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ベイスターズのフリーペーパーがすごい!という話をしてもいいですか

先日NewsPicksアカデミアで横浜ベイスターズの岡村社長をお招きして、スポーツビジネスや地域コミュニティについてのお話を伺いました。

その際にどうしてもこれを持ってきていただけませんか!とお願いしたのが、今年からベイスターズが発行しているフリーペーパー『BLUE PRINT』。

イベントの数日前に横浜スタジアムで野球観戦した際、球場でこれを見つけて友人と大興奮し、このユーザー体験については一筆書かねばならん!という使命感のもと筆をとった次第です。

このフリーペーパー、何がすごいかというと私が野球初心者の友人と一緒に観戦する際にほしい情報がぎゅっと詰まっているのです!

まず地味にありがたいのが、選手一覧ページ。

私は野球観戦の際にはなるべく選手名鑑を持って行って、選手個人に興味を持ってもらうようにしています。

特に野球の場合はバッターが1人1人紹介されるので、『あれが筒香だよ』『あれは今年阪神から移籍してきた大和』など説明し、その役割やストーリーを伝えることで『応援したい』という気持ちを持ってもらいやすいのではないかと思うからです。

とはいえ名鑑って基本的に12球団分情報が入っているので選手が探しづらかったり、うっかり忘れてしまうことも…。

ベイスターズの選手だけでも一枚で確認できるのはめちゃくちゃ利便性が高いです。

あと、よく見ると選手名鑑とは違ってデータは最小限に抑え、『遠征先に必ず持っていくものは?』『好きな女性のタイプは?』といった一般的な質問を増やしているのもさすがです。

野球初心者の人にとって、名鑑によくある『ストレートとフォークを投げ分ける本格化左腕』みたいな表現ってピンとこないし、昨年の成績が数字でバーっと並んでいても興味が持てないんですよね。

それよりもパーソナルな情報の方が話題にしやすいし、同じものが好きだからという理由で応援するきっかけになることもあるはず。

選手を好きになるきっかけって、本当にそういうささいなことなんですよね。

あと、質問が人によって違うのもユニークなポイント。

おそらくですが、20個くらい用意した中で面白かった回答を厳選してピックしているんじゃないかなあと思います。

『ヤマヤス、腕立てふせ30回しかできないんだ笑』とか、すでに2万人くらいの人がこれを見て話題にしてるんじゃないだろうか…!

次に感動したのが、球場メシの一覧ページ!

そもそもこんなにオリジナルメニューがあることがすごいですが、『球場三飯』という漫画もあるように各球場それぞれに名物はあります。

とはいえ、はじめて来た人にとっては何が名物なのかわかりづらいですし、とりあえず近いところでご飯を買ったら後からおいしそうなお店を見つけて後悔した…という経験がある人も少なくないはず。

そして球場で『何食べる?』と迷いだすと、中を一周するしかないので試合が見られなくなってしまうという…!

とりあえず席に座ってからこのページを広げて『何買いに行こうか!』と相談する方が100倍楽しい観戦体験になるはずです。

ちなみに先日観戦した際、こんなにたくさんオリジナルメニューがあることに感動していろいろ食べてみたのですが、お世辞抜きでクオリティが高い!個人的にはフルーツドッグが超おすすめです。

私はわりと野球自体を楽しめる人種ですが、食のクオリティが高いとそれだけでテンションが上がり、試合結果に関わらず『楽しかった〜!』となると実感したのでおいしいものとそれを探すわくわく感は、エンターテイメントにおいて重要なんだなと思った次第です。

ディズニーランドも『ここに来たらこれを食べなきゃ』というメニューがいくつかありますが、食べ物としておいしいだけではなく、舞台装置とメニューがリンクして特別感を得られることが必要なのかなと。

『ここに来たらこれ』という定番化は、あらゆる業種で真似できそうなポイントです。

個人的には、ディズニーの食べ歩き向けのメニュー開発と球場メシは相性がいいと思っているので、そのうちチュロスが開発されるのではないかと睨んでいます。

断面が星型のチュロスとかね!ラムネ味でブルーにしたりしてね!かわいい!
あと星型のアイスキャンディーとかもいいと思います!

とはいえ、食べたいものが見つかっても広いスタジアムで売店を探すのは至難の技。

そんな悩みを解決すべく、メニューの隣にはなんと球場地図が!神か!

右側のメニューを見て『これが食べたい!』と思ったら、そこに振ってある番号を地図の中から探し出せばOKという親切仕様。
もう全球団これやってくれ…

逆に、自分の座席の近くに何があるかをチェックすることもできます。メニューから行きたいお店を探してもよし、手近なお店をチェックした上で食べたいものを絞り込むもよし、というかゆいところに手が届くこの感じ…!

グッズ売場まで明記してあるのが地味にありがたい。

こうした情報をWebサイトでは公開している球団もあるのかもしれませんが、やはり紙のインパクトは絶大です。

特にBLUE PRINTはタブロイドサイズなので地図などの細かい情報も一覧で見やすいですし、一緒にきた友人とも同じ紙面を見てあれこれ計画を立てやすい。

デジタル化の時代になっても、テーマパークでは紙のマップが重宝されるのと同じことだと思います。

ちなみに冒頭には選手のインタビューが掲載されていたり、ベイスターズのイベントやキャンペーンなどの情報も。

(個人的にはこれ↓とかめちゃくちゃ気になりました…!)

単にマップを作るだけではなく、読むコンテンツを作って2ヶ月に1回更新することで、試合中に手持ち無沙汰になってしまった時の暇つぶしにもなりますし、その場で捨てずに持って帰りたいというインセンティブにもなります。

持って帰ればそれを見た家族や友人がまた興味を持ってくれる可能性も高まるので、あえてその場で読みきれないコンテンツを載せることにも意味があるのかなと。(どこまで意図してコンテンツ設計されているかはわかりませんが)

つらつらと思いつくままにBLUE PRINTのすごさについて語りましたが、これはあらゆるスポーツ観戦において応用できることだと思うので、サッカーやバスケでもぜひこうした初心者向けのコンテンツを充実させていただきたいところ。

『初心者向け』というと基本ルールの解説など、お勉強っぽさのあるコンテンツを考えてしまいがちですが、まずは球団側が『楽しませる』ことが大事なんですよね。楽しければ人は自分で勝手に学んでいくので。

ルールや歴史などのかたい情報よりは、BLUE PRINTのように選手へのパーソナルな質問や飲食にフォーカスしたり、応援方法の解説などの方が初心者が楽しめるコンテンツになるはず。

スポーツというエンターテイメントを楽しむための公式ガイドの作り方について改めて勉強になった体験でした。

ちなみにベイスターズイベントはNewsPicksアカデミアでアーカイブ動画も配信予定なので、ぜひそちらもチェックしてみてください〜!

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