SHHisが描くネガティブコントラストとその行方
SHHisというアイドルユニットが、感情を大きく揺さぶる。その理由を言語化してアーカイブする必要があると考えたので、残しておく。
※アイドルマスターシリーズ作中のアイドルコミュ(シナリオ)を一部引用しながらの雑記となります。ネタバレが苦手な方はご注意ください。
SHHisはアイドルマスターシャイニーカラーズというアイドル育成・コミュニケーションゲームに登場するアイドルユニット。
基本プロフィールの比較
まず、ふたりのプロフィール要素を簡単に比較してみよう。
・身長差(緋田美琴が170cm、七草にちかが158cm)
・年齢差(緋田美琴が24歳、七草にちかが16歳)
・キャリアの差(緋田美琴は10年ほど芸能界に、七草にちかはデビューしたて)
この程度の要素であれば、アイドルマスターシリーズであるあるの「凸凹コンビ」である。
アイドルマスターシンデレラガールズというシリーズに登場する凸レーションというユニットもまた、こういった要素のコントラストを持つを持ち合わせている。諸星きらり、城ヶ崎莉嘉、赤城みりあの3名で構成されており、身長、年齢、性格もバラバラ。
しかし、こういった他のアイマス生まれユニットとSHHisは残酷なほど決定的な違いがある。
対等でも、親族でもない
SHHisの特異性はそれぞれが見つめる方角の違いと噛み合わなさだと思っている。
たとえば、先述した凸レーションも小中学生のふたりは再年長の諸星きらりを「きらりちゃん♪」と呼び、きらりもちょっぴりお姉さん、くらいの立場でフランクに接する。
また、同ユニットメンバーの城ヶ崎莉嘉には既に人気アイドルとして活躍する姉がいる。
「もっと上を目指す」立場の姉に対し「アタシだって、お姉ちゃんみたいになりたい!」という妹。一見こちらもSHHisと似たような見つめる方角の違いやキャリアの開きがあるように見えるが、特に前者は親族ゆえの共通項、長年の思い出やコミュニケーションの積み重ねに起因するものであり、出会ったばかりの……最近まで赤の他人同士だったSHHisとは訳が違う。ファッションや振る舞いの模倣からも、姉妹の関係の良さが伺える。
SHHisが抱える正反対の要素は、ネガティブに作用していく。共通項もほとんどない(2022年11月の現状、そのように私は受け止めている)。
見つめる方角の違い
自分のパフォーマンスをより向上させるため、上を向いている美琴、追いつきたい一心で美琴を見上げるにちか。
美琴はにちかを説明するとき、「一緒にユニットを組んでいる相手です」としか説明できない、解像度の低さがあった(徐々にその解像度を上げようとするシーンも伺えたが)。ただ、明らかに他のアイドルたちと違って積み重ねが足りなさすぎる。「一緒に」がとても薄く聞こえる哀しさ。
仲が悪いとかではない。好き、嫌いではなく、美琴の、パフォーマンス向上以外への関心の低さ。にちかの、まなざしのその先。
唯一の共通項
強いて言えば、「これがダメだったらアイドル人生終わりかも」という経験が共通項だろうか。そこが現状彼女たちを繋ぎ止めている唯一の共通項かもしれない。
美琴は10年ほど芸能界にいて、以前組んでいたユニットを解散してこの283プロダクションへやってきた。「今度こそ、私がなりたいアイドルになる」というのが彼女のミッションであり、それが実現するなら死も厭わないという姿勢。
七草にちかは283プロダクションの事務として働く姉に猛反対されながらもアイドルの世界へ飛び込んだルーキー。
W.I.N.G編という育成モードでは「W.I.N.Gで優勝できなきゃアイドルは諦める」という姉との約束のもと、重いプレッシャーを抱えながらレッスン、仕事、オーディションを積み重ねる。
ネガティブコントラストの軌道から目が離せない
SHHisの魅力はアイドルマスターシリーズのイメージを覆す、まさに現代っ子ガールズが抱えるほの暗い不安定さ・葛藤が見え隠れするシナリオ。ちなみに、曲や衣装はK-POPっぽくてカッチョイイです。
そんな訳で、皆さん早くアイドルマスターシャイニーカラーズのSHHis関連のシナリオを読んで感情グチャグチャになりなさい。以上です。
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