人生の醍醐味は、どれだけ「奇跡」に気づけるか、だと思う
大好きな選手のホームラン。
それはファンみんなで分かち合う勝利の喜びとはまた違う、「私にとって」大きな意味があるものです。
こんなに早くでるとは思っていなかった、福ちゃんの今季第一号。
去年の初ヒーローインタビューは、シーズンの最後にギリギリなんとか間に合った感じだったので、今年は序盤にニコニコのヒーローインタビューを見ることができて、長年のファンとしては本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
そしてこの日の試合は、宗りんこと川崎宗則選手の日本復帰戦。
実は、宗りんは福ちゃんの憧れの選手であり、宗りんがイチローを慕っているように、福ちゃんも師匠として慕っている関係です。
プロになりたての子が、先輩にこんな姿を見せられたら、それは大ファンになってしまいますよね。
宗りんはいつだって明るくて、かっこよくて、頼りになる。
彼のキャラクターがよく表れたエピソードだと思います。
しかし、九州中のホークスファンが見守る中、初打席から第3打席まではあえなく凡退。
そして苦心の末、第4打席で念願の日本復帰初ヒットを記録しました。
復帰戦で、宗りんにホームベースを踏ませてあげたい。
ホークスファンが懸命に祈る中、打席に立ったのは怪我をした柳田の代わりに出場した福ちゃんでした。
「なんでこんないいところで柳田がいないんだよ」
そう思ったファンも多かったと思います。
そんな諦めモードの中、快音と共にふんわりとスタンドに入っていく白球。
宗りんを、自分の一振りで、ホームに返してくれました。
そう、まるで、自分が初打席で凡退したときに、宗りんが仇をとってきてくれたように。
7年越しで、憧れの先輩に「借りを返した」瞬間でした。
ヒーローインタビューで「宗さんに自分の上達を見てもらえてよかった」と嬉しそうに話す福ちゃんに、思わず胸が熱くなりました。
この日の福ちゃんのホームランは、ほとんどの人にとってシーズン中にでたホームランのうちのひとつでしかありません。
でも私にとっては、優勝や記録達成と同じくらい感動的な一本でした。
なぜこの感動が起きたかというと、これまでの宗りんとの関係性や、二軍と行き来しながら苦労してきたことなどを私が知っているからです。
まるでドラマのような、漫画のような、そんな奇跡も、そこにある文脈を知らなければ、道端の石ころと同じくらいの価値しかありません。
野球に限らず、他のスポーツも、アイドルもアニメも演劇も、すべて事前知識と文脈の把握があってこそ、そこに感動が生まれるのだと思います。
胸が震えるほどの奇跡も、涙がとまらないほどの感動も、実は毎日いたるところで起きている。
でも私たちはいつも、その奇跡に気づくことなく素通りしているのです。
感動も奇跡も、与えられるものではなく気づくもの。
そして気づくためには、新しいことを知り、学び続ける必要がある。
こうした感動に気づく力を、人は教養と呼ぶのかもしれません。
人生の中で、あと何回感動の場面に立ち会えるだろう。
どれだけ胸震えることに出会るだろう。
私が学び続ける理由はきっと、そこにある奇跡に気づくため。
そう感じさせられた1本のホームランでした。
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(表紙画像:ホークス公式Facebook)
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