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不安になりたがり

最近どう?なんて聞かれたら、答えは「幸せ!」のただ一言に尽きる。
数年前、毎週どころか毎日のように気の置けない友人に会っては、今の仕事のここが嫌だ。恋愛がうまくいかない。なんて話に花を咲かせていたあの頃と違って、穏やかな日常を手に入れたわたしにはもはや人様に吐き出したい愚痴などほとんど無い。

大好きでやりがいのある仕事に夢中になって、その仲間はみんな自分に無いものを持った人達で大好きで、おまけに1年半付き合っても未だにラブラブ(死語?)な恋人がいる。すべてこれまでのわたしの努力と行動が実を結んでの今なわけで、よく頑張ってきたなと素直に思う。わたしの人生はずっと右肩上がりに良くなっていて、学生時代よりも今の方がずっと自由で息がしやすい。

それなのに、心の中には常に不安になりたがる自分がいるのだ。
そんなわたしは、専ら恋愛の面において顔を出す。
恋人の自分への気持ちはというと火を見るより明らかで、彼はいつもわたしのことをよく見ていてくれ、困った時には必ず助けになってくれる。例えばアイスクリームを食べているときに自分の服に零してしまったとしたら、濡れたティッシュをつくりに走ってお手洗いに駆け込んでくれるような人だ。ずっとしっかり者として生きてきたわたしを、唯一子供のように扱って大きな愛で守ってくれる。彼はそんな人だ。
だけど、不安になりたがりなわたしはつい、木を見て森を見ないようなことをしてしまう。「そいえば最近おいでって言われてないな」とか、LINEの返信の絵文字が気に入らないとか。そんなくだらない小さなことで、なんなの!?と腹を立てたくなってしまうことがある。

本当に愛されていたら不安にならない。などとSNSでは言われているけれど、日頃特大の愛を受け取っていながらもそんなちっぽけなことで自ら不安の沼に浸かろうとしてしまうときがあるのだ。
ちなみに結局その後よく考えて、「あれ?別にそんなこと気にしなくても、わたしのこと本当に好きなのかなんて疑う余地なくない?」と自己完結するまでがセット。

今は自己完結して解決しているので問題無いが、いつか自らの手でこの幸せをぶち壊す日が来るんじゃないかとヒヤヒヤしてる。それはもしかしたら仕事かもしれないし、人間関係かもしれないし、やっぱり恋人かもしれない。
そしてこの幸せは長くは続かないんじゃないかって、いつもどこかで予防線を張って身構えてる。
悲しきかな、これは若い時間を窮屈に過ごしてきた代償。わたしがこんな幸せなわけないって、どこかで思ってしまってる。

事実上幸せだとしても、それを許すわたしになれない限り、きっといつまで経ってもわたしは不安になりたがりなのだ。
環境は整った。次は心を変えていかなくてはいけない。

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