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西に三、東に一文字ずれてるね

シリーズ・現代川柳と短文 040
(写真でラジオポトフ川柳128)

 美羽さんが「コックリさん」を知ったのは10歳のとき。同じ病室に入院していたカズくんという男の子に話を聞いたのだった。カズくんは美羽さんにそれを教えた次の日に退院してしまったから、美羽さんは深夜の病室でひとりコックリさんと話すことになった。10円玉が紙の上の五十音を一文字ずつ示して動く。み・は・ね………そう。「美羽」は「みはね」と読む。新しい学年になったときなど、たまに「みう」と読みまちがえられることがあって、美羽さんはそのたびにいやな気持ちになった。


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