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彼氏ができました。

わたしのnoteといえば、やれセフレがどうとか振られたとか復縁がしたいだとか、人間のどうしようもなさを凝縮したみたいな恋愛の話と相場が決まっている。

なんせわたしは極度の面食いで、おまけにタイプなルックスの異性に対してはとことん尻が軽い。
でもそれでいい。外見でしか人を判断できないのがわたし。それこそが生きている面白みだろう。
そう思っていたはずだった。いや、本気で思っていた。
それなのに。
内面が素敵な彼氏ができた。

正直出会ってしばらくはなんとも思っちゃいなかった。初めて会ったときはうーん、好みなわけじゃないなあと思ったし(ごめんね)、2回目に会ったときは楽しいけれど見た目が…といつものわたしらしいことを考えていた。
でもいつもと確実に違ったのは、別れ際の横断歩道で精一杯な様子で告白されたときに断る理由が見つからなかった。

いつも遊んでいた見目麗しい男子たちとは違って決して口はうまくなくて、いっぱいいっぱいになりながら伝えてくれた言葉なことがありありと感じられた。
夜を期待して腐るほど投げかけられてきた「可愛い」なんて全然言ってはくれなくて、それなのにわたしのことを心底可愛いと思っている様子で扱う。
会話を探ってどうにかどちらかの家に行こうとなんて絶対にしてこなくて、激務なわたしの体調を気遣って早めに解散しようとする。
仕事や自己啓発の話、自分がいかに優れているかなんて一言も語ってきやしない。お互いを高めあおうとだってしない。

一言で言ってしまえばすごく楽だった。
この人の前では、何も背伸びをしなくて良い。
常に最高級の可愛い自分で取り繕わなくても良いし、仕事に熱心で恋愛なんて二の次なフリもしなくて良い。理解のある女でいなくても良い。
そんなことが思い浮かんで、気づいたら「よろしくお願いします」と口が動いていた。

こんなの久しぶりでワケわかんなくて、とりあえず自分が好きなことを全て話してみた。
TravisJapanを応援してることも、ポケモンの厳選が趣味なことも、THE YELLOW MONKEYの音楽が生きがいなことも、シンエヴァを6回観に行ったことも、池袋ウエストゲートパークの新刊を楽しみに生きていることも、31ではダブルを両方ポッピングシャワーにしてみたいことも。
今まで数え切れないほど興味無さげにあしらわれてきた経験があるので、別に積極的に興味を持ってくれなくても、否定さえされなければそれで良かったんだけど、どんな話にも手元のコーヒーそっちのけで「教えて!」「叶えようよ!」と言ってくれた。その後実際に音楽を聞いてくれてるし、感想も伝えてくれている。こんなことってあるんだ。

異性に容姿ばかりを求めてきたわたしのルッキズムは、何も他人だけに働いているわけじゃない。
何よりも自分のルックスへの強烈なコンプレックスの裏返しであるからして、口先で容姿を褒められる度に美しくない自分には価値が無いと再確認していた。太っちゃだめ。老けちゃだめ。だからその代わりにわたしも異性に容姿だけを求めます。
そんなわたしはルックスを認められることが何よりも嬉しかったし、最上級の賛辞だったはずなのに、射止められた言葉は全然違った。
「一緒にいると素でいられる。あと笑顔が好き。」

激しい恋愛感情に飲まれていた今までの平日といえば、一生懸命約束を取り付けた週末のデートに向けて、本当に来るか来ないのかの不安を抱えながら最高級の自分を作るために服や化粧品を考えて、浮き足立って仕事はもう手につかない。そんな様子。
でも今わたしは、「週末会える?」の連絡に「会える!」と返事をしたら帰ってきた「楽しみすぎて服買っちゃった!」というメッセージに頬を綻ばせている。

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