友達を作ろうと焦ることをやめた

 最近は自己肯定感を常に高い状態に保っていられている。苛々とすることこそあれども、毎日気分よく、大きな落ち込みもなく1か月を過ごせていることに自分でも驚くほどだ。
 そもそも、だいたいの自分の気分が落ち込む原因は、人間関係をうまく構築できないことや、やるべきこともこなせない己の怠惰さに対する情けなさなんだなと21年間自分と付き合ってきた最近、ようやくわかってきた。

 台湾に留学に来てもう75日ほど経過するが、初日あたりで、自分は結局変われないな、フレンドリーにはなれないなと第六感的なもので察知。そこから、気持ちが落ち込まないように対策行動が我ながら非常に上手かったと感心してしまう。さすがに大学4年間で友達と呼べる人間を1人も作れなかった経験は無駄じゃなかった。
 まず、他人と比較して落ち込まないように、高校時代の友人や大学の同級生のSNSを全てミュートした。そして、大学内を移動する際は「この大学で一番かっこいいし偉いのは自分だ」と唱えながら肩で風を切るようにして歩くか音漏れするほどの爆音でギターロックを聴きながら顔を下げて歩くようにする。こう、俯瞰してみるとかなり恥ずかしいけれど、あくまで自己暗示。だって友達を作る必要がないから他人の目を気にする意味がないんだもん。

 もうね、友達作りにおいて、努力しようとすることすらできない自分の性質をわかっているのだ。友達が欲しい、というマインドが心の隅にでもあると、頑張ってフレンドリーに接しようと努力しようとしても上手くできないことが悔しくて情けなくて、本当に気が滅入ってしまう。
 努力しない自分が悪いのは百も承知の上で、努力、の手前の段階で苦しくなってしまうので、本当に友達作りをやめてみることにした。誘われない限りは人と食事に行くこともしないし無理に話しかけようとすることも授業前などに不安感をあらわにして他人の様子をうかがうことももうやめた。

 幸いなことに私は一人行動が好きで好きでたまらない。誰かと一緒の遠方への旅行よりも、一人で一つ先の駅前をふらふら歩くことの方が好き。SNSや地図アプリを必死に参照しながら友人の好きな洒落たカフェでおいしいね、とわざとらしく感想を言い合う滑稽な作業よりも、一人で歩いていて見かけた適当な汚い飯屋でぼーっとしながら安い飯を食べてふらふら散歩を再開することの方が好き。

 他人と比較しないように慎重に、一人を楽しむことを選んでみたら、本当に驚くほど気持ちが軽くなった。何しに留学に行ってるんだ、と出資者である親などからは叱られてしまいそうではあるが、自分が楽しく生きるための方法だと心から今の生活を誇りに思える自分を、今では最高に愛している。

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