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#60 真面目な社風と仕事が、デジタル化と生産性を妨げる 24/1/25

みなさん、こんにちは。
真面目な従業員、真面目に仕事する、を考えてみます。

新卒採用の面接で学生さんからよく受ける質問があります。
「御社の社員はどんな人(性格、雰囲気などを指す)が多いですか?」

3年前までわたしは「真面目な人が多いですね」と答えることが多かったです。実に面白味のない、つまらない回答だと反省しています。事実、一般にいう真面目な従業員が多いとは思っていますが。
また、ある調査(出所は忘れました)では、「自社の社風、社員の特徴は?」との設問に対して、およそ7割の企業(回答者は社長や人事部、従業員さまざま)の回答が「真面目」だったそうです。

このことから、真面目であることは事実なのでしょう。一方、私自身は、それは他社との違いで何も言っていないことに等しい、自社従業員を高い解像度で捉えていないのではないか、と自問を持ちました。また「真面目」回答の最大公約数はどんな意味で言っているのか、それは全体感として良いのか、を考えるに発展しました。

真面目が指す意味合いは、調査結果から解釈すると概ねこう考えました。
・サボらない。
・ミスや不良品のない改善、完璧を追求する。
・接客やサポートが丁寧である。
・明文化された規律や暗黙のルールを守る。
・協調性が高く、個人より組織。
・言われたことを忠実に遂行する。
・残業や転勤に文句を言わない。
・定年まで勤める(転職しない)。

今現在は段々と変わってきていることもありますが、
勤勉、規範的、品質追求、チームプレー、高い職業倫理、完璧主義、滅私奉公、忠実、自己犠牲
こんなキーワードではないかと考えます。

こうしてみると、真面目の指すところは、封建的社会性が高い、集団的行動力が高い、と抽出できそうです。
平易にいえば、空気を読める(和を乱さない、同調圧力)、素直に実行力する(横並び)です。

さて、ここからが本題です。
ここ数年、生産性向上や人材不足の文脈とコロナ禍も作用して、業務のデジタル化・DX(自動化→無人化→自律化)が急速に進んでいます。
業務の自動化フェーズでさえ、大手企業を中心に「バックオフィスの事務作業を年間◯万時間削減」とのニュースも一時はよく見られました。
これを1人あたりの時間削減に換算すると、年間数時間〜十数時間かと想像します。これ自体は成果として素晴らしいと考えます。

一方、余力として生まれたその時間を、従業員個々人はどのように感じているのか、やや不明です。
「新しい提案や改善を考え企画するようなクリエイティブな時間に使えるようになった」
「余力が生まれて、仕事が楽になった」
「スキルアップの時間に使えている」
など、ほとんど聞いたことがありません。

前期比何%の削減、何万時間の削減は、定量的なKPI、KGIとしてわかりやすく、効果を即時的に感じることができます。ですから、チーム一丸にみな一直線にその削減時間を達成しようと動きます。一方、「デジタル化の前に、その業務はそもそも必要ですか?」と疑問を投げる人は限られます。

実は、これが意味あるDX、がなかなか進まない理由ではないかと考えます。まじめの特徴から、空気を読む、素直に実行する、のため、◯時間削減の目標達成のアクションをする。結果、業務も従業員個人も数値の達成はするが、「で、自分たちは何が良くなったのか?」が体感できていないのかもしれません。まじめに、数値達成をするが、で、何のために、だったのかしら?状態です。

いわゆる施策が失敗する理由
正しさ・生真面目でありすぎる。
やっている感がでる

施策を導入するけれど、業務プロセス・手順や組織チームの在りようは変えない。
今の状況を変えたくないインセンティブ(慣性)が働くこと本能であり、一因。
もっと大きな理由は、正しく真面目でありすぎる。
施策結果を指標化しようとする。
でも施策によって「どのくらい変わったのか?」はなかなか数値になんかならない(ことが多い)。

で、数値化しやすい指標を探すと、それらしきものが見つかる。
紙の申請書類が○%削減された。
それによって申請作業が●時間削減できた。
ESが○ポイント改善した。

これらは目的ではありません。
「●時間削減できたことで、その空いた時間を使って新しい○○ができそうだ」
これが本筋と考えます。

できるだけ現状を変えずにいたい。
施策の結果を数値化しないといけない。
上位者や部門取り組みに認めてもらえない。
この結果、ペーパレスに成功しました、といった成果めいたもの、が生み出されます。

さて、みなさんは従業員の特徴をどう捉え、経営環境や従業員の変化に活用されていますか。
それでは、また。

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