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「新氷河期世代へ旧氷河期世代が伝えるサバイブ術ーその1ー」

「新氷河期世代にむけて旧氷河期世代が伝えたいこと」

就職難時代が再来しようとしている。こんな時代だからこそ、いま就職活動をしている20代のあなた達に伝えたいことがある。これから起こる新卒採用市場の激変で君たちは疲弊し、罵倒され、自身の尊厳を深く深く傷つけられることになる。去年までの売り手市場は一変し君たちは採用担当者に値踏みされ買い叩かれる。採用されたあとも理不尽は続く。孤独と重圧の中ですりつぶされて使い捨てられる。そんな未来がもうそこまで来ている。

これは脅しではない。僕ら氷河期世代は20年以上もの間、そういった日本企業の闇を見て生きてきたのだ。この20年間の間、その日本企業の足元で心と体をすり減らしながらも僕らは知恵を絞り生き抜いてきたのだ。ヤツらは何も変わってなどいない。景気が悪くなれば、同じことをやるに決まっている。僕らはそれを確信している。

これを読んでいる貴方がまだ就職活動のさなかであったなら、この記事で書いてあることは「ふーん」ぐらいに読み飛ばしてもらっていい。いまある目標に向かって邁進するのが正しいと思う。僕がこれから書く記事の真の読者は就職活動で精一杯頑張ったにもかかわらず望む結果を得られなかった若者たち。つまり、君だ。

君たちは深く傷ついて絶望しているかもしれない。自尊心を打ち砕かれて生きる力が湧いてこないかもしれない。もしかして自ら死ぬことすら考えている人もいるかもしれない。そんな人にこそこの記事は見て欲しい。

まずはお疲れ様と言おう

就活お疲れ様。これを読んでいる君がいまどんな状況にあるかわからないけれど、一つの区切りが着いたのだとしたら、それが望まない結果になったのだとしてもまずはお疲れ様と言いたい。

僕らにはその当たり前の一言すらいってくれる人がいなかったのだ。もしかして、君たちもそうなのかもしれない。僕らはその辛さを前にして素通りなんかできない。

お疲れ様。よく頑張った。力一杯やったよね。焦りや力不足に悩んだ日々だったと思うよ。決まっていく仲間や親や年長者から心無い言葉を受けたことがあったと思う。君たちの自尊心はいま深く傷ついているに違いない。

疲れ果てた今の貴方に必要なこと。それはまずは休養だ。疲れている時に新しいことをはじめてもうまくはいかない。まずはしっかり休んで。休みながらでいい、この言葉が貴方の慰めになるなら嬉しい。

就活の失敗は君の力不足のせいではない

僕ら氷河期世代が20年生きてきて痛感しているのことは、いまの日本企業に人の能力を測る力はまったくないということ。成果主義と言っている企業ほど成果を見ていない。自社にとってどんな能力が必要なのか、それをキッチリ定義して採用活動をしている企業など実のところ皆無なのだ。

ある人事担当経験者が言っていた。君たちの書いた小論文やPRの類いのアレ。実は採用者は全く見ていない。君たちが心血を注ぎこんで何度も推敲したであろうあの魂を込めた君の文章。それをヤツらは見てもいない。そのことを君たちは許せるだろうか?

いいんだ。許さなくていい。

日本企業は平成の三十年間敗北し続けてきた。30年前、平成が始まった頃。日本製品は世界を席巻していた。ジャパン・アズ・ナンバーワンなんて言われてた。信じられるだろうか?それが今やどうだ。みる影もない。

世界での負け犬企業たちに採用されなかったところで、君たちの価値がなくなるわけでは無い。そもそも日本企業にまともに人を評価するノウハウがあったなら、それだけの長期の間、負け続けることができるはずがない。資源のないこの国で人に対する投資を怠ってきたからこそこれだけ負け続けられたといえる。外に出て敗北し、その敗北の責任を戻ってきてまだ働いてもいない就活生に負わせる。氷河期世代というのはそういう構造で出来上がっていたのだ。それを30年続けることで日本企業は人を正当に評価して正当に働いてもらう、という当たり前の感覚を失ってしまった。

だから君たちの能力はまだ何も証明されてはいない。今の結果に何も恥じ入ることはない。

就活を終えたばかりの新人が陥る病がある。

それは就活のために吐いた言葉に自己洗脳をしてしまうこと。素晴らしい未来ややりがいのある仕事。社会への貢献。そういった言葉ををいくつも口にしてきたと思う。それらに価値があるのは間違いないけれど、それが手に入らなかったからといって君たちに価値がなくなるわけではない。知らず知らずにかけていた自分への洗脳。それはもう解いていい。いったんそれを解いて本当の自分を見直そう。

もし君がいま能力不足を実感して力の無さから自尊心を失ってしまっているとしたら、二つ考えてみてほしいことがある。

ひとつ目。その力は正しく評価された結果あろうか。正しくというのはフェアに客観的に、ということだ。

ふたつ目。そもそもその力は君が持つべき力だったのだろうか。新人の君に過剰な戦力期待をされていなかっただろうか。誰かの尻拭いを新人に押し付けられてはいなかっただろうか。

コロナのせいで採用枠が減ったのは君たちの責任だろうか?否である。ただ運が悪かっただけだ。

過剰な能力を要求されて答えられなかったことは君たちの落ち度だろうか?否である。企業は落とす口実を探していただけだ。それを君たちに責任転嫁しただけだ。

そんな理不尽に傷つけられた新氷河期の皆さんに、提案したいサバイブ術がある。いや、これは新だけではない。旧氷河期の人にもきっと何かの役に立つと信じている。

雇ってくれる会社がないなら、作ればいいじゃない!

そんな思いで会社を作った男がいた。その名は野比のび太。ご存知なんの取り柄もない猫型ロボットの助けがなければなんにもできないあの彼だ。無論、フィクションのはなしである。しかし、侮るなかれ。この方法論にはリアル氷河期を生きる知恵が詰まっている。名付けて・・・

のび太くん起業のススメ!

行き場を失った君たちよ。ブラック企業や派遣会社で奴隷労働に落ちるくらいなら、会社を作るのだ!

志?必要ない。生きる意思だけあればいい。

スキル?必要ない。なくても会社は作れる。

人望?一人の会社にそんなもんいるか。

お金?それはちょっとは必要だ。最低1円。できれば10万くらいはあったほうがいいけど。だけど、そんなもんだ。

それだけで貴方はいきなり社長として社会人のキャリアをスタートできる!

そのことのメリットはただ見栄を切れる、居場所がある、というだけではないのだ。

でも、紙面の都合もある。そのメリットについては次回にしよう。まずはゆっくり心を休めてほしい。エネルギーが溜まる頃、次回にもぜひ顔を出して欲しい。

これは決して得られなかった言葉

君たちに掛けた労いや激励の言葉。それは二十ン年前、僕らが掛けてほしくても誰からも掛けてもらえなかった言葉でもある。その言葉を得られずに命を断った仲間を知っている。

だから僕らは君たちにその言葉をかける。それはかつての僕ら自身にかける言葉でもある。これは僕らの癒しでもあるのだ。


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