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【大切な友達の事】 #620


"クンニしたがるレズビアン
ペニスを欲しがるフェミニスト"

これはあるドキュメンタリー映画で出てきた言葉だ

1980年代
まだまだフェミニストやLGBTQなどが
軽視されていた時代

多様性が進む現在では考えられない

でも実際
現在では考えられないのか?

大きなメディアでクローズアップされる失言などについては
SNSなどを中心に袋叩きにされる

では
自分の会社では?
自分の学校では?
自分の親族では?




僕はイジメにあっている


「おいヤスシお前なんでいっつもクネクネしてんねん
キモいなぁ
オカマちゃうか?」

「ホンマやこいつ絶対オカマやで
オカマ
オカマ
オカマ」

とそこへナオミちゃんが割って入った

「こらお前らまた寄ってかかって
お前らかって1人なったらなんもできんやないか
あっち行け
行かへんねんやったらブツよ」


「わっ
女番長や
逃げろ」


「ヤッくん大丈夫?」

「うん」

「ヤッくんはな
そやのままでええねんで
私別にやったらやり返せなんて言わんよ
ヤッくんにはヤッくんのええトコがいっぱいあるさかいにな

今度またイジメられそうになったら
逃げたったらええねん」

「ありがとうナオミちゃん」

「かまへんかまへん」


ナオミちゃんのお父さんは
僕のお父さんが経営している工場に勤めている
家も近いし小さい頃からよく一緒に遊んだ


僕たちは高校までは同じ所に通っていたが
卒業後は僕は大学へ進学し
ナオミちゃんはアメリカに留学した

久しぶりに日本に帰国したナオミちゃんと遊びに行った


「ヤッくん
私な何でアメリカに留学したか知ってる?」

「分かんないよ
なんやろ?」

「そうだよね
私さミルクっていう映画を観てん
ミルク言うても飲み物とちゃうで
ハーヴェイ・ミルクっちゅうゲイの活動家の映画やねん
これ観てな
これやアメリカや
私をアメリカが呼んどる
そう思って留学決めたんや」

「そうなんや
そんな理由があったんやね
ナオミちゃんらしいわ」

「そか
ありがとう
私なレズビアンやねん」

「それは知ってた」

「ホンマに?
言うてへんかったのに」

「見てたら何となく分かったよ」

「そうか」

「でも他の子は多分気付いて無いと思う」

「なんで?」

「だって僕とナオミちゃん付き合ってると思ってた人が多かったから」

「あっなるほどな
確かにヤッくんでカモフラージュされてたかも」

「まぁそのおかげで僕も
オカマ呼ばわりはされんくなっとったし」

「ホンマや
確かに高校入ってから誰も言わんようになったな」

「うん
せやからナオミちゃんには感謝してるよ
僕はオカマちゃうし」

「でも考えたら不思議よな
普通の男の子のヤッくんはオカマ呼ばわりされて
レズビアンの私はノーマークやったんやから」

「だねぇ」

「ヤッくんさぁ
今度アメリカおいでよ
6月に」

「6月

なんで?」

「毎年6月にニューヨークで
パレードがあるねん
来年も参加しようと思ってて
その時に私のパートナーも紹介するからさぁ
おいでよ」

「分かった
両親に相談しとくわ」



そして次の年の6月
僕はアメリカに行った

「ヤッくん
来たねぇ
嬉しいわぁ

紹介するわ
私のパートナーのジェニー
彼女は中国系のアメリカ人やねん」

「ナイスツーミーチュー
マ マイネーム イズ…」

「大丈夫

少し日本語分かるから」

「ホンマに
助かった」


3人は大笑いした


アメリカは何もかもが大きく
ラフで楽しそうに見えた

しかし
その反面
未だに人種差別や性差別などが強く
国民性なのか日本より露骨という負の一面もある

2人からそんな話を聞くと
表現やカタチこそ違えど
日本もアメリカも変わらないような気がした

ただ日本と大きく違うのが
熱量だと思う
日本人はタブーな所は口を塞ぎ
表と裏があるけど
アメリカ人は何事にも真っ直ぐで
良い事も悪い事も表面に出やすい

どっちが正解なのかは分からない


僕は普通の人だけど
ナオミちゃんとジェニーの3人でパレードに参加した


ものすごく沢山の人たちが集まっている
中にはおじいちゃんやおばあちゃんの姿も

こんなの日本じゃ無いなぁ

そう思っていた

でも僕の地元の大阪でも毎年行われてたのを初めて知った

しかも大阪だけじゃなく
東京や札幌でも行われてたなんて

僕はナオミちゃんを通して
LGBTQの事
アメリカの事
その他の差別についての事
色々考えたし勉強になった

身近に感じる事って
ホントとても大切やなぁって思った

テレビとかのドキュメンタリーを
ボーッと見てるだけでは
感じ取られない

そこに居る人と触れ合うからこそ
ホンマに大切な事や
問題点について感じ取る事ができる


地球人として物事を考える
スタート台に立った気がした


ナオミちゃんはその後
ジェニーとは別れちゃったんだけど
また別のパートナーができたらしい
今はカフェで働きながら
法律の勉強をしている

僕は大学を卒業し
一般企業に入社し
生まれて初めて彼女ができた

次回のアメリカは彼女と行きたい




ほな!

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