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今週読んだ海外記事と雑感(2020.3.7)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。
文末の有料パートは海外記事の解説です。

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ヒット商品のつくり方

今や日本で当たり前となった「クッションファンデ」が世界的なトレンドになりうるか?についての考察記事。そもそもクッションファンデを開発したのがアモーレパシフィックだったこともはじめて知りましたが、発売翌年に全体の売上が10%伸びるほどのインパクトがあったという話がすごい。まさに「ヒーロープロダクト」です。
そしてクッションファンデをめぐる裁判を経て、今や韓国メーカーだけでなくヨーロッパのラグジュアリーブランドたちも続々とクッションファンデを作っています。(ちなみにNARSのクッションファンデはどの美容雑誌でも軒並み一位を獲得している人気ぶり)
メーカーからするとこれだけのヒット商品を他のメーカーにとられるのは痛恨の極みでしょうが、BBクリームやシートマスクと同じく「公共財」とみなされたということなのかな、と思います。
一方で今のところどのブランドもクッションファンデはアジア向けにしか販売しておらず、アメリカやヨーロッパ市場はこれからというフェーズ。肌質や好みの違いもあってかあまり反応はよくないようですが、BBクリームも何年もかけて徐々に浸透していったので、これから世界的な定番商品になるかもしれません。
最後に書いてあった「ナチュラルメイク好きなアジア人とがっつりメイクが好きな西洋人という図式が逆転しつつある」という話も面白かった。グローバル化によって、好みやヒット商品も平均化に向かっているのかもしれません。

レコメンド時代、人は何によってモノを買うのか?

ほしいものを「ほしい」と思う前に自動でレコメンドされる時代、「欲求とは何か」を考えさせられます。個人的に興味があるのは、今生まれた子たちへのファーストレコメンドは何に基づいて行われるのかということ。仕入れた情報によって嗜好や意見すらも変化するからこそ、まだ何もないまっさらな子供達へのレコメンドは嗜好性の操作につながるのではないか、と考えたりもしています。
もちろんレコメンドがなかった時代もテレビや雑誌を通して嗜好性を操作されてきたとも言えますが、マスではなくパーソナルにレコメンドできるようになったということは、他のチャネルからの情報摂取をせずタコツボ化していく可能性が高く、「純粋培養」が可能なのではないか…など。
記事ではマネーリテラシーと関連づけて論じられていますが、お金の使い方含め意図的に複眼性をもつための訓練がこれからの子供たちには必要なのではないか、と思ったりします。

インフルエンサーの新たなカテゴリ「シンフルエンサー」とは?

意思を持って発信するインフルエンサーを指す「シンフルエンサー」という新たなカテゴリが誕生。エシカルやサスティナブル、ジェンダーなど「私はこう思う」という意見を表明することで共感をえるインフルエンサーが増えてきたため、従来のファッション性重視のインフルエンサーとは区別する意味で生まれた新語なのかなと思います。
おそらくこの流れはさらに大きくなっていくはずで、そうするとインスタのようなヴィジュアル勝負のSNSだけではなく、音声や動画、テキストを通して「語る」ことが不可欠になっていきそう。
芸能人も、最近支持を集めているのは環境や政治に対して意見を表明する人たちになりつつあるので、キャラクターを際立たせる上で「意思を持つ」ことの重要性はますます高まっていきそうです。

Farfetchはなぜ「アクセラレーター」を目指すのか?

Farfetchがアクセラレーションプログラムを運営していたとは知らなかった…!新たなファッションテック企業を発見し、ブートキャンプイベントなどを通じて育成することで彼らもいち早くサービスに取り入れていくのが狙いのよう。
また、YNAPやAmazonがコンテスト形式のドキュメンタリー番組を通じて新たなブランドの発掘と販売をはじめたように、ブランドのアクセラレーションも今後増えていきそう。
モールやECプラットフォームはある程度参加ブランドが出揃ってくると差別化が難しくなるため、いかにブランドを育てる力を持つか、「メディア」としての存在感を高めるかが今後の鍵になっていきそうです。

Amazonが初のスーパーマーケットをオープン

「Amazon GO」のスーパーマーケットバージョンがオープン。Amazon GOと同じく、アプリを立ち上げて入店すると自動でAmazonアカウントと買い物が紐付けられ、決済なしで買い物ができる流れ。コンビニ的なお店よりもスーパーの方が行列への不満が大きいはずなので、これは期待大。しかも個人ではなく家族で認識できるところがすごい。
一方でコンビニよりも商品点数が多くなるため、より高いレベルのテクノロジーが求められる店舗でもあります。
ゆくゆくは顔認識でAmazonアカウントと紐付けられるのだろうなとおもいつつ、アメリカではキャッシュレスオンリーの店舗が規制されはじめたりもしているので、テクノロジー以上にロビイングが重要になりこうな施策です。

