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日記

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2024年6月の記事一覧

クズ

猛烈な雨音で目を覚ました。そのおかげで、余裕を持って準備ができた。
恋人とすこしだけ電話した。彼に近況を訊かれ、上がったり下がったりの気分だと答えると、同じ、と笑われた。

学生寮の玄関で同級生と会ったので、大学まで一緒に歩いた。彼女の恋人の話になったとき、彼女は溺愛されているが穏やかな関係性の彼を、彼氏じゃなくて夫みたいだと笑って言った。
私も彼女も人に自慢できる恋愛はしてこなかったのだが、クズ

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安直

思いがけず11時まで寝てしまった。
朝ごはんに、友達からもらったラーメン1束を茹でて食べた。適当に作ったため味が薄くなったが、その子には美味しかったとだけ伝えた。

12時過ぎにようやく準備ができた。ずっと待っていてくれた学生寮の3人の友達と一緒に、淀の京都競馬場へ向かった。宝塚記念を観に行くのである。

私はまったくの素人で、今日が初競馬だった。私のほかには、競馬ガチ勢1人と、その子に勧められて

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アコギ

恋人との電話は10時前の予定だったのだが、彼は9時半にかけてきた。まだ頭が冴えていなかったので言葉を交わす気力が起きず、淡々と返事してしまったのを後から申し訳なく思った。

大学へ向かって自転車で走っているときはいつも、もし交通事故に巻き込まれたら、と想像する。イヤフォンをつけてながら運転中とか道路横断中とか逆走中とか、交通ルールに違反して事故って死ぬのは親に面目が立たないから嫌だ。どうせ死ぬなら

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単細胞

アラームで起きたが、届いていたメールを確認するとその情報量に滅入ったのでまた寝た。
目を覚ましたのは1時間後だったため、案の定2限の講義に遅刻した。どういうわけか木曜日の朝はたいていこうなる。

今日も日が照っていた。梅雨はいつ来るのか。

コンビニで衝動的に買った冷し梅おろしうどんをお昼ご飯にした。食べもので夏を意識する。

3限のあとにトイレに行き行列に並んだ。その間、あらゆる系統のきれいな人

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ラビリンス

真夏日だった今日は、透け素材の紺色ワンピースを外着に選んだ。寮の共用洗面所で会った隣人が、いつものゆったりとした様子で、すてき、と褒めてくれた。

少し恋人と電話した後、昼に家を出た。叡電に乗って目指したのは京都精華大学である。ゼミ用に使いたい文献を調べると、京都では精華大の図書館にしかなかったのだ。

ひりひりした日差しを肌で感じられる暑さだった。移動中はずっと、夏の曲だけをあつめたプレイリスト

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難儀

暑い日だった。
窓の外にみえる木漏れ日がきれいで、小学生の頃にしょっちゅう通っていた祖父母の家を懐古的に思い出した。

大学に行く準備をするあいだ、海外にいる恋人と電話をした。40度のお酒の小瓶2つ分を、現地の友人とストレートで飲んだと彼は言っていた。人間はそんな所業ができるものなのかと思った。
ふだん極めて温厚な彼は、酔いと心身の疲労で相対的に口が悪くなっていた。沢山のやらなければならないことに

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ラジオ

夜中3時半に寝たため、ひしひしと睡眠不足を感じるだるい朝を迎えた。絶妙に時間がなかったのでフェイスパウダーだけを顔にのせ、眼鏡をかけて家を出た。

2限の講義をいつもよりも熱心に聴いた。返却されたテストの評価がB+だったので満足した。

お昼休みに学内ラジオ放送が流れ出した。関西人の「しばく」という言葉にあたるものは関東にはないという私見や、お米の早炊きによる15分短縮の是非を学生たちが議論してい

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ブロンド

今朝、恋人と電話をした。このところほぼ毎日彼の声を聞いている。彼は私の写真を何枚もトークに送っては茶化した。変な瞬間に撮られた自分の顔ばかり見るのは居心地が悪かったが、そこまで彼が私を気にしてくれていることが嬉しかった。このひとは間違いなく私に興味があるんだな、と実感できるのはとても幸せだと思う。

昨日に引き続きチャーハンを作って食べた。気温を調べてから古着の長袖シャツを着て、リングを4つもつけ

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性欲

朝の10時過ぎから1時間くらい恋人と電話をした。はやくご飯を食べたかった私は話がひと段落する度に、電話切る?とそれとなく言った。すると、試されてる?と彼が笑ったので、声を張って否定した。恋人を試すような面倒な奴には断じてなりたくない。

電話を終えてベッドから跳ね上がり、そそくさとご飯の準備をした。冷蔵庫に保存しておいたお米を1合以上使って納豆チャーハンを作った。分量を計らなかったりだしを忘れたり

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少し早めに起きて恋人と電話した。彼におすすめされた、ミヤケ武器の「黒電話」というシティポップ系の曲を聴いた。よかった、とだけ伝えると、ほんとは?と訊かれて言葉に詰まった。メロディは良いけど、私は曲を歌詞で聴く派だから…と濁すと、あーそうだとは思ってたんだよね、と被せ気味に返された。彼はギターをはじめとする音がかなり気に入ったらしい。私とは逆で、メロディで曲を好きになるタイプである。
私は、自分が主

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漫然

恋人に朝電話しようと言われていたのに、二度寝して10時前に起きた。かっこいい人と浮気をする夢から抜け出すのに時間がかかったのだ。最近はよく浮気の夢をみる。ごめん、と彼にラインをしてから、メイクもせずに急いで家を出て大学へ向かった。2限には5分遅れで着いた。

お昼休みに自販機で130円のお茶を買うと、財布残高は3円になった。おかねの管理はむずかしい。5限までこのままやり過ごせるかと思ったが、10分

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7時半に起きた。しかもアラームが鳴る前である。すごい。それから2時間かけてゆっくりと外出準備をした。

クローゼットの中で一番気に入っているワンピースを着ていった。いや、本当は三番目くらい。膝丈にもかかわらず、脚に日焼け止めを塗り忘れた。
バスを1本乗り過ごして焦ったが、乗り換えのJRの電車が遅れていたので間に合った。

今日の目的地は、大阪駅と直結している大阪ステーションシティシネマである。京都

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バター

熟睡していたが、住んでいる寮で鳴った連絡用アナウンスのおかげで9時半に目を覚ました。メイクをしなければ、2限の講義に十分間に合う。

パターン化している朝夕の挨拶を送ってしまったあとで、定型文しか送れなくてごめん!と恋人にラインした。すると彼は電話をかけてきて、気にしなくていいよ、と笑ってくれた。
時間はぎりぎりだった。5分の通話を終えてから私は開き直り、ゆっくりとメイクをした。そのせいで2限のド

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ストロング

朝、電話をした恋人の声は元気がなさそうに聞こえた。彼に励ましてほしいと言われたので、「大丈夫だよ」と言い、それが仰々しく響くのが恥ずかしくて「たぶん」と付け足した。そしてすぐに、これは彼を不安にさせてしまう余計な一言だったなと後悔した。

2限の講義が終わり、自転車で走っていると一台のループに追い越された。その運転者が片手にミスドの箱を持っているのを見て、思わず笑みがこぼれた。ミスドはなんとなく幸

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