『黒い家』読書感想文#1

まず、私が読書感想を書こうと思ったのは、記録のためです。どの作品をいつ読んで何を思ったのか、何に興味を持ったのか、文章にした方が後で見返した時に便利だろうし、忘れにくいだろうと思って始めます。

あえてネット上にあげるのは、完全にモチベーションのためです。誰かに見られているかもいう緊張感がある方が続くかもしれないから。

また、そもそも読書をしようと思ったのは、文学部卒のくせに読書をおそろかにしていた自分を反省するため。

週に二、三冊は読めればいいなと思います。目標が達成できなくても、マイペースに読んでいきたいです。

なお、読書をした際に思ったことを箇条書きで書き留め、つらつらと書くので、私が読書感想を書く本を読んだことがない人にとっては、何を言いたいのかよく分からないかもしれません。

ですが、ちゃんと意味の分かる文章にするには、一冊一冊の感想文に時間を取られてしまい、肝心の読書をする時間が失われてしまうので、箇条書きで済ませます。だから、あまり人に読まれる文章ではないかと思います。



今回は『黒い家』(貴志祐介)を読みました。この作者の作品を読んだのは初めてです。

読後にWikipediaで作者のことを調べると、聞いたことのある作品がいくつかありました。『クリムゾンの迷宮』は元恋人から文庫本をもらいましたが、直ぐに別れたために餞別代わりになったもの。今でも本棚のどこかに埋もれていると思いますが、実は一度も開いていません。本や作者に罪は無いけど、まるで読む気にならならないんだな、これが。これからも読まないと思います。無理に読む必要もないですね。

『新世界より』はアニメを観たことがありました。とても面白い世界観で、夢中になって観た記憶があります。社会的なテーマのあるアニメってなんであんなに面白いんだろうなぁ。


あらすじ(以下、Amazonのページから)

内容(「BOOK」データベースより)
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。




感想
※重大なネタバレ含むので未読の人は注意
※ここから箇条書き


・身近に起こってもおかしくない、何気ないきっかけから大事件に発展。ありそうで怖い。


・主人公である若槻は保険会社に勤めており、仕事のシーンから始まる。

・とにかく保険会社の描写がリアルで驚く。

・読後に調べた作者のWikipediaによると、作者は保険会社に勤めていたという。だからあれほどまで緻密に描写されているのかと納得した。経験が無いのに取材や調べるだけで、あんなリアルな保険会社の仕事風景が書けるなら仰天していた。

・無言電話の嫌がらせのシーン。これは怖い。正直ビビって変な汗が出た。夜中一人にいる時に何回も無言電話きたら、そりゃあビビる。少なくとも自分は。

・自分はFPSゲームをやるが、敵と戦って銃弾を避けながら何とか撃ち勝てたときくらいにハラハラして面白い。

・ここでこの作品がホラーに分類されるものだと初めて知る(この本の前評判やあらすじを一切見てないから、ホラージャンルなのを知らなかった。映画化までされていたとは)。

・途中に挟まれる学者?研究者?である金石と若槻の話し合いでは、サイコパスに対する言及がある。とにかくこの説明が長い。やけにページを割かれて説明されているなという印象。「サイコパス」。これがこの作品の主題なのかなと考えていた。

・金石と若槻の話し合いで出てくる話題。「サイコパスは何故生まれるのか」。ここを読みながら、考えたことがないことを少し考えた。何故だろう、病気? 生育環境? それとも遺伝だろうか。

作中では、生まれる要因はよく分かってないとされた。だが、とにかくサイコパスは年々増加しているらしく、その要因に環境汚染を挙げていた。環境汚染が遺伝子にもたらす影響があるかもしれないと。PCB(ポリ塩化ビフェニル)とかなんとか。聞いたことあるわ。

なるほど、私は文系なので本当のところはよく分からないが、環境汚染によってサイコパスが増えるというのは、なんだかとても尤もらしい理由だが、実際はどうなのだろう。いずれ時間がある時に調べてみたい。

・あと、現代社会がもたらすサイコパスへの影響の話。

例えば、対戦ゲームで遊んでいて敵を倒す。無感情に、あるいは『むかつく』という軽い理由で。だが、それはサイコパスだからではなく、それが敵だから。遊びだから。娯楽だから。

現代社会は、そのような「サイコパスに見える振る舞いをする人(サイコパスではない)」で溢れていて、社会は本物のサイコパスの隠れ蓑になっていると。金石は大体こんなこと言っていたような気がする。ほほーん、隠れ蓑ね。面白い考え。

自分もシューティングゲームする。今はバトロワのAPEXが好んでやっている。はたからみれば、自分も立派な「サイコパスに見える振る舞いをする人(サイコパスではない)」なんだろうか。

確かに、テレビゲームが登場する以前の尺度なら、銃を乱射していたらサイコパスみたいな行動をするヤバい人に見えるだろうけど、今はデジタル社会。

eスポーツは世界的な流行になっていて、それで食べるプロゲーマーもいる。私たちはサイコパスじゃないどころか、サイコパスもどきでもない。例えばAPEXの累計プレイ人口は1億人。そりゃ本物のサイコパスも少しは混じってるだろうけど、社会と同じだ。まともな人がほとんど。もどきですらないと思う。ゲームを全くしない人と同じように、スーツを着て、満員電車に乗り、仕事をしている。学校に行っている。

・そういえば、暴力的な要素のあるゲームをすることでストレス発散になり、翌日の仕事に良い影響があるという研究結果が出たという記事を見たのを思い出した。(10年くらいの記事だけど)