レンタルプラットフォーム・Armariumがサービス終了へ

ラグジュアリーブランドに特化したレンタルプラットフォーム「Armarium」がサービス終了へ。顧客からの需要は大きく、売上も立っていたものの、EC以上にコストがかかるレンタルサービスにおいて、資金が尽きて投資も受けられなくなってしまったもよう。「顧客に仕組みが追いつけていない」という創業者の話には納得感があります。
レンタルの顧客ニーズは高いものの、問題は送料、クリーニング代、倉庫代がEC以上にかかってくるにもかかわらず、顧客からは「普通に買うよりどのくらい安く使えるか」というシビアな目で見られるということ。さらに借りられるアイテムには偏りが出てくるはずなので消耗スピードや不採算アイテムの補填などを考えると利益が圧迫されてしまうという点があります。
このあたりはレンタル市場を支える新たなプレイヤーが出てくれば話は変わってくると思いますが、まだエコシステムができあがっていない中で採算をとるのが難しかったというのが実情なのかなと。
D2Cバブルが終焉に向かいつつある今、こうした大型投資を必要とする事業者の調達も難しくなり、サービス終了に追い込まれるところが増えてくるかもしれません。

Rent the Runwayが新たなレンタルプランを開始

Rent the Runwayが「毎月1回交換プラン」と「借り放題」プランの間の「毎月2回交換」プランをローンチ。ユーザーヒアリングの結果、1回交換プランの顧客のアンリミテッドプランへの関心が低く、それよりも回数を2回に増やしつつ、借りられるアイテムの種類をアンリミテッドの同じレベルに引き上げるプランの方が需要が大きかったから、とのこと。
たしかに、ほとんどの人は毎月一回クローゼットをリフレッシュできれば十分で、アンリミテッドは相当なファッションフリークだけなのかも。
また、最後に今のRTRの施策がまとめてあったので翻訳しておきます。

・レンタルアイテムをスキーウェアやインテリアにまで拡張
・W HOTELと提携し、客室のクローゼットにアイテムを届けるプランをローンチ
・当日配送サービスを開始
・50箇所以上の店舗と提携し、家の近くで商品の受け取りを可能に

レンタルは受け取りや返送に手間がかかるため、こうしたチャネルの開拓が必要不可欠なのかなと思います。

D2Cブランドの「失敗の本質」

D2Cブランドの代表6人が語る「失敗から学んだこと」をまとめた記事。大半の失敗は他のスタートアップでも同じことが言えそうですが、「需要の増加によって生産量を増やしたら在庫量が過剰になってキャッシュフローが死にかけた」という話はD2Cならではなので知っておくべきポイントな気がします。
特にリアルビジネスの経験がなく、PLベースで考えるクセが強い人は在庫という資産でありながらもすぐに現金化できない「流動資産」の感覚がないことが多いので、同じような罠にハマる可能性があるように思います。
また、「ゆっくり大きくなるべき」「大手であれば取引先として信頼できるわけではない」なども納得感のある教え。
こうして初期の失敗談とそこから学んだことが世に出てくること自体が、新しい小売のあり方も徐々に成熟に向かいつつある証拠のように思います。

未来の店舗はモノではなく「感情」を売る

体験デザインファームのYourStudio創業者が語る実店舗の未来。主なトピックは「小売が売るべきものはモノではなく感情」「店舗は小型化する」の2つで、特に2つめの小型化は今後百貨店やディベロッパーが直面する課題になっていきそう。とはいえ、東京をはじめとするメガロシティは地価の関係から建物を上に伸ばさざるをえないので、横の広がりによっておきるランドスケープをいかに縦で表現するかの問題になってくるのかなあと。
そういう意味では、建物単体で人を閉じ込める時代は終わり、それぞれの建物をつなぐ歩行デッキを作った上で、その歩道は格安で出店者を集め、まちの偶発性をデザインしていく必要があるのかも。
このへんは建築デザインやまちづくり界隈の人と議論してみたいところ。
Targetが小型店舗を増やす意向を発表。Nordstrom Localの動きもそうですが、百貨店や大型スーパーが次々と小型化へと舵を切り始めています。昔は品揃えの多さこそが強みであり、そのためには店舗の大型化が必須でしたが、今ではインターネットという土地代のかからない無限の「場」があります。
日本以上に国土の広いアメリカではオンラインで買って店舗で受け取る仕組みがすでに普及しているため、受け取りのタイミングまでに在庫を店舗に届ければよく、店舗在庫の圧縮につながっているのではないかと思います。
もちろんすべての店舗が小型化するわけではなく、非日常体験を売りにする店舗はむしろ従来の店舗以上の広さが必要になる場合もあり、目的にあわせて小型化と大型化の二極化が進むのではないかと思います。

店舗の小型化とまちづくり

AmazonのスーパーとTargetの小型店舗を増やすニュース、また「これから小型店舗が主流になっていく」というオピニオンを読んで、今後の実店舗について考えたこと。

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