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これからのブランドに必要な「のっかり力」

「コミュニティ」への注目度が高まっている今、ファンコミュニティを作ろうとするブランドも増えてきました。

私もずっと「これからはコミュニティの時代だ!」と思ってきたのでファンコミュニティの増加は必然だと感じていましたが、先日コミュニティマネージャーのイベントで日本グミ協会の武者さんの話を聞いて、実はブランド自身がコミュニティを作るべきではないのかもしれないと考えはじめました。

イベントレポート:「長く続くコミュニティ」のヒケツ イベントレポート!

以前書いた「コミュニティコミュニティとコンテンツの関係」の中で、コンテンツを中心に人が集まるということを書きましたが、コミュニティを維持するためには核となるコンテンツが欠かせません。

さらに、そのコンテンツが尖ったものであればあるほど、人は面白がってその場に集まる傾向があります。

しかし、ブランドが公式でコミュニティを運営する場合、公式であるが故にそのブランドイメージを壊すようなとがった企画はやりづらいものです。

すると必然的に、投稿やイベントも当たり障りのない無難なものになってしまいます。

企業がコミュニティを運営する際、ユニークな企画を思いつけないのではなく、思いついても実行に移すときに決済がおりないことの方が多いのではないかと思います。

それよりも今は、個人が1人でイベントやコミュニティを企画・運営できる時代です。

強烈にそのブランドを愛している一個人が発信する情報は、同じ目線のファンに届きやすく、共感を呼びやすいもの。

さらに、企業のようにブランディングを意識する必要がないため、思いっきり自分が「面白い!」と感じる方向に振り切った企画を行うことができます。

日本グミ協会の活動から気づいた、「面白い企画」をもつ個人と企業のベストな関係。

武者さんが運営している「日本グミ協会」は、まさにそうしたかたちで活動されているコミュニティです。

グミが好きで好きでたまらない武者さんが、グミの日(9/3)を盛り上げるイベントを開催したり、グミメーカーの担当者を集めた会議・GUMMITを作ったりと、メーカー側が主体となってやるのは難しい施策を次々と行われています。

そうした「日本グミ協会」と各グミメーカーとの関係性を見ていてふと気づいたのは、これからのブランディングに必要なのは「のっかり力」なんじゃないかということ。

自分たちで当たり障りのないコンテンツを作るのに多大な労力をかけるより、すでに尖った面白い活動をしている個人をスポンサードし、邪魔することなく好きに活動してもらえる土壌を整えるのがうまい企業こそが、これから伸びていくのではないかと思うのです。

例えばInstagramの写真ひとつとっても、公式アカウントをインフルエンサー並みのアカウントにするには、予算も時間もかかります。

さらに、「公式」であるが故にどうしても商業色がでてしまうため、個人アカウントに比べるとマイナスからのスタートであるとも言えます。

それよりも、すでにインフルエンサーとしてファンがついている人に商品を使ってもらったり、独自にイベントを開催してくれているエバンジェリストが活動しやすいように会場提供やドリンクスポンサーになるなど、個人のアカウントに「乗っかっていく」方が圧倒的に効果が高いはずです。

もちろん、その場合インフルエンサーの力を搾取しようとするのではなく、あくまでいちお客様の中でたまたま発信力があるファンがいたという姿勢を忘れてはいけません。

ブランディングを考えると、文言や色使い、会の雰囲気など統制を撮りたくなりますが、それでは公式がやる「面白くない」コンテンツと何も変わりません。

むしろ、開催主体は素人であるが故に、クオリティはチープなのに雰囲気だけ公式色が強いという最悪なかたちになってしまうことすらあります。

だからこそ、ベースは個人に思い切って任せてしまい、公式はそこに「のっかる」というスタンスが重要なのだと思います。

ちなみに武者さんに登壇いただいたCMCイベントには、ピュレグミ公式さんもご参加くださいました。

公式の登壇ではなく、あくまで「日本グミ協会の武者会長」の登壇を第三者として投稿するからこそ宣伝色が薄まり、面白い!と人の興味を引くつぶやきになっています。

企業の組織論でも最近は自律型組織の形成が注目されていますが、世の中全体として、いかに統制をゆるめてそれぞれが自由に動ける環境を作れるかがこれからの成功の鍵を握っています。

それはコミュニティも同様で、ガチガチにブランディグ理論で固めた戦略よりも、素人が「これが好き!」という情熱で勝手に企画するイベントやSNSカルチャーを育てる方向に動いた方が、全体のエンゲージメントが上がるのではないかと思います。

本当に面白いことをやりたかったら、無理に公式で着手しようとせず、面白い個人を発掘して惜しみなく支援すること。

これからの企業に求められるのは、そうした遊ばせる胆力と、面白いことに乗っかっていくセンスなのではないかと感じた日本グミ協会の事例でした。

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(Photo by tomoko morishige)

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