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どうせなら太陽系最高峰に登ろう:オリンポス山登山ガイド

ここ数年、登山やアウドドア人気が続いているようで、登山シーズンになるとカラフルなウェアを着込んだ人々が列を作って山道を歩いている光景がニュースになることもあります。

日本で一番高い山は富士山、世界で一番高い山はヒマラヤ山脈のエべレストであることはよく知られています。では地球の外も考慮に入れて、太陽系で一番高い山はどこかというと、火星にあるオリンポス山という火山が標高約21000メートル(麓からの起伏は約22000メートル)で、太陽系の最も高い山として知られています。

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実は近年の観測によると、ベスタという小惑星にあるクレーターの中央丘(くぼんだクレーターの中央にできた盛り上がり)も周囲から22000メートルほど高くなっているということが分かっていますが、標高というのは周囲のどこから測るかによって変化し(地球の山は平均海面からの高さ、火星の場合は赤道の平均半径での重力ポテンシャルと等しい面としています)、またベスタの観測値には不定性もあるため、厳密にオリンポス山とベスタのクレーターの中央丘のどちらが太陽系で一番高い山かを決めるのはもう少し分析が必要で、今のところオリンポス山を太陽系最高峰とみなしても問題はないようです。

ときどき、エべレストの登頂に成功した人がニュースで取り上げられることがあります。筆者は登山をしないので分かりませんが、世界で一番高い山に登るというのは登山好きの人にとっては特別なことのようです。ならばもっと視野を広く取って、太陽系最高峰のオリンポス山を目指せば良いのではないかと考え、最新の研究を参考に、オリンポス山登山に向けたガイドを作成しました(https://enceladus47.wixsite.com/olympus-mons-guide)。

オリンポス山は高さだけでなく、幅の大きさも規格外で、約600kmあります。その一方で、傾斜は比較的なだらかで2-8度しかありません(ただし下で示すように、麓には急斜面の崖があります)。山頂にはカルデラがあるのですが、そのカルデラは富士山が収まるほどの大きさになっています。

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もしオリンポス山に初めて登るのなら、ぜひ東側のコースから登ることをおすすめします。というのも、オリンポス山の頂上に行くにはまず麓にある傾斜が20-40度の急斜面を超えなければならないのですが、東側の一部は下の図で示したように、傾斜が2度ほどしかない緩やかな場所があるのです。また、東側は西側に比べて標高が2000メートルほど高くなっているので、頂上までの高低差が小さくなっています。東側は初心者向けのコースといえるでしょう。

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一方、西側から登った場合、麓では氷河の跡を見ることができます。慣れてきたら、そちらからアタックするのも面白いかもしれません。

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火星は二酸化炭素を主成分とする薄い大気しかなく、気温も場合によってはマイナス100℃になります。火星の山に登るさいには、地球の山に登る時以上に、しっかりと準備をする必要がありそうです。


ガイド(https://enceladus47.wixsite.com/olympus-mons-guide)にはオリンポス山の詳しい地形や形成メカニズムも載せているので、登るさいの参考になれば幸いです。


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