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味覚を失った話

以前、全く味を感じなくなったことがある。
結論から言うと、もう二度と経験したくないしんどい症状だった。

ちなみに、コロナによるものではない。


今から1年ほど前になるだろうか。
私は過去3回休職を経験しているのだが、2回目の休職を終え、復職したばかりの頃だったように思う。

復職したての不安定な時期だし、負荷がかかりやすい状態だったのだろう。
毎日ストレスを抱えながら出勤していた記憶がある。


私は帰宅後よくおやつを食べるのだが、ある日スコーンのバーベキュー味を食べていた。
何となく舌がピリっとする感じがしていたのだが、特段気にも留めていなかった。

その日の夕食として、野菜のかき揚げを食べていた時。ある違和感に気づく。

あれ?味がしないぞ。


それにプラスして、やはり舌のピリつきを感じていた。
位置としては、舌の表面。満遍なく。

翌日には味覚は完全に消え、舌のピリつきは痛みへと変わっていった。


どのくらい痛いかと言うと、舌に食べ物が少し当たるだけで激痛のあまり苦悶の表情を浮かべるほどだ。
灼熱感も伴っていた。

口内炎になったことがある人ならイメージしやすいだろうか。

例えるなら、舌全体に巨大な口内炎ができ、なおかつ味覚は皆無といったところか。

本当にしんどかった。
まともに食事を摂ることができなかった。

食事とは、基本的に全ての人間に与えられる毎日の楽しみだと考えている。

もちろん時間がない時やコンディションが悪い時など、食事を楽しむ余裕がない時もある。

しかしそういったケースを除き、基本的には心安らぐ楽しい時間だと考えている。


そんな楽しみの時間が、耐えがたい苦痛の時間に変わるのだ。
味がしないだけでなく、舌の痛みによって食べることが困難。

しかもその拷問は毎日やってくる。

筆舌に尽くしがたい苦しみだった。舌だけに。


藁にもすがる思いで耳鼻咽喉科に行ったところ、はっきりとした原因は不明だった。

ちなみにコロナでないと断言したのは、医師にそう言われたのもあるし、コロナで味覚障害になる場合は、嗅覚障害も伴うこととなるからだ。
私の場合匂いは感じるが、味だけがしない。かつ痛みも伴うという状況だったため、コロナのそれには当てはまらない。


その中でも原因となる確率が高いと診断されたのが、

①うつ病のストレスによるもの
②亜鉛欠乏症

の2つだ。
②の亜鉛欠乏症についてだが、亜鉛は味覚を感じるのに必要な栄養素であり、体内の亜鉛が不足すると味覚障害を含む様々な体調不良に襲われる。

ひとまずそちらに当たりをつけ、医師からは亜鉛を処方された。
また、それでも治らなかった場合に備え、味覚を専門に研究する病院の紹介状をもらった。

10日程度亜鉛の服用を続けたところ徐々に味覚・舌痛は回復していき、1ヶ月も経つ頃にはすっかり良くなった。


そのため、亜鉛欠乏が原因だった可能性は大いにある。

しかし、精神的なストレスによるものの可能性も同じくらい存在すると思っている。

と言うのも、このnoteを始めた当初、再度味覚障害になりかけたからだ。

当時は(今もだが)精神的にものすごく病んでおり、衝動的にnoteを始めた。
そのタイミングで舌の違和感と味覚の鈍化に襲われたため、また亜鉛欠乏によるものとすればタイミングが良すぎる。

幸いにも、以前のように悪化することなく、今は味覚は戻っている。
…と言いたいところだが、実は若干だが舌の違和感が再度出てきており、本調子かと言われると怪しいものがある。

もしも再発するようなことがあれば、文字通り地獄の苦しみだ。

もう一度あの苦しみを味わうくらいなら、命を絶ちたい。
本気でそう思えてしまう、悪夢のような症状だった。

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