見出し画像

#180 傾聴は簡単な応答技術で十分できる 24/5/24

みなさん、こんんちは。
今日は、傾聴する、を考えてみます。

(実例を基に編集しています)
先日、ある事業部門責任者と、その事業部門の組織課題について、ディスカッションする場を持ちました。年々、離職懸念者、離職者が増える傾向にあり、その対策を考えたいとのオーダーです。

現状を聞いていくと、退職する意思を確定した後に本人が申し出てくるため、引き留めやその事前対策の施しようがない状態で報告が上がってくるケースが大半です。

わたし自身もいくつかの退職ケースにおける状況事実を見聞きしていたこともあり、想像に難くない感想を持ちました。

「現場責任者には、メンバーに対してどんなマネージメントができるようになってほしいと考えていますか?(退職の文脈で)」

「『退職可能性があるかも』と見通しを立てられるように、事前に察知して上長の課長に相談して一緒に引き留めにあたったり、自分で解決に導けるようになってほしいと思っています」

「まずは、『退職可能性があるかも』と察知してほしいんですね」

「ええ、そうですね。会話の流れやそこでの表情などから、「んっ?」とアンテナが立つようになってほしいですね」

「アンテナ、そうですよね」

「はい、いま現場責任者とメンバーは、1on1を最低限月1回は時間をとって実施しているのですが、質が伴わないんです。テクニックや研修が必要だと思っています」

「月1回ですね。もう少し増やせそうですか、できれば隔週1回はあると頻度面は」

「そうですね、隔週1回は組織としてやろうと思っています。ただ、今は1on1をしたら、相手のメンバーがモチベーションが下がるケースもよくあると聞いています。どうしたものか、と思っています」

「うん、悩みますね。具体的にはどんなコミュニケーションがなされているのですか」

「時間のほとんどを責任者が話しているとか、業務の相談に対して『私はこうやってできた』と自慢話をしている、と聞くことがよくあります」

「そうなんですね。一方的に話していたり、自慢話ですか。なかなか受け手にはしんどい時間ですね?」

「多分、これまでは業績やKPIと、目の前業務の品質100%みたいな温度感で私自身も含めてマネージメントする組織だったので、それが現れている象徴だと思います」

「たしかにそういう影響はありそうですね。もう少し掘り下げさせてください。なぜ、現場責任者は、自分の英雄伝を伝えることが、そのメンバーの相談ごとを解決すると思っているのでしょうね?」

「うーん。解決策の引き出しが、自分の成功体験でしかなく、その成功体験も種類が1つ2つと少ないからでしょうかね」

「これから、現場責任者のアンテナが立っていくようになるために、1on1の場で考えると、どのようになっているといいな、と思いますか?」

「そうですね、メンバーが1on1は『相談できる場なんだ』と感じてくれるようになるといいな、と思っています」

「いいですね。『私の、相談ができる、してよい場なんだ』と思えたらいいですよね。そのためには、現場責任者の、思い込みの前提やバイアスをどのように変えていく必要がありそうですか?」

「えー、難しい質問ですね。前提やバイアスですか」

「ええ」

「やっぱり、メンバーの相談ごとの解決は、自慢話をして『俺すごいだろ』と見せることでもなければ、当然に時間の8割方を自分が話をするのではないことに気づく、とかでしょうか。合ってます?」

「いいかもしれないですね。合っている合ってないは、正解はないですかね。『俺すごいだろ』とマウント取って、権威で見せることではないですよね、明らかに」

「自分の成功体験でこうやればいい、と自慢話的に成功譚を語るのではないですね。そこに現場責任者自身が気づくこと、はしっくりきました」

「ほかに気づくことはありますか」

「あ、結局、その上の課長、部長、事業部門長、そして私自身とそれぞれの階層でもこのことを理解しないとですね。さすがに明らかな自慢話的なことにはなっているのはごく少数だとは思いますが」

「いい気づきですね。必ず組織の上からその癖はでていますからね。カスケード方式で、組織の上位役職から現場の最前線まで展開していくと、この手の組織カルチャーは習慣になっていきますね」

「たしかに。正直、1on1を単純に実施するだけでは、現場も忙しいので腹落ちできてなかった、というより、どうやったらよいかモヤモヤしていたところがあります。だいぶ今日の会話で、視界が晴れてきました」

こんなやりとりを20分くらいでディスカッションしました。

傾聴やコーチングを少しでもかじった方はお分かりのように、わたし自身は大したことはやっていません。意識してやっていることは、簡単な応答をすることです。

それから、ここぞの場面では質問を掘り下げて、思考を深めてもらう手助けをしているくらいです。傾聴と言われるものにもレベルの高低はあるかと思います。

が、多くの実用ケースで必要とされるのは、この程度の簡単な技術やマインドセットのような気もします。

それだけのことで、この事業責任者は、次のアクションやそれをどう組織の中でコミュニケートするか、一歩二歩前進したと考えます。

さて、みなさんは傾聴をどんな場面で、どのように使いこなされていますか。
それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?