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今週読んだ海外記事と雑感(2019.12.21)

 今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。

有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。

ラグジュアリーブランドはD2C時代に適応できるか?

D2Cブランドはもともと中間マージンを抜くことでいいものを安く販売することが価値の中心とされてきましたが、この1、2年でものづくりへの考え方や売り方を大きく変え、その影響はラグジュアリーブランドにまで及んでいます。
特に印象的だったのは「私たちにとってラグジュアリーとは時間の概念めある」という話。単に長く続けばラグジュアリーになるわけではなく、旧来のシーズンに縛られず納得いくものができるまでとことん時間をかけることがラグジュアリーにつながるという話はこれからのブランディングでますます必要になっていきそう。
また実際にLVMHがD2Cとコラボしたり新たなブランドの立ち上げを支援したりとラグジュアリーブランドもD2Cのエッセンスを取り入れようとする施策が増えてきました。
記事にもあるとおり、顧客と直接関係を結ぶことがこれからのブランドに必要不可欠になりつつあることを改めて感じます。

Netflixは広告モデルを採用するか?

今のところコマーシャルをいれない方針を貫いているNetflixですが、世界中の若者を囲うプラットフォームとしてあらゆるブランドから広告配信のニーズがある中、いつか広告を解禁する日がくるのか?というてテーマの考察。Netflix側は「広告配信以外のやり方を模索している」と話していますが、彼らの成長要因として徹底したユーザーの利便性がある以上、旧来型のCMをいれづらい事情はたしかにありそう。
むしろこれだけオリジナル作品の人気が高まっているのであれば、IPを含めたコラボレーション型の方がフィットしそうな気もします。
たとえば既存商品をコンテンツ内に登場させることで広告費を稼ぐのではなく、登場人物が普段使いしていそうなアイテムを共同開発して販売するという形であれば作品のクオリティに広告の論理が介入しないので彼らのポリシーとも合うのかなと。
それとは別に、今後ブランドが自主製作でドラマを作りNetflixに配信することで新たなファンを獲得するというやり方も盛り上がりそうな気がしています。

Selfridges復活の鍵

イギリスの百貨店・Selfridgesも体験型店舗に振り切り、レストランやエクササイズスペースを作り、コミュニティ形成に注力。さらにバッグや靴を含めたアクセサリー類にフォーカスし、見た目にかわいいアイテムを中心に集めた売り場を作っているのも面白いポイント。
これはおそらく彼らが「人と過ごすこと」を念頭に置いているからで、洋服は試着しないと感想がシェアしづらいものの雑貨類であれば見ただけで感想が伝えやすいので、美術館のように家族や友人と訪れた時も会話の種になりやすい、というのがポイントなのだと思います。
ただ流行りのブランドをいれるだけではなく、いかに体験全体をデザインするかが徹底されており、その工夫が業績にも如実に表れている点にこれからの店舗が目指すべき方向性を感じます。

ブランドがとるべきギフティングの新しいかたちとは

加熱するインフルエンサーへのギフティングについて、過剰包装や未開封のまま使わない商品などサスティナビリティの視点から問題提起がはじまっているもよう。昔は商品の送り先といえば雑誌の編集者くらいだったのが、今やインスタグラマーやWebメディアの編集者など無限に増え続け毎回1000人近くに送っているブランドもあるとか。
解決策として包装の簡易化や間に入るマーケティング企業がインフルエンサーごとにギフティングの要・不要をデータ化して無駄をださないなどの取り組みが始まっているものの、結局はプレゼントして投稿してもらうだけではなく、プレゼントをきっかけにブランドアンバサダーとしてファンコミュニティの一員になってもらえるアプローチをとることが本質なのではないか、という気もします。

Birdy Greyがインスタで成功した理由

インスタ広告によって成長したD2Cブランドの成功譚ですが、今はブランドが増えたこともあり広告価格が高騰。これまでインスタ広告で売り上げを増やしてきたブランドもインフルエンサーとの関係構築と口コミの創出など広告に頼らない集客モデルに舵を切りつつある、という話はここで紹介されているBirdy Grey以外にも増えてきています。
これはInstagramに限った話ではなく、新しいプラットフォームの初期は利益を享受しやすいものの、あとになるほどコストが嵩むものであり、今リアル店舗に注目が集まっている状態も、体験型店舗がある程度広がってから参入しようとすると利益を享受しづらくなるのだろうなと思います。

コンデナストの美容に特化したスタジオが業績を伸ばす理由

コンデナストは数年前からコンテンツ制作によって蓄積されたノウハウをブランドの広告作成に応用したスタジオを運営していますが、さらに昨年美容に特化したコンテンツスタジオを作成。この1年で140%成長したとか。今後さらにD2Cでもラグジュアリーブランドが増えていくと考えられるので、インスタ投稿用の素材を撮影するニーズも伸びていきそう。
日本の出版社も今後こうしたコンテンツ作成ニーズに対応していく必要があるのだろうなと思います。

Facebookがライブコマース企業「Packagd」を買収

Facebookがライブコマース企業「Packagd」を買収し、FB上でのコマース活性化に今後力を入れていくもよう。Instagramも2020年はショッピングに力を入れていくと明言しており、グループ全体として消費行動に注力していくかまえであることがわかります。
またライブ配信とコマースを紐づける機能をもつ会社を買収したということは、FBというよりもインスタライブに購入機能がつく日もそう遠くないのかも。
TikTokを含め、来年はソーシャルコマース元年になっていきそうです。

キャッシュレスストアの新たな波

Amazon GOに続き、無人型店舗がまた盛り上がりをみせているもよう。Amazon GOや中国の無人スーパーはテクノロジーの取り入れ方が急激すぎてひずみもありましたが、ちょうど今滞在しているイギリスでもスーパーはほとんどが無人レジと有人レジの併用で、ほとんどの人が無人レジを利用。しかもバーコードを通す前の商品と通したあとの商品をそれぞれ所定の場所に置かせるとで万引き防止の仕組みも取り入れられており、無人レジが増えていく中で最終的に無人店舗になる可能性は高いのではないかと思います。
課題とされる商品補充も、自動運転が解禁され小型ロボットが在庫データをみながら各店舗に自動補充、ホットスナック類は事前にオンラインオーダーして最寄りコンビニで受け取るなどもゆくゆくは実現するのではないかなと。
キオスク的な店であれば、すでに無人店舗でもいいような気もします。
またもうひとつの無人店舗のあり方として、オンラインでオーダーしたものを受け取る専用のお店も今後可能性があるのではないかと思います。

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今回はたまたまHarrdsとSelfridgeとイギリスの百貨店の記事を立て続けに読んだのと、エディンバラの国立博物館で服飾史とデパートのあゆみについて学んだので海外百貨店の動向について改めてまとめてみたいと思います。

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