HUNTER×HUNTER考察 制約と誓約についての考察

はじめに

クラピカの能力について、制約と誓約を変えればいいという意見をみたので、それがいかに難しいかここでは考察してみようと思う。

制約と誓約

制約と誓約とは、念能力を爆発的に底上げするためのものである。
制約はルールであり、誓約は心に対する誓い(覚悟)といえばわかりやすいだろう。この二つを組み合わせることで、本来成し得ないであろう能力を発動させているのである。
なので、制約と誓約が崩されると能力が発動しない可能性が高い。最悪は念能力を失うこともある。
これを踏まえた上で、制約を変更できるかといえば可能だろう。ただし、制約と誓約は微妙なバランスで成り立っている。念と心についての考察で語った通り、念の強さは心の強さと密接に関わりがあるものと思われる。心の強さ、つまりは覚悟であり、覚悟は誓約に結びつく。
なので、根本的なところを変えると発動しないものと考える。
クラピカの束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)の場合、旅団以外に使わないというのが制約であり、使ってしまった場合は死ぬというのが誓約である。
対象を限定し、命のリスクをかけることで生まれた能力。
対象を変更した場合は根底が変わるためにそもそも発動しないだろう。同時に、命のリスクをそれ以下のものに変更した場合も発動できなくなると見ていいはずだ。
では、対象を限定とした制約に、あとから対象を加えることはできるだろうか。
おそらくは、可能である。ただし、能力は弱まるとみるべきだ(ルールが厳しいほど、つまり対象が絞られるほど念は強まるはずなので)。
束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)の場合は、相手を強制的に絶にするため、鎖を腕力で引きちぎらないとならない。この鎖の強さが変わるとみてよいだろう。
だからこそ、この能力が旅団の中で最も腕力の強いウボォーギンに通用するかクラピカは確かめたのだ(ウボォーに通用しなかった場合、さらに制約を足すことで強力にしようとしたのだろう)。
結果、対象を限定することと命のリスクの強さがそれに勝ったのである。

クロロの場合

以上のことから、制約と誓約を変更することは能力が発動できるかどうかにも関わる問題であり、その調整は大変難しいと思われる。
威力を変えずに新たに制約を加える場合、より厳しい条件の制約を加えなければいけないだろう
ここで思い起こされるのが、クロロの盗賊の極意(スキルハンター)の制約の調整である。
対ヒソカ戦で、クロロは両手を使う能力を組み込むために厄介な制約を加えたと言っていた。
片手で本を持つという制約を破り、新たに制約を組み込んだのだ。これは、片手が塞がれる制約以上に厳しいものにしなければならない。なぜなら、両手を使うメリットも生まれるからである。制約と覚悟によって念は強く働く。後付けで簡単に変えようとすれば、そもそも能力が発動しないリスクもある。
なので、これまで以上の制約が必要になるのだ。
ヒソカ対クロロ戦の考察でも書いたように、おそらくは栞を挟んだ能力を使えると同時に、栞を抜いたときにその能力を強制的に持ち主へと返却するという制約が課されたとみるべきだろう。返却された能力は、再度面倒な条件をクリアして取得する他にない。仲間であれば問題ないが、敵であった場合は自分の能力を知られているわけで、再度盗むのは困難になるだろう。
だからこそ、クロロは仲間の能力となくならない能力である死後に強まる念(サンアンドムーン)のみに栞を用いたのだと推察される。
このことは、クロロとヒソカの再戦で明らかにされると思われる(ヒソカはおそらく気づいている)。

おわりに

結論。
クラピカの束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)の対象を変えることは難しい。能力が弱まるリスクや発動しないリスクが高いので。
変えた後に戻すという行為も難しいだろう。そんなに簡単に変えられるのであれば、覚悟が足りない。おそらく戻すためには前回以上の制約と誓約が必要となるはずだ。
なので、死なない程度にあとから調整なんて無理だし、能力のハードルと覚悟のハードルは人それぞれなので、〇〇の能力に比べて〇〇の能力の誓約が低いなどという議論自体無駄だと個人的には思っている。
ほいほい変えられないからこその誓約であり、覚悟なのだ。
まあ正直こんなに詳しく書かなくてもわかるよなぁって思うけど、はじめにでも書いたように、安易に制約と誓約を変えればいいという意見を多数みかけたので、即興で書いてみました。


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