モチベーション革命~稼ぐために働きたくない世代の解体書~
著者:尾原 和啓
初版:平成29年10月
「なんのために頑張るか」という働くための価値観、つまりモチベーションが、ある世代を境に大きく変わってきています。
団塊世代より 10 年以上も上の彼らは、お金を稼ぎたい、広い家を建てたい、いいクルマを買いたい、きれいな女性を抱きたい。
欲望への飢餓感と上昇志向と共に成り上がっていきました。 ないものを、いかに埋めるか。
それが最大のモチベーションだったのです。
しかし、今の 30 代以下は団塊世代以上とは全く異なる価値観を持っています。
生まれたころからすでに何もかもが揃っていたので、物や地位などを欲して頑張ることはない。
埋めるべき空白が、そもそもないのです。
こんにちは、ヒデです。
今回は、尾原和啓さんが書かれた『モチベーション革命~稼ぐために働きたくない世代の解体書~』を紹介ます。
▼「乾けない世代」とは何か?
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上の世代は、「世の中の空白を埋めるように」仕事をしてきた世代です。社会にないものを生み出し、何かを達成することが、同時に社会貢献につながっていたのです。
「乾いている世代」である上の世代のモチベーションは「国」や「社会」を動かし、支えていくという「大きな枠」で作り上げられてきました。
一方、「乾けない世代」のモチベーションは「家庭」「友人」「自分」という、「小さくて身近な枠」で作り上げられています。
「乾けない世代」は「すでに作り上げられた社会」の上に立たされ、「大きな枠」はもはや変えようがないから、「小さくて身近な枠」を大切に生きていく。
しかし、社会も経済も激変したのに、働き方のルールは変わらない。
「乾けない世代」は、決められた目標に対してただ 邁進 してきた上の世代とは、戦う理由が違うということです。
「乾いてる世代」と「乾けない世代」では時代も環境も違うのに、確かにサラリーマンという働き方は100年以上変わっていないですよね...
古い価値観の上司に古い常識を押し付けられる...
これじゃあ、若い世代のモチベーションが上がらないのも当然だと思います。
▼偏愛こそが人間の価値になる
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仕事を頑張ったぶんだけ結果が出て、社会全体が成長していく時代はとうに終わりました。
理由は2つあります。
ひとつは、日本の人口が減少傾向にあり、かつてのような右肩上がりの経済成長を望めないこと。
もうひとつは、社会のIT革命とグローバル化によって、あらゆる変化のスピードが速くなったこと。
たとえ今、好調な業績で安定しているように見える会社でも、いつ社会のルールが変わり、倒産するとも限らない。私達は、それほど先が見えず、変化に富んだ時代に突入しているのです。
すでに世の中には必要最低限のものは溢れています。
今は「どう遊ぶか」までを、提案してあげなければなりません。相手の潜在的な欲求を見つけ出して、体験をプロデュースしていくのが、これからの仕事なのです。
今はユーザーの潜在的な欲求や、購買意欲のツボである「インサイト(新しい視点)」をすくい上げる時代です。
しかし、今は、世の中に足りていないものを見つけるのが困難なほど、すでにあらゆる課題解決がなされており、より新しい切り口や、物の見方を変えることが必要とされています。
時間をかけて課題を解決することよりも、課題自体を発見したり、新しく課題を定義したりすることに投資するべき時代なのです。
仕事と遊びの境目がなくなる時代だからといって、好き放題やればいいというわけではありません。
周囲からの信頼感を得ているからこそ、自分がより得意なことに専念する状況を作るスタートラインに立つ、ということは忘れてはいけません。
いつの時代も、人は信頼がすべてです。
これだけはずっと変わらない社会のルールなのです。
サンフランシスコ発のタクシーサービス「Uber」をご存知でしょうか?
「Uber」は、アプリによって車両を持つ一般ドライバーと乗客をマッチングするサービスで、すでに日本にも参入しています。
この仕組みによって、タクシードライバーは、タクシー会社に入社しなくてもアプリと自家用車だけで、ドライバーとして仕事ができるようになりました。
働く人間の立場から見れば、このサービスは「人が『Uber』を介していつでもどこでもドライバーになれる」という画期的なものに映るでしょう。
しかし、見方を変えるとどうでしょう。
「Uber」側からすれば、ゆくゆくは車の自動運転が可能になることを見通して、AIだけで乗客を運べるようにしようと考えるはずです。
今水面下で進んでいるAIの進化は、我々の想像するずっと先を行っています。
ひとつだけ確実なことは、いわゆるワークだけの「サラリーマン的な仕事」の価値はどんどん落ちていくだろう、ということです。
今後「人工知能革命」が加速していくと、単純作業のような仕事はどんどんAIが担っていくことになっていきます。
では、人が仕事をしていくうえで、どんなことが大切になっていくのか。どんな仕事なら、ロボットに代替されることなく、持続していけるのでしょうか。
それは、人は自分にはできないこと、なし得ないことに対して、いくらでもお金を払うのだ、ということです。
そして、自分にはできないことをしてくれる相手に対して、人は「ありがとう」という言葉をかけるのだと。
そんな仕事をするうえで最もハッピーなことは、「自分にとっては好きで楽にできることと、相手にはできないこととが嚙み合うこと」です。「こんなに楽で楽しくできることで、相手にお金ももらって、感謝をされるなんて!」と思えることです。
仕事をしていて、これほど幸せな瞬間があるでしょうか?
任天堂の故・岩田聡元社長の「〝労力の割に周りが認めてくれること〟が、きっとあなたに向いていること。それが〝自分の強み〟を見つける分かりやすい方法だ」という名言があります。
自分が楽にできてしまうことは、本人にとって当たり前すぎて価値を感じないために、なかなか気づけないものです。
人工知能にも代替不可能なもの……それは「 嗜好 性」です。簡単に言えば、「私は誰になんと言われても、これが好きだ」という偏愛です。
これからは「他人から見れば非効率かもしれないけれど、私はどうしてもこれをやりたい」という、偏愛とも言える嗜好性を、個人がどれだけ大事に育て、それをビジネスに変えていけるかが資本になっていくのです。
日本の人工知能の権威、東大の松尾豊教授が、こんな話を聞いたそうです。「昔の資本は筋肉でした。肉体労働を集約できることが強かった。」
それが蒸気機関の発明で追いやられて、今の資本は頭脳になった。
そして頭脳は人工知能によって効率的な仕事に追いやられて、次の資本は非効率を産業としていく嗜好になっていくのです」。これを受けて教授は「自分が何を好むのかという情報はこれから価値になります」と語っています。
先の見えない、この変化の時代において間違いなく言えること。
それは、一見非効率に見える人間の「好き」を突き詰めて、その「好き」に共感する人が「ありがとう」とお金を払ってくれる〝偏愛・嗜好性の循環〟こそが、残っていくということです。
中間管理職としてサラリーマンをしている僕にはとても参考になる1冊でした。
今、サラリーマンとして後輩や部下をかかえてる全ての人に読んでもらいたい本です。
気になった方はぜひ手に取ってみてください。
では、また( ̄^ ̄)ゞ
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