噂、裏切り、フリートウッド・マックのレコードはどこに?
遅すぎた梅雨明けが吹っ飛ぶくらい、猛暑が続いていますね。
暑いときに何を聞いてもぼんやりしてしまうというか、こういう時に聞く音楽ってなんなんでしょうかね。よく母親は、こういう時にハードロックをかけていたら「もうこんな暑苦しいのに、こんな音楽かけるのはやめなさい」と怒るものでした。でも、母親の世代がHR/HMの全盛期なんですけれどね。ゼッペリンもそうですし、というかAC/DCやヴァンヘイレン、KISSとか。個人的には、そういうギンギンのハードロックがかかるバーで、冷たいビールを飲むのが好きなんですけれどね、暑い夏の夜には。
でも、そんな母の助言従ってというか、実際はずっとそんな気分でもないので、大人のロックなフリートウッド・マックでも聞こうかなと思って、手始めに「ファンタスティック・マック(原題;FleetwoodMac)」を買って、家で聞こうとしました。買ったときにほかにもレコードを買っていたので、買った直後ではなく、後回しになってしまいました。それに、基本的には、移動中にApple Musicで音楽を聴くことが多くなり、すっかり名盤の「噂」とか「牙(タスク)」とかを俄然聞くようになり、買ったアルバムの曲もエッセンシャル・プレイリストでちょぼちょぼ聞くくらいになっていました。
その後、レコードでもその2枚を購入し、特に「牙(タスク)」はよく聞いていました。順番に聞く以外でも、適当に取り出した盤面でそのまま聞くということもよくしていました。なので、順番も気にならず、肩の力を抜いて聞けるいいアルバムだなと思っておりました。
一応ですが、当時の話をするとファンタスティック・マックで火がついて、「噂」でグラミーを取り、全世界でも1千万枚以上セールスを記録するなどヒットを飛ばす中での2年間待ちに待った中での作品ということもあり、相当期待される中での作品だったそうです。一方でギターのリンジー・バッキンガムが当時はやっていたポストパンク・ニューウェイブ系の音楽への傾倒が深まっていたこともあり、作品としては、今までの王道のロックや西海岸系のさわやかなポップスを主体とした音楽性とは異なるものでした。それから2枚組という非常にボリュームのあるものであったこともあり、セールスはがた落ちだったそうです。(といっても当時アメリカでダブルプラチナ(200万枚)を獲得したらしいですが)
でも、そういった時代の流れを経たかつ、様々な音楽の影響を受けた今作は、現在では受けいれられ、またバンドリーダーのミック・フリートウッドによるところでは「大事なアルバム」として評価されているらしいです。確かに、一聴すると、ややまとまりに欠けるのと長いかな、、、と思いますが、そういう系、ビートルズのホワイトアルバムやクラッシュのサンディニスタ!、ベックのザ・インフォメーションに比べると、聞きやすい印象はあります。上記のリンジー・バッキンガムの影響された音楽のことを聴くと、このアルバムを聴いていない人は、えっ、と眉を顰めて倦厭してしまうかもしれませんが、聞かず嫌いは止してほしいなと思うくらい素晴らしいアルバムです。まず、リンジー・バッキンガムの音楽はほかのクリスティーンやスティーヴィーの曲の間に挟まれるように配置されていますし、ほかの彼らも変にポップス染みた曲でもなく、嫌気もない曲に仕上がっていると思います。それは、彼ら一人一人に曲作りの裁量と時間がきちんと振り分けられ、あふれ出る創造性に身を任せて音楽と向き合えた結果もあるとされています。僕自身はスティーヴィーやクリスティーヌのカントリーライクながらも憂いを帯びた曲(オーヴァー&オーヴァー、ハニーハイ、セーラやストームス)が本当に好きです。こういう音楽アルバムが単純に好きっていうのもありますけれどね。
似たような感じだと、エミルー・ハリスさんの「Wrecking Ball」というアルバムがあって、それが一時期すごい好きでよく聞いておりました。実はこのアルバムの表題となっている曲が、ニールヤングの曲であり、それをニールヤングとデュエットしています。またほかにも、このアルバムのプロデュースを手掛けたダニエル・ラノワもコーラスに参加していたりなどしており、エミルーの声を立てつつ男性ボーカルも入り交わり、非常に味わい深いアルバムとなっております。そして、憂いを帯びたカントリーが、ダニエル・ラノワのプロデュースであのU2のヨシュア・ツリーにも負けないくらい非常に音響感(リバーブ)のある音に包まれ、ちょうど「牙(タスク)」と同じようなアルバムの感じになっているかもしれませんね。
ちょっと話が話がずれてしまいましたが笑、とかくにフリートウッド・マックはそんなわけでとてもいいアルバム揃いです。もちろん黄金期に入る前のブルースロックの頃も好きですし、逆にそれ以降も好きなアルバムはいくつかあります。
そして、思い出したように、「ファンタスティック・マック(原題;FleetwoodMac)」のレコードを引っ張り出して、レコードプレーヤーにセットして回し始めました。最初はあまり違和感なかったのですが、やけに激しい曲ばっかりだな、とつけて10分くらい経って感じ始めました。Warm waysとかLandslideとかみたいなバラード系やアコースティックな曲も入っていたはずなのになぁ…と。何よりも女性の声が微塵も感じない…。
変だ、おかしい。そして、レコードを止め、レコードをよくよく眺めると、そこには「KISS/ALIVE 地獄の狂歌 キッス・ライブ」と書いてありました。
いや、好きですよKISSも。僕、ジーン・シモンズのNHKによる密着ドキュメンタリーも見てましたし。けれどね…。
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