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【昨日見た悪い夢】 #706


「ごめんなさい許して下さい
もう絶対にしませんから」

私の懇願も虚しく私は同棲中の彼に引きずり回されている
もうこんな事が何ヶ月も続いている

普段の何も無い時はとても優しい
でもゲームの最中に声がけしたり
自分のお金が無くなって私にせがみ拒否したりしたら急に人格が変わり私を痛めつける


彼との出会いは些細なものだった
たまたま彼の財布を拾い交番に届けた時に同じタイミングで彼も交番に現れ無事に財布は彼の元へとかえった

彼は私にお礼がしたいと言い
私はただ財布を拾っただけなので断ったのだが彼はしつこく誘ってくるので根負けして彼のお礼に付き合った

彼は私を高級そうなイタリアンへ連れて行ってくれてご馳走になった
この時の彼はとても好青年で好感が持てた
帰る前にLINEの交換もした

その日以来ちょくちょく彼からLINEが来るようになった
彼は大学生で私よりひとつ年下だった
田舎から出てきて一人暮らしをしている
生活の為に夜はホストクラブでバイトしている
確かにしてそうな風貌であった

私はしがないOL
彼とは接点の無い生活

しかしとても気さくな弟みたいな可愛い子だった

ある日デートになるのかしら
遊びに誘われた

ネズミさんのランドに行って
その後食事に行った
そこで彼が言った

「俺さぁホストったってバイトだから給料低いんだ
指名とか付いたら手当付くんだけど
まだ始めて間無しだから誰も指名してくれないんだよ」

「そうなのぉ
ホストって言っても大変なんだね」

「そうなんだよ
そこで相談なんだけどさぁ
ナオさん1回で良いから僕のバイト先に遊びに来て僕を指名してくんない?」

「ええっ高いでしょ?」

「まぁそれなりに
でもさぁ…分かったよ半分出すからさぁ
お願い」

「ううぅ〜ん仕方ないわねぇ
1回だけだよ」

こうしてヤスくんにせがまれて1回だけホストクラブに行くこととなった
まぁちょうど彼氏もいないし最近仕事で失敗続きだったから良い憂さ晴らしになるかな


そして運命のホストクラブデビューをした
正直言ってめっちゃ楽しかった
超どハマりした
ヤバい

その日以来
ヤスくん指名でしょっちゅう通うようになった
弟だと思ってる部分も確かにあるけど
そこがまたキュンキュンしちゃって
アフターで私たちは結ばれてしまった

もうそうなったら夢中になってしまう
気が付いたら海外旅行用に貯めていた貯金も使い果たし
ヤスくんの勧めで夜も働くようになった
それでもお金が追いつかない
どうしよう

困っていたら店のお客さんから
もっと割りの良いバイトがあるよと声をかけられた
私はヤスくんに会いたいのでワラをもつかむ気持ちだった

結局割りの良いバイトとは風俗だった
確かに割りの良いバイトではあるが
さすがに迷った
そしたらそのお客さんが手解きをしてあげるからと十万円をチラチラさせた

ヤスくんに会いたいし減るもんじゃ無いしやってみるか
今は後悔している

私は出張で色んなプレイをする風俗嬢となった
最初は抵抗もあったが仕事と割り切れるようになってからは嘘も上手になったしそれで男たちは喜んだし
私はそのお金でヤスくんに会えたし
WIN-WINかな

ヤスくんは行くと喜んでくれる
最近ではちょくちょく私の家にも遊びに来てくれるようになった
ヤスくんは私が風俗をしているのも知っている
だからと言って悪い関係では無い

しかし最初は週の内3日程度だったお泊まりも気が付いたら毎日居るようになった
お金が無いと小遣いをせびられ
最初は返してねと渡していたが
それも当たり前になり出し
どんどんキレるようになって来た

最初は単なるケンカの延長くらいに思っていたのだが
しょっちゅうキレられののしられ続けると
ひょっとしたら悪いのは私の方なのでは無いかと思うようになっていた

だからキレられると謝り許しをこうようになった
ヤスくんはどんどんエスカレートしてくる
最近では殴られたりもする
私の思考は麻痺していった
むしろ支配されているこの状態の方が楽なのかもしれないとまで思うようになった

ある日
私はヤスくんが連れてきた友達とするようにヤスくんに命令された
私はそれでヤスくんが喜んでくれるならと受け入れた

しかしヤスくんは私とヤスくんの友達としているのを爆笑しながらスマホのカメラで動画を撮っていた

「めっちゃウケるわ
この女ヤバいやろ」

私はその後もそんな事が続いた
昼間の仕事では回らなくなったから
OLは辞めて昼も風俗で働いた

家に帰ったらゴミ屋敷でヤスくんがゴロゴロしている

「ホストクラブのバイトは行かなくて良いの?
大学は?」

心配して聞いたらボコボコにされた
私は許して下さいお願いします
それだけしか言えなかった

私は何をやっているのだろう
そう思うと泣けてきた


ある日またヤスくんが友達だというゴリラみたいな男を連れてきた

「こいつさぁまだ女経験無いのよ
ナオさぁ教えてやってよ」

私は無性に体の中に熱い物を感じた
今まで自分でも知らない自分の中の鬼を
私は台所に行き包丁を取り
後ろに隠しながらヤスくんに近付き
スパッと彼の額を破った

顔や頭って
こんなにも血が出るのね

何故か冷静だった
ゴリラが近付いて来たので蹴りを入れたらフギュって可愛い声を出してへたり込んだ
目の前のヤスくんはパニックになっていたから今度は胸に一文字に切った
額ほどは血は出ない
ヤスくんは失禁した
ゴリラは大人しい

「おいヤスシ
もうそろそろ落とし前付けさせてもらうで」

「ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい」

土下座して謝る手の平に包丁を刺し
その後私は警察に電話をした

「あのぉすみません
私殺人未遂を起こしまして
逮捕しに来てもらえませんか」


10分もしない内にパトカーは到着した
部屋のインターフォンが鳴り
ドアを開けた

ヤスくんとゴリラは救急車で運ばれ
私は警察署に
私も怪我をしていたが警察で応急処置をして聴取を受けた

何日も聴取は続いた

結局これまでの全部を話
ヤスくんも警察に呼ばれ話を聞かれ
見られたくも無いヤスくんの友達との乱行も警察官に見られ
私はむしろ被害者であると断定され無罪となり家に帰された
逆に彼は執行猶予付きの有罪となった


あれから私は引っ越しをし
関西に来た
スマホも新しい物に変え
電話番号も変えた
もちろんLINEのアカウントも作り直した

私は軽度の精神疾患を抱えるようになったがあの生活よりはずっとマシになった
今は小さな会社で事務の仕事をしている





ほな!

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