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番外編④:グリーン・トランスフォーメーション(GX)について学んでみた

最近、「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」や「カーボンニュートラル」という言葉をよく聞くようになりました。

ただ恥ずかしながら、それらのことは「何となく、大切なんだろうな」とは思っていても、具体的にどういうことなのか理解しておりません。

そこで、少しでも「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」や「カーボンニュートラル」を理解して、自分自身も今後、地球のためになる活動ができるように、いくつか関連書籍を読んでnoteにまとめてみることにしました。

60分でわかる!カーボンニュートラル超入門

カーボンニュートラルとは

なぜ今、カーボンニュートラルが大切なのか?
温室効果ガスであるCO2排出量の増加は、世の中で問題になっている「気候変動」を促進してしまいます。気候変動が促進されると「異常なレベルでの気温上昇」「破壊的な台風や発達した低気圧の増加」「海面上昇や洪水増加」が起き、人々の生活に負の影響を与えることになります。そして、いくつかのシナリオ分析によると、今、気候変動対策をしてカーボンニュートラルを実現していければ、前述の負の影響の発生を回避できる可能性があります。

そのため、未来の人々(自分たちの子供や孫世代)に幸せに生活してもらうためにも、今、私たちがカーボンニュートラルを意識し、行動していくことは大切であると理解しました。

企業活動から見たカーボンニュートラルの意味
もちろん「気候変動の対策」としてカーボンニュートラルが大切であるというのは企業にとっても同じです。その点に加えて「経済的な意味合い」でも、企業にとってはカーボンニュートラルが大切となります。

投資の世界では現在、単にリターンの多寡を追求するのではなく、責任ある投資を行うことが求められており、ESG投資(E:Environment、S:Social、G:Governance)が急速に拡大しています。この中でも、特に脱炭素を含む「E」が重要視されています(2020年にアメリカが行った調査によると、約9割の投資家がEに焦点を当てて投資をすると回答したそうです)。こうしたESG投資の効果は、脱炭素化の取り組みを行っている企業の株価に反映されます。

また逆に、CO2排出の多い分野 / 化石燃料に軸足を置く企業の株価が低下するという傾向も見られています。そして、炭素への依存度の高いビジネスからの投資を引き上げる「ダイベストメント」という動きも活発化しています。そのため、今後「炭素排出の多い企業は、投資も融資も受けられない」という流れが広がっていくと予想されています。この流れを鑑みると「化石燃料関連企業にとっては、カーボンニュートラルは急務である」という状態です。

カーボンニュートラルにおける日本の動き

「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と政府が発表し、日本の動きも活発化しています。環境省がカーボンニュートラルについてわかりやすく説明してくれている「脱炭素ポータル」というサイトもありました。

カーボンニュートラル実現に向けた日本の課題
「では、具体的にどうやってカーボンニュートラルを実現するのか」というのが現状の課題です。特に、日本は電力由来のCO2排出が多い(電力の7割超を火力発電に依存)という状況です。これは、福島第一原発事故を受けて、原子力由来の電力供給がなくなった分を火力発電で補填したことによるそうです。

カーボンニュートラル実現に向けた日本の課題

また、各分野の課題をもう少し細かくみると、下記のようになります。

各分野の課題①
各分野の課題②

カーボンニュートラルで期待される日本の技術

カーボンニュートラル実現に向けて期待されるのは、再生可能エネルギーや脱炭素技術です。

前述のように、日本は火力発電に依存しているのが現状ですが、下表のような再生可能エネルギーへの切り替えが、積極的に取り組まれています。

再生可能エネルギー(再エネ)の種類と特徴

また、再生可能エネルギーだけではなく、日本はいくつかの注目すべき脱炭素技術を有しています(下表)。今後、日本の企業がこれらの技術をリードして、世界の脱炭素を実現していくことが期待されています。

注目すべき脱炭素技術

図解でわかるカーボンニュートラル

こちらの本では「カーボンニュートラルに向けた国内プロジェクトの取り組み事例」が充実していたので、そこを中心に纏めていきます。

カーボンニュートラルに向けた国内プロジェクトの取り組み事例

日本では、2020年1月に「革新的環境イノベーション戦略」が提言され、産学ともにカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めています。

DRC法DPCプロセスの実証(旭化成)
ポリカーボネート樹脂の原料であるジフェニルカーボネート(DPC)の新製法として、CO2を用いてジアルキルカーボネート(DRC)を経由する製造プロセスを開発しています。水島製造所の実証プラントで検証中だそうです。

CO2-SUICOMの開発(鹿島建設)
CO2を原料としたセメント(CO2吸収コンクリート)を開発しています。その他の各種技術との組み合わせにより、コンクリート製造時のCO2排出量を実質ゼロ以下にまで低減できるそうです。

ドライリフォーミングによるCO2資源化研究(産総研)
従来のメタンドライリフォーミング(※)より3倍のCO2を消費する「CO2活性化ドライリフォーミングプロセス」の開発に取り組んでいるそうです。
※ メタンとCO2から水素とCOを合成する反応

非可食バイオマスからのバイオ燃料・グリーン化学品の生産技術開発(RITE)
再生可能資源(バイオマス)を原料としてバイオ燃料やグリーン化学品をカーボンニュートラルで製造する技術(RITE Bioprocess)を開発しているそうです。

CO2を原料としたパラキシレン製造技術の開発(千代田化工など)
ペットボトルの原料であるパラキシレンは、従来法では石油から製造されます。そこを石油からではなく、CO2を原料としてパラキシレンを製造する技術(反応を促進する触媒やスケールアップ技術)を開発しているそうです。

純バイオジェット燃料の製造技術開発(JAXAなど)
木質バイオマスの処理、ガス化、ガス精製、フィッシャー・トロプシュ合成、水素化分解を行い、蒸留・精製を経た純バイオジェット燃料を従来ジェット燃料と混合したバイオジェット燃料の製造を目指しているそうです。

電気化学プロセスによる革新的CO2大量資源化システムの開発(古河電気など)
次の3工程の開発を進めているそうです。

  • 物理吸着及び電気化学的な手法によるCO2回収・富化

  • 回収CO2をエチレンなどに転換する電解還元プロセスの開発

  • これらのプロセスの統合化

炭素循環型セメント製造プロセス技術の開発(太平洋セメント)
セメント工場から排出される10トン/日のCO2を分離・回収し、そのCO2をセメント原料などの資材として再利用する技術を開発しています。

グリーン・トランスフォーメーション戦略

グリーン・トランスフォーメーションとは

CO2排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指す動きが世界中で急速に進み、モノやエネルギーの資源循環(サーキュラーエコノミー)の取り組みが不可欠になっています。

そして、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーが両輪となる経済社会システムへの移行のことを「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」と言います。

上記説明は少しわかりにくいと感じる場合は、こちらのサイトを見るのが良いかなと思います。

その他の内容について

GXを企業経営で実践するにはどうしたら良いのか?といったことが記載してありました。具体的には、企業の存在意義の再確認、他者との連携(M&A含む)、必要な人材育成などの考え方が幅広く書いてありました。「GX経営」のようなキーワードに興味のある人は、読んでみるのも良いかも知れません。


今回は以上となります。





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