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#112 学び直しや人材開発、キャリアデザインのキモはOSの書き換え 24/3/17

みなさん、こんにちは。
今日は、人材開発、人材育成をリスキリングを切り口に、考えてみます。

リスキリングが言われ始めて早2、3年でしょうか。「学びなおし」の言葉はさておき、本来の趣意には同意です。一方、企業でビジネスパーソンのリスキリングが語られる文脈とその実施は、やや偏っているのではないか、と感じるところがあり、考えてみました。

たとえば、デジタルトランスフォーメーション(DX)が当社の各事業部門でもそれぞれに推進されています。その中ではまず、従業員にデジタル化技術を習得してもらう、たとえば最近は少しブームが収まった感のあるRPAによる事務的作業の自動化スキルです。あるいはRPAも含まれますが、ローコード、ノーコード、GUIで使うことができるSaaS型ソリューションを中心とするクラウドサービスを使いこなすスキルです。

もちろん現在のビジネストレンド、時流に適応することはある意味の必然です。中期的に見ても、特にデジタル化スキルを今のうちに身につけておけば、今後のテクノロジー進展の折々にも、多くの従業員が軽快に対応できる素地を作っていると考えます。デジタル技術習得の最初の谷をクリアできていることはアドバンテージになるとも言えます。

一方、この手のスキルはみんなが閊えるほどに民主化すると、トレンドはあっという間に過ぎて陳腐化します。

民主化すること自体は、イノベーションの本来の意味である「より多くの人が使うようになる」に近づくことですからとても歓迎されることです。一方、陳腐化するとは、ビジネスライクにいうと、価値が低くなる、単価が下がる、を意味します。その陳腐化が、デジタル化を中心とするTHEスキルであれば、その速度は速いことが想像に難くありません。なぜなら、トレンドがあるからです。

その手前には、もう1つのパラドクスも存在します。従業員全員に身につけてもらうことは一見、よいことだけに目が向きがちです。逆から見れば、全員ができる=民主化です。そうなると、相対的価値が低くなるリスクを生みます。

ここまででも悩ましいところです。
だからといって、足を止めて動かない選択はもっとも悪手です。それよりも常に変化に適応して(変化を作り出せると、ベターですが身の丈で考えます)動くことは、いつでも・何に対しても、ある種正解だと考えます。

では、わたしが、よりクリティカルな問題だと考えるのはこうです。それは上記のようにアプリケーションとしてのスキル開発は、その個人の根本的な人材開発や発達課題の克服には影響度が小さいと考える点です。

仮に、X軸に時間軸を、Y軸に課題解決の高さをとり、その掛け算による面積が成果・アウトプットの総量と考えます。その成果を出すための影響度は、このアプリケーションとしてのスキル開発では、それなりの大きさに留まると考えます。

それよりも、OS(オペレーティングシステム)の開発を、人材開発・人材育成のターゲットに置くことが、キモ、ではないかと考えるのです。
そのOSとは、今自分が使っている思考スタイルや価値観の枠組み、仕事や人などに対するマインドセット、思考や行動のスタンスやバイアス、メンタルモデルにあたる事柄と考えています。

そうした自分を確立しているOSをアップデート、あるいは洗い替えることが本来的なリスキリング=学びなおし、ではないかと考える次第です。

このOSが更新されたり、新たに洗い替えることで、仕事の成果・アウトプットも、より大きくできたり、違う対象に価値を提供できるようになるのではないか、と考える次第です。
もっといえば、このOSには、誰しも自分を縛る呪いや制約が潜在化しています。それが最初に外化するときは、やらない理由、言い訳、エクスキューズの形で顔を出します。

実は、この自分を縛る呪いや制約こそが、成果・価値を生み出すことに大きな影響を与えます。なぜなら、仕事が上手くいかない場合は、本質的にはスキル不足よりも、OSに問題があるケースがほとんどです。この話は改めて、独立して考えてみたいと思います。

さて今日のまとめです。
アプリケーションとしてのスキル・スタイルよりも、OSとしての自分の枠組み・スタンス・様式こそ、人材開発や人材育成、キャリア開発の対象とすることがより重要と考えます。
そしてこれこそが、学び、学びなおし、ではないでしょうか。
それが、現場・現実の仕事に学ぶ環境があるかどうか、も十分条件として影響を与えるファクターです。

みなさんは、学ぶ、をどのように捉えますか。
それでは、また。

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