確か、ストレスのあるゲームをすることで、ストレス耐性が高まるという趣旨だった。FPSはストレスの塊。どの対人ゲームもそうかも。中には発狂したりキレ散らかしたりコントローラーぶん投げる人もいるくらい。私は楽しむタイプの人間で、負けても「そうかそうか」くらいにしか思わないが、多少のストレスはある。思い通りにならなくてむしゃくしゃしたり、緊張したり高揚したりする。ストレス耐性は確かに高まるような気がする。

この話題、サイコパスに関係ないし、めちゃくちゃ脱線してるけど。とにかくゲーム大好き

・どうでもいいシーン、p196の「人事異動がうんたら〜」とかいうちっぽけなプライドを感じて、連日の嫌がらせ攻撃にも痩せ我慢する若槻。

それに自分を重ね合わせて同意。

体調が悪いと言ったら人事評価に響くかな、とか、仕事で何何が辛いとか漏らせば、情けない奴だと思われるかなとか、前の上司の期待を裏切りたくないとか、自分も4月に人事異動したばっかりで、主人公と同じようなことを思っていた。

ここを読んでいるときは、苦笑いしながら「あ〜。わかる、わかる」と深く頷いていた。

こういう何気ないシーンで感情移入できるのは、とても好き。

・若槻が「重徳に殺される幸子」に同情するシーンにわざとらしさを感じて、「あ〜成る程、犯人が違うな」とここで初めて気づく(勘のいい人はもっと前に気付くのだろうけど、私はそこら辺は鋭くない)。

これは重徳がやられるフラグ満載だわ。

そういえば、小学生時代に二人が書いた作文も、「重徳には人情があるが、幸子はそうじゃなかった」とかいう伏線があった。

ここで主題(サイコパス)を思い出すと、やはり犯人像は重徳よりも幸子という感じ。この分だと嫌がらせも幸子がやったんだろうな、と思い始める。

・犯人に見当をつけたところで、若槻が幸子に怪文書(貴女は旦那から命を狙われています云々)を書いて送りつけるシーン。

いや主人公、あんたも良くやるよ。

自分なら絶対出来ない。だって、ここでこの一件が殺人っていう証拠がまだ何も無いから、そんな怪文書(名誉毀損レベル)を顧客に送って身バレしたら社会的に終わるし、容疑者の重徳(と若槻は思っている)にバレたら一貫の終わり。自分なら絶対無理。

「マジかよ主人公、ようやるわ」という感じでハラハラ。話が盛り上がってきた。

とはいえ、若槻はだいぶメンタルにきており、過去のトラウマが刺激されてるから、このまま何もせずに次の犠牲者が出たら、それこそ若槻の心が壊れてバッドエンド。話を進める上では、手紙を出したのは仕方ないのかもしれない。

でも幸子が犯人だったら手紙を送るのはまずいことになるだろうな〜と、続きをめくる手が止まらない。

・p247に蜘蛛のイメージについてある。表のテーマがサイコパスなら、裏のテーマというくらいに虫がやたら出てくる。

・虫と言えば、p310で若槻がマウンテンバイクでうっかり油蝉を潰した後、情けで「いっそ楽にしてやろう」と轢きなおすというのが、エッとなった。

轢き直しちゃいますか。二回目ですか。おかわりですか。主人公のくせに怖いよ、若槻。

自分なら「あ、やっちまった」って思い、心の中で「南無」と唱えて合掌し、そのまま後ろめたい気持ちを抱えながら素通りする。

もし動物だったら、いっそラクにしてやろうとか思って轢きなおさないでしょ。踏んだのが虫だからだろうか。

ここのシーンはよく分からなかった。
おかわりしない自分の方が少数派なのか。
それとも何かの比喩なのか。

比喩であれば何だろう。

3本足の油蝉はすなわち手を潰された重徳。
そしてその手を潰したのは幸子。

あれほど若槻は幸子の鬼の所業を恐れていたのに、虫に対しては同じことができてしまう(残酷になれてしまう)若槻(人間)への批判だろうか。

とはいえ、若槻は故意に虫を潰しちゃったわけではないから、完全に故意でやった幸子とは違う。

なんだろう、このシーンは私の深読みかもしれない。でも、深読みの余地がある作品ってすごく面白い

・終盤、クライマックスに近づいた頃、幸子が若槻のアパートに侵入するシーン。怖いマジ怖い。恵の身の危険をすぐに察知して行動が出来る若槻は男としてカッコいい。

・クライマックスのシーン、エレベーターや非常階段あたりでは、まさか主人公が死なないよなと思いつつハラハラ。

・最後は、あの葛西(若槻の上司で仕事が出来る巨漢)も顔色をなくす次なるサイコパスあるいはモンスター(若槻の彼女で性善説を信じる恵がこれを聞いたらキレそう)が登場。物語に広がりを持たせ、『始まりに過ぎなかったのだ』エンド

次回作に繋がる前振りなのかと思ったら、特に続編は無かった。

・物語通してやはり虫がたくさん出てくる。アリ、クモ、イモムシ、セミ──。それらは幼少期に自殺をした(と思い込んでいた)兄と繋がっており、恐ろしい死の象徴であり、若槻にとってのトラウマでもある。そういう感じかな?と私は考えた。

・サイコパスについて興味を持つ一冊になった。

アニメ「PSYCHO-PASS」もお気に入りなので、サイコパスについて調べてみようかと思う。

こういう興味が広がる読書体験を今後もどんどん増やしていきたい。


まとまりのない思ったことを書き並べただけの文章だが、この辺で終わり。


これ、読んだことない人には絶対意味分からん文章だわ。

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