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#85 具体と抽象の往還運動が思考スキルを磨く 24/2/19

みなさん、こんにちは。
久しぶりにビジネススキルを考えてみます。

具体と抽象の行き来、ビジネスパーソンは聞いたことのない人はいないと思います。
考えるきっかけは、採用の仕事をしている中で、抽象化が上手になればもっと伸びるのに、と感じる場面が多いことです。

たとえば、採用候補者のプロファイルを要約することです。使う場面は採用する部門の責任者に決裁をもらう場面です。
まず、わたしが決裁する側の立場だったら、整理してほしい情報は以下です。人事なのでやや過剰な部分があると自己認識も持っています。

採用企業側の視点
・オファーするポストとポジションは何か。
ポストは成果責任(役割)で、ポジションは担当ジョブ・職務を指します。

・その方が適任者である理由と根拠は何か。
理由は、採用基準とそれをどう評価しているかです。
根拠は、これまでの実績とそこで得た経験を指します。
求人に可視化される、主にハードスキル要件に対する評価といえばよいでしょうか。

・複数候補者の中からその方を選ぶ理由は何か。
まず、年収条件(現職、希望、他社および実力評価額)との折り合いです。
次に、自部門との相性です。
自社組織とのマッチングと言われますが、なぜ重視するかは語られていません。聞けば大抵、価値観や性格とファジーで掴みどころのない、フィーリングの回答が大半です。
なお、わたしなりの理由は、配属先上長が戦力化できるか、に関連性が強いから、と考えます。即、戦力にできそうかの可能性の見立てと考えます。言い換えると、上長がマネージメントできるか、の見立てです。
求人には出ずらい、インビジブルなソフトスキル要件に対する評価です。

候補者側の視点
・その方が、当社を選ぶ理由は何か。
今回の転職背景に基づく課題の解決がどの程度できるのか、あるいは転職目的はどの程度、充足できているのか、です。

・その方が、得られる経験は何か。
中期的なキャリア志向Willとの接続性はアラインメントが取れているか。そのためには配属ポジションMustとの重なりがどうかです。それは短期的な活躍再現性がどの程度かを見通すことを意味します。

・衛生要因をどの程度、満たしているか。
年収条件は現職並みを維持できているか(キャリアチェンジなどの理由が明らかな場合は除く)。また働き方の希望条件や制約条件は少なくとも短期的に充足できているか。

これらは、採用企業側、候補者側の観点いずれも具体の話です。
この1つひとつの具体を積み重ねた上で、両者の視点でそれぞれをもう一段、抽象化します。

その方を当社および当ポジションで採用する理由は何か?
候補者が当社を選択する理由は何か?

問い自体はシンプルですが、適度な抽象度にまとめることはとても難しいことです。
余計なものをそいで、取り除いていったときに、採用する理由、選ぶ理由のそれぞれの本質が残ると考えます。それが抽象化です。

わたしは、抽象化するには、具体の事実を積み上げることが欠かせないと考えます。

各論・具体を積み重ねる→余計な情報を落とす→残ったものが本質→言葉を整える→抽象、のステップでしょうか。

そして、ブラッシュアップするにはこのサイクルを繰り返し往還することです。
この頭の往還運動の繰り返しが、具体と抽象の、畢竟問題解決力を磨く1つの方法と考えます。

さて、みなさんは具体と抽象の往還が得意でいらっしゃいますか。
それでは、また。

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