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【エッセイ】連載(グランドテトン編): Eps 3 観光日記を書いたところで面白味はない in イエローストーン国立公園

ふふふ、ついにこの時が来たか。

「明日はレスト日だ」
焚き火の前で狸が言った。

狸の提案で明日はハイキングには行かず、
イエローストーン国立公園に観光に行こうということになった。
今日のハイキングでグチグチ言いまくり、
ゾンビ兎になったのには意味があったようだ。(Eps 2をご覧ください↓)

明日は色んな動物が見れますように。
そう願いながら寝袋にもぐり込み目を閉じた。

5am、動物たちの朝は早い。
むくりと起きた私たちは昨夜準備していたゆで卵、
ベーコン、ハムサンドをバックパックに詰め込み車に乗り込んだ。

なんと言っても今回の目的は動物観察だ。
バイソン、ムース、グリズリーベアー、ウルフ、ビッグホーンシープ…
有名なGrand Prismatic Spring(グランド・プリズマティック・スプリング)を見るのも楽しみだった。

わくわく兎

30分程の走行後、
イエローストーン国立公園の南口から公園内に入った。
この国立公園は異常に広いため、
1日で全てを観光することは皆無である。
そのためハイキングは諦め、
主要の観光スポットを回ることにした。

Old Faithful Geyser(オールド・フェイスフル・ガイザー)から始まり、
プリズマティック・スプリング + いくつかのスプリング、
Mammoth Hot Spring(マンモス・ホット・スプリング)、
Tower Fall(タワー滝)、Grand Canyon of the Yellowstone(グランド・キャニオン・オブ・ザ・イエローストーン)と、
カタカナだらけのスポットを巡った。
どれも素晴らしく自然が作り出す色や風景に感動していた。

兎アート

走行中お目当てだったバイソン、ブラックベアーの親子、グリズリーベアーに遭遇し車内から観察できた。
本当にみんな可愛くてかっこよくて感無量だった。

まぁ、そんな普通の観光日記を書いたところで、
読者の皆様にとって楽しいものではないだろう。
私が読者ならそう感じるに違いない。

とはいえ、何かハプニングが起きなければ、
この記事にコメディー要素は発生しない。
だからこのイエローストーン観光は記事にするまでもないか、と諦めていたのだが、
やはり最後にやらかした奴がいた。

そう、狸である。

狸の自己肯定感はハンパない

私たちは全ての観光スポットを回り終わり、
キャンプ場に戻るべく南口エントランスへ向けて走行中であった。
その途中雷雨に見舞われた。

こんな大荒れになるなんて…

大雨と雷の中しばらく走ると、
遠くで渋滞している。
事故でもあったのだろうか。
反対車線は封鎖しているらしく、
車は走っていない。
私達の車は渋滞で動かなくなり、
何だか嫌な予感がしてきた。
これが事故なら1~2時間は待たないといけないだろう。と、狸がイライラしながら説明してくれた。
なんて運が悪いのだろう…
このままじゃキャンプ場に戻るのが10pmを過ぎてしまうかもしれない。
今日の夕食は手作りカレーの予定なのに。

40分ほど時間が過ぎた頃、
苛立った狸は突然ハンドルをきり反対車線を走り出した。
このまま来た道を戻るつもりのようだ。
もうこうなったら誰にも狸を止められない…

渋滞している反対車線を横目に、
私たちはぐんぐんスピードをあげ、
来た道を戻っていく。
すると前方の路肩でパークレンジャーに車を停めるように誘導された。
反対車線の車から、たくさんの目線を感じる…

私たちは結局路肩で立ち往生し、
渋滞車線に戻ることも、このまま来た道を走ることも許されない状況となった。
もはやなす術はない。
たくさんの目線を感じながら、
この事故を責めるべきか、
狸を責めるべきかと考えた。
時間は無常にも過ぎていく。

一体どれほどの時間が経ったのだろう。
いつのまにか雨はあがり青空が広がっていた。

その後私たちはこのまま来た道を走行するのをを許されたわけだが、狸の独断で渋滞していた車線の最後尾へ戻るに至った。

悪気はない狸


もちろん夕食は手作りカレーではなく、
キャンプ場近くのピザ屋のピザになったのは、
誰しもが予想できる結末である。


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