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今週読んだ海外記事と雑感(2019.10.11)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。

有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。

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Barneys New York 破産後の行方

8月に破産申請したバーニーズの買収先として最有力候補と言われているのがストリートウェアブランドKithのSam Ben Avraham。Liberty Fairsなどのトレードショーなどを手がけてきた人物でもあります。
彼は自分でお店を持った80年代当時からNYの小売体験を変えたいと思っていたそうで、バーニーズの買収は「満を持して」と言ったところでしょう。買収価格は2億2千万ドルあたりに着地しそうとのことです。
それにしても、由緒正しい百貨店の運営元がストリートウェアを軸にした企業に変わるとはなんとも隔世の感があります。

ライフスタイルメディアFood52がEC売上3000万ドルを達成

 ライフスタイルメディアのFood52、売上構成のうちECが75%というのはなかなかすごい数字。全体の売上がすでに3000万ドルを突破、今年中に4000万ドルに到達する見込みなのでざっくり3000万ドルほどをEC売上で立てる計算に。
さらに粗利率をよくするためにオリジナルプロダクトも作るなど、理想的な成長を遂げています。
実際にサイトを見てみると、広告バナーやスポンサード記事もほとんど見当たらず(自社プロダクトバナーは随所に表示している)、世界観を保ったままファンを増やしていることがわかります。
今後はメディアが世界観を保ちながらマネタイズするための手法として、セレクトで売上規模を確保しつつ自社プロダクトを作って利益幅を大きくする、というやり方が増えていきそう。

マーチャンダイジングの新たなルール

D2Cの台頭によって、「作って売る」の仕組みも変化していることを感じさせる論考。これまでは先にデザインがあって「それをどう売るか」を考えるのが主流でしたが、マーチャンダイジングとデザインチームを一緒に走らせることで、作りながら価格や売り方を考えていくというスピード感が現代的。
またデータの使い方も、単に「今ショルダーバッグが売れているから作ろう」ではなく、「そのニーズの裏には外出中もスマホを触りやすくしたいというニーズがある」と一段深めて考えることで、単に売れるものを作るのではなく、自分たちらしいクリエイティビティを発揮できるという話も面白い。Everkaneがヒットを連発しているのも、まさにここにあるのだろうなと思います。

「絞る」で勝負する会員制ネットスーパー「Move」

会員制高級スーパー「Move」が来年の正式ローンチに向けてKickstartaerでプレ会員を募集開始。年会費約$100と決して安くはない金額ですが、1カテゴリ1商品という絞り込みと直接販売だからこその手頃な値段ですでに20万ドルを集めているもよう。
また中長期でみたスーパーの今後として
①生鮮をメインに扱う従来型スーパー(コミュニティ機能ももつ)
②レコメンデーションなどのサービスを付加したオンラインストア
③主食を定期的に配送するサブスク
の3つが提示されていましたが、生鮮や惣菜などは賞味期限が短いので①の業態は残り続ける一方、輸入スーパーやちょっとこだわりのある食料品店は②に、水やお米などは③にリプレイスされていくのかもしれないなという気はたしかにします。
ただ食品は単価が安い分配送料を割高に感じやすい部分もあるので、オンラインで注文して店舗で受け取るBOPIS形式ができる店舗と組んだらより利用者が増えそうな気も。

H&Mのアウトレットプラットフォーム「Afound」の拡大戦略

H&Mが立ち上げたアウトレットプラットフォーム「Afound」は当面オンラインをベースに拡大していくもよう。Afoundでは自社以外のブランドの商品も扱っているので、これまでの流通チャネルとは別のチャネルを構築する必要があることを考えると、積極的に店舗を増やすよりはまずオンライン中心で販売していくという戦略は理にかなっているように思います。一方で、既存店舗とのシナジーという意味では受け取りや返品をH&MやCOSの店舗でできるようにしていくのかなと個人的には予想しています。

Bloomingdale'sがレンタルサービスを開始

Bloomingdale'sが大手百貨店の中ではじめて自前のレンタルサービス「MyList」を開始。Bloomingdale'sは店内にポップアップ専用のスペース「カルーセル」を作るなど、新しい小売のあり方に積極的にチャレンジしている印象です。
アメリカの場合はRTRがかなりこの市場を抑えていると思いますが、洋服だけではなくインテリアや食など、百貨店ならではの品揃えの強みでどこまでRTRを追い上げられるかがポイントになっていきそう。

D2Cブランドのチャットボット活用術

AI技術の進化によって、D2Cブランドを中心にチャットボットブームが再燃。CX最大化のためのテクノロジー投資もまた、D2Cのひとつの条件と言えるのかもしれません。また、以前のブームではFacebookメッセンジャーを中心に広がっていたものの、今回はサイト内に埋め込めるものが流行している様子。これによって顧客はちょっと聞きたいことがあるときにブランドのHPを訪れるようになり、ついで買いも誘発するという流れができているようです。
これは実店舗でも同じことがいえて、「ちょっと相談したい」というよろず屋的な位置を抑えておくことで他の商品の購買にもつながるという流れがオンラインに置き換わったということなのかなと思います。
また、記事で紹介されているBrooklinenは具体的な売上規模まではわからないものの西海岸と東海岸あわせてCSの人数が17人というのはかなり少ない印象。チャットボットによってコミュニケーションの生産性も上がり、少ない人数で本当の意味できめ細やかなコミュニケーションがとれるようになっていくことを体現しているブランドだなと思います。

PBが大きく売上を伸ばしている理由

アメリカでは2015年には2.2%だったPBの成長率が2018年には 5.8%まで上がり、PB領域の成長性の高さを改めて感じます。日本の場合はコンビニやドラッグストアがこの領域を牽引しているため、もしかするとさらに高い成長率になっているかもしれません。
消費財メーカーもこの流れに対抗してD2Cブランドを次々と買収していますが、これからは顧客と直接つながる「コミュニケーションチャネル」と「商品流通チャネル」の2つを持っていなければ行き抜けない時代と言えそうです。
また、前回のリーマンショックが起きる前にもPBの盛り上がりがあったとのことで、今回も不況の一歩手前予兆か?とも言われているようです。

"ホワイトスニーカー"の大きな勝機

アメリカで盛り上がるシンプルな白スニーカーのD2Cブランドの台頭の背景に、「仕事着」「作業着」「おでかけ着」の3つがスポーティーというカテゴリに集約されはじめているからという話が面白い。スポーツブランドもスニーカーには注力していますが、価格優位性とデジタルネイティブブランドならではのコミュニティ育成によって年商20億規模まで一気に成長しているところにD2C時代の勢いを感じます。

TikTokを若者へのアプローチに活用するには?

マーケティングにTikTokを使うブランドが増えてきていますが、CPMを計算するとすでにInstagramより高くつくこともあり、いかに「正しいインフルエンサー」を見つけ出せるかがポイントになっていきそう。個人的にTikTokを見ていての所感としては、before/afterのインパクトが大きいものの反応がよさそうに感じるので、コスメをはじめ美容師さんやトレーナーさんなどとの相性が良さそうだなと思っています。

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今週ピックアップしたニュースを改めてざっと眺めていると、『ブランドづくり』のセオリーが変わり始めていることを感じます。

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