大企業の挑戦が難しい理由
ローソンのPBデザインについて、いまだにSNSで賛否両論が飛び交っています。
先月PBについてこんな記事を書いたところ思いがけず多くの方に読んでいただき、私の記事に対しても様々な感想をいただきました。
なかでも多かった反応は、やはりその視認性の悪さへの言及でした。
大企業の「挑戦」は顧客の不便を生む
私自身はそこまで見づらさを感じていなかったのですが、これだけの人が見づらさを訴えるということは、その背景にどんな意図があったとしても多少のデザイン変更は避けられないのではないかと個人的には思っています。
たとえ数年後を見据えたリニューアルであったとしても、目の前の顧客の利便性を奪っていいことにはならないからです。
そしてこの「既存顧客への提供価値」こそが、大企業からイノベーションが起きない理由でもあるのだと気付きました。
特にコンビニはもはやインフラといっても過言ではなく、一度もコンビニに立ち寄らない日はないほど私たちの生活に深く根をおろしています。
つまりコンビニにおける施策は影響範囲も広く、顧客に慣れてもらうためのコストも大きいということ。
大幅な方針転換やリニューアルは一時的にせよ顧客への提供価値を毀損する可能性も秘めています。
だからこそ大企業になり影響範囲が大きくなるほど、「改善」はできても「革新」は生まれづらいのです。
これは構造の問題なので、顧客に非があるわけではありません。
ただ、大企業からイノベーションが生まれない理由は必ずしも怠慢や能力の欠如ではなく、既存消費者への価値提供の責任が理由であることも多いのだと思います。
もちろん今回のローソンのリニューアルのように影響範囲の大きな施策は、事前に実験店舗で試すなど小さく試すのがセオリーです。
もしくは一気に変えずに、一部の商品だけ変更して徐々に広げていく手法もあったはず。
実際にコンビニのPBは後者のかたちをとって徐々に店内のPB比率をあげていますし、ローソンのリニューアルも事前にナチュラルローソンで得られた結果をもとにしているだろうと予想されます。
であるにも関わらず、あえて一気に変更した裏側には、何か意図があるはずだと考えて書いたのが前述のnoteです。
小さく試す手法では成し遂げられない目的があったからこそ、批判を承知で変更に踏み切ったのだと思います。
しかし今回のリニューアルへの反応を見ていると、大企業がリスクをとって何かを大きく変えることは顧客への提供価値の毀損が大きいことを感じます。
私自身はほぼTwitterしか見ていないので、他のSNSを含めた全体の世論として賛否どちらが多いかは判断できませんが、Twitterだけでもこれだけ批判の声がでているということは、同じように不便を感じている人は相当数いるはずです。
何かを変えるためには、何を捨てるかを決める必要があります。
何も捨てずに変えたものは既存の延長線上にある「改善」でしかなく、大きな変化にはつながりません。
また小規模に試しているだけでは「実験」の域を出ないため、こちらも変化を起こすことはできません。
しかし何かを捨てるということは、少なからず顧客に何らかの不便を強いることでもあります。
大企業であればあるほど顧客数も増えるため、不便の総量も大きくなってしまいます。
大きく変えなければならない。
しかし大きく変えれば、多くの既存顧客に不便を強いることになる。
大企業でイノベーションを起こすためには、常にこのジレンマがつきまとうのです。
大企業のみならず、政治の世界や業界に対しても動きが遅いという声があがることはよくあります。
しかし影響範囲が大きくなればなるほど急進的に何かを変えることで不利益を被る人も増えるため、議論や調整に時間がかかってしまうもの。
むしろリーダーとしてこのジレンマをどう乗り越えようとしたのか、その決断のプロセスに私はとても興味があります。
ということで、ローソンの社長に直接聞いてきます!
前回のnoteを書いたことがきっかけで、ハフポストの生配信番組「ハフライブ」にてローソンの竹増社長に直接質問する機会をいただきました。
※ハフポストのTwitterで配信される予定です
当日はローソンのPBデザインリニューアルの経緯を伺いつつ、ローソンが見据える未来について私の仮説もぶつけながらお話を伺っていきたいと思っています。
さらに以前の私のnoteへの反響も大きかったことから、今回配信前に「#ローソンPBに思う」のハッシュタグでみなさんから意見をいただき、番組内で紹介させていただこうと思っています。
質問などもぜひ上記のハッシュタグで投稿していただければと思います。
Twitterに書ききれない分は、ぜひ私のようにnoteに書いていただけたら。
私自身はコンビニの専門家でもデザインの専門家でもありませんが、これまで小売について経験し考察してきた経験から書いたnoteがきっかけとなってこうした機会をいただけたので、同じようにnoteが新しい視点を発見するきっかけになるといいなと思っています。
それでは、6/9(火)21時にTwitterで会いましょう!
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