『求道のマルメーレ』#5 第二編 背中に棲む獣(三)
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第二編 背中に棲む獣(三)
地面に空いた丸い窪みを通り過ぎた辺りから、土の肌が見えていた小道が苔に覆われていく。次第にカラマツがまばらになって、トウヒやモミの木が優勢になる。そうすると森は閉じていくのだ。だんだん薄暗くなっていく。
西の森は深く、動物もあまり好んで出入りしない。したがって環境の変化に弱い。だから例えば、合わせて百三十キロくらいであろう二人分の重さをこの小さな二本足に分散させた時、地面に生えている苔をむしること。あるいは