HUNTER×HUNTER考察 パームの能力についての考察

はじめに

パーム・シベリアの能力は二種類存在する。ひとつは水晶を使った監視能力で淋しい深海魚(ウィンクブルー)であり、もうひとつは毛髪を全身に纏い攻守ともに強化する暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)である。後者においては特に語る必要はないであろう。問題は、前者の監視能力である。ここでは、その淋しい深海魚(ウィンクブルー)について、ひいては蟻になる前の千里眼能力について語りたい。

念の系統

まず、この千里眼能力がどの系統に属するかであるが、具現化した物質に特別な能力を付与することができる具現化系が一番可能性として高いだろう。だが、パーム自身の系統は強化系である。強化系が具現化系の能力を使えないことはないが、その精度はどんなに極めたところで60%が関の山である。だが、パームの能力の精度は、名前も知らないゴンたちの師匠であるビスケを見つけ出す程である。それも身体から離した状態で、だ。これは到底強化系能力者が可能な範囲とは思えない。むしろ、具現化系の極に近い能力ではないだろうか。

人魚のミイラの水晶

パームの念能力に関しては、長らく疑問符がついていただろう。それを理解する鍵となるものが出てきたのは、蟻編と選挙編の次にあたるカキン王位継承編である。ここで出てきたのが、壺中卵の儀と呼ばれるものだ。これは、カキンの初代国王が具現化した壺に継承者の血と王即位への思いを念じることで守護霊獣を育むというものである。詳しい儀式については今回関係がないので省くが、これは何かに似ていないだろうか。
そう、パームが能力を発動する際に人魚のミイラに血を垂らす行為とそっくりなのである。
血を垂らすという行為は、おそらくは制約と誓約によるものだと思われる。つまり、自分の血筋の人間に限定して自らの具現化した物質の能力を使用させるため、血という鍵を用いたのではないだろうか。
カキンの壺は霊獣を、人魚のミイラの水晶は千里眼の能力を、それぞれ与えるために先祖が遺したものだと考えれば、得心がいくのである。

さらに、具現化した物質が何代にもわたり存在し続ける理由。通常であれば時間経過と共に消える念で作られた物質が、能力者亡きあとも存在する理由に関しては、死後に強まる念で説明がつくだろう。
これに関しても、似たものが存在する。クロロの能力である盗賊の極意(スキルハンター)。能力を盗む能力であるが、これは盗んだ相手が死ぬと盗んだ能力も消滅するはずが、例外として残った能力が存在する。それが死後に強まる念、番の破壊者(サンアンドムーン)である。
誰かのために残した強い思いは、死後も遺り続けるのである。

蟻に改造されて

パーム・シベリア自身は強化系能力者である。
ただし、先祖代々継承してきた人魚のミイラの水晶という具現化能力者によって作られた念物質によって、血という鍵を用いて使用することのできる千里眼能力を所有していた。
ノヴによる「お前の能力(血)は、かけがえのない貴重な源泉」という言葉は、そのままの意味である。

蟻に改造された際には、額に水晶を埋め込まれ、完全に自身と一体化することで水晶を見ることができなくなったため、淋しい深海魚(ウィンクブルー)という能力になった。能力の詳細は29巻を参照。
これについてはメリットとデメリットが存在するように思われる。おそらく、蟻になる前は見た人間に関わる人間も千里眼で見つけることができたはずだ。これは先に述べたように、ビスケを見つけて連れてきたことからわかる。
淋しい深海魚(ウィンクブルー)ではおそらくこれはできなくなっているのではないだろうか。
まあ、蟻の兵士としては千里眼の探索能力より、見た敵を逃さない監視能力の方が使い勝手がよかったのだろう。

おわりに

以上がパームの能力についての考察である。未だにパームの能力が特質だとか変化系うんぬんのアホな考察があったので書いてみました。

さあ、本当に仕事しよう!

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