木ゼミナールの解答例では違うところがあるってことです。
(ちなみに増田塾の解答例は代々木ゼミナールと全く同じ)
しかも、1つだけなく3つも違う箇所があるので、これこれで問題があるんじゃないかと(汗)
まあ、それくらい予備校講師にとっても難しかったってことですかね?
互いに違う解答例については後ほど紹介するとして、早速1問目から答え合わせをしていきます。
問1〜6は問題なく正解。
ここまでは想定内。
問題なのは次の問7と8です。
まず問7ですが、代々木ゼミナールの解答例では「ニ」になっていて、早稲田予備校の解答例では「ホ」になっていました。
やっぱり、この2択ですか・・・
もう1度本文を読んでみたんですが、本文2ページの最後から2段落目をよく読んでみると
「ノエシスは〜手触りの感触(その体験流)〜」
と書かれています。
この文章から、ノエシスは純粋意識内での作用(体験流)ということになるので、もし「ニ」が正解であるとしたら「現にある洋酒ボトルの手触り」ではなく「現にある洋酒ボトルの手触りの‘’感触‘’」と表現すべきだと思います。
よって、早稲田予備校の解答例の方が妥当だと思うんですがどうなんでしょうね。
次に問8。
こちらも同様、両予備校の解答例は異なり、代々木ゼミナールでは「ロ」早稲田予備校では「イ」となっています。
これは先ほど書いた通り、「〜多くなるから」だとノエマが確率的なものになってしまうし、もう1度本文を確認した限り、ノエマを確率的なものとして表現している文章は確認できませんでした。
なので、この問は早稲田予備校の解答例の方が妥当だと思います。
では問9以降を続けていきましょう。
問9〜10は正解の模様。
諦めて捨てた問11の正解は「確信の構成」みたいです。
本文を再度確認してみると、確かにこの解答に近い表現があったことが確認できました。
あ〜、もっと時間があれば正解してたんだろうな(泣)
問12は正解。
さあ、最後の問13です。
なんとココでも両予備校の解答例は異なっています。
代々木ゼミナールでは「イ」と「ハ」になっており、早稲田予備校では「ハ」と「ホ」となっています。
「ハ」は共通しているのでOKなんですが、問題なのは「イ」と「ホ」ですね。
これもさっき書いた通り「ホ」の内容に「机などの対象を‘’意識的‘’に知覚〜」の‘’意識的‘’というワードがネックで、机を例にした知覚像に関する内容をもう1度見ても、ただ単に「意識に〜」と書いているので、やっぱり‘’意識的‘’と書いてある以上×だと思います。
また、早稲田予備校の講評に「「イ」は「根本的に誤っている」が不適切である」という理由で不正解としているけど、すでに書いたように棒線部3で「現象学的還元の概念自体に対する根本的な根本的無理解を意味している。」と書かれているので、「無理解=根本的に誤っている」と捉えて良いのではないでしょうか?
よって、この問は代々木ゼミナールの解答例の方が妥当だと思います。
というわけで、両予備校の解答例が違うので正確な正解数は分かりませんが、問11は確実に間違えなので今回は見栄を張って12問正解としておきましょう(苦笑)
■総括
この入試問題を解いてみて改めて思ったんですが、全く現象学について知らない受験生がこの問題をくまなく解くのは難し過ぎるでしょう・・・
正直、そういった受験生は60分間でも足りるか足りないかくらいのレベルの問題だったと思います。
確かに倫理の授業でフッサールの現象学を学んで少しでも知っている受験生であれば、多少は取り組みやすかったかもしれません。
今の高校倫理でどこまでフッサールの現象学について触れているのか知りませんが、おそらく教科書には載っていない用語もたくさんあったのではないでしょうか?
(たぶん「間主観性」は載っていないと思う)
また、選択肢問題も引っかけ部分が多く、本文をしっかり読んで理解しないと解けない問題が多かった印象があります。
その本文を理解するのに時間がかかってしまうわけで、時間をかけて解答を吟味する余裕すらなかった受験生が多かったはずです。
早稲田大学の入試問題なので難しいのは当然なのかもしれませんが、それでも今年のこの現代文は全国の私立大学の入試問題の中でもトップクラスの難易度だったかと思います。
(大学受験の動向なんて全然知らないので、あくまでも個人的な印象に過ぎませんが)
もし、この入試問題に取り組んだ受験生がこの記事を今読んでいるなら安心してください。
たぶん平均点はめちゃくちゃ低いと思います。
ほんの少しフッサールの現象学を知っている私でも難しかったくらいなので。
とまあ、長々した記事になってしまいましたが最後まで読んで下さりありがとうございました。
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