見出し画像

芸術は多角的な価値観に触れる絶好の機会だという話

東京都高等学校文化祭の第31回中央展がにわかに話題となっています。ツイッターアカウント名「あるるも」さんが、彼女自身の作品が美術・工学部門で奨励賞に選ばれたととツイートしたところ、軽い炎上状態となっていました。一時はアカウント凍結の危機にもなったようです。

作者のあるるもさんが受賞された絵画と共に制服姿で記念撮影された様子を喜びとともにツイートしたところ、執筆時点で5・8万件の「いいね」がついていました。作品はお酒に囲まれて恍惚としている若い女性がアニメ調の画風で描かれています。胸や股間がはだけており、簡単に言えば「エロさ」が全面に出ている絵でした。

最初にこのツイートを見た時は悪質なコラージュかと疑いました。女子高校生がその様な絵を作品として公にして受賞されるというのは信じがたかったからです。それほどに意外性がありました。

これに噛み付いたのは女性の性的消費を良しとしない方々です。俗的なラベルで言えば「フェミニスト」と呼ばれる方々です。その方々は女性を性的に誇張して描くのを嫌います。彼女らは割と過剰反応したときに注目を浴びることが多く、広告などの表現が過剰に規制されることで嫌われる対象ともなっています。今回話題となった絵画は正しくその標的たりうるものでした。

標的となったものの、作者がフェミニスト自身が守りたいであろう若い女性であるというのが痛快です。中央展は割と格式高い絵画展のようなので、作者は相当な自信と誇りをもって提出したに違いありません。そして奨励賞という形で認められています。私もリベラルな思想の持ち主なのでフェミニストの主張はある程度理解しているつもりですが、守るべき対象が何なのかを見誤らないようにしなければなりません。

私は絵画の良し悪しはよく分かりません。良し悪しは分かりませんが、絵画はデジタル画像を通じて得られる印象と実際のキャンパスを目の前にしたときの印象は随分と変わるのは知っています。どんな名画であってもデジタルだと感動は秒で消費してしまいますが、立体的に描かれた絵画を俯瞰してみたり細部を観察してみることで複合的かつ多角的な感動を得られます。おそらく素人がその凄さを実感するには実際に立ち寄ってみないと分かりません。

2020年にやり残したことの1つに芸術に触れる習慣をつけるという行動目標がありました。コロナ禍や諸々の事情によりなかなか叶いませんでしたが、来年こそは何かしら上手い方法を見つけたいと考えています。芸術は多角的な価値観に触れる絶好の機会です。作品自体もそうですし、自分自身や周りの反応もその機会です。今回の騒動はそれを思い出して来年の動機付けるには絶好の話題でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?