細見美術館古香庵 「数寄がたり」新春寿ぎ茶会

こんばんは。
この週末はお茶会に参加しに、はるばる京都へ行ってきました。

京都駅

先週は10年に1度といわれる寒波到来。この冬でとても寒い1週間で、新幹線が雪のために数時間立ち往生といったニュースが流れ、無事に行けるか不安でしたが、なんとか参加することができました。

茶会の会場は左京区にある細見美術館の茶室・古香庵。この美術館の館長が、去年1月から丸一年間、茶道雑誌『淡交』に「数寄がたり」をテーマに寄稿をされていて、今回はその集大成として開かれた茶会です。

新幹線移動中は、日ごろの睡眠不足により、先生の隣でまさかの爆睡。
眠りから覚めた頃には名古屋を通過していて、車窓には銀世界が広がっていました。

京都駅からはタクシーで会場入り。道中、東山方面の山々や、鴨川沿いに並ぶ町屋の屋根には、うっすらと雪が残っているのが見えました。

美術館には予定時間前に無事到着。
受付を済ませ、定刻まで先生と一緒に館内の展示物を鑑賞しました。
ペースは全然合いませんが、それでも先生と美術館巡りをするのが好きです。先生の世界観での作品のお話が、とても面白いのだ。
この美術館のコレクションの多くは、現館長のお父さま、おじいさま(いずれも古香庵というお名前)が集めたもの。
この日は伊藤若冲、鈴木其一、酒井抱一をはじめとした江戸時代の絵画と、特別展示として「数寄がたり」をテーマにお茶道具を中心としたコレクションが展示されていました。

館内

絵画展はかわいらしい・勇ましい動物が描かれたものから金箔に花が描かれた屏風絵など、30点ほど展示されていました。

特に縁起のよいとされる鶏の絵がいくつか並んでいたのですが、描く人、また同じ人でも描いた年代によって雰囲気が変わっているのが印象に残りました。

館内に、鶏!

数寄がたりの特別展では、古香庵が集めた重要文化財指定の茶釜をはじめ、香合やお茶碗、それに豊臣秀吉直筆の手紙(巻物な)などが20点ほど。

作品も見ごたえがありましたが、美術館の展示室は独立していて、縦に連なっているようなユニークな構造で面白かったです。

定刻前に集合場所であるミュージアムショップの入り口前でスタンバイ。
今回はおひとりでのご参加が何人かいらっしゃいました。茶室へ案内されるまでの間、近くの方と雑談をしていたのですが(先生が)、私たちと同じく地方出身の方が多かった印象。

定刻になり、案内を受けながらお茶室へ。
私たちの席では、私のお茶の先生が正客を務めることになりました。それはつまり、付人の私が次客を務めることになります。
そしてそれはつまり、多分、美術館に飾ってある茶碗でお茶をいただくことを意味します。
こんな経験、生きているうちにもめったにありません! 
高まる感情を抑えながら、いざ茶席へ。

古香庵の出入口から。うっすら雪化粧


まずは床の間を拝見。床の間には、2022年1月号に掲載されている掛軸が掛けられていました。赤い太陽と松竹梅、鶯の組み合わせが正月にぴったりでとても華やか。
これは鈴木其一の作品で、梅の枝の絵が掛け軸から掛け軸にかける絵にはみ出して描かれています。これは当時は斬新な書き方だそう。また、正月におなじみの細い柳を丸めた飾りと三番叟が飾られていました。

席入りが終わった後に、館長さんのごあいさつ。館長はとても気さくな感じの方でした。茶席には業躰さんが半東として控えていらっしゃって、お点前の間、私たちにいろんな話をしてくださいました。

そして濃茶と続き薄茶を点ててくださったご亭主。色白で、振袖のような着物が似合う美人な方でした。そして特徴的だったのが彼女の髪型。
明治や大正時代の女性によくみかける、顔周りをふっくらさせたまとめ髪(庇髪というらしい)のような感じ。
その方のお点前のしぐさがとても美しくて、業鄭の話は馬耳東風(おい)、お点前という演技(?!)の芸術性を感じました。

正客と次客のお茶は亭主が点てます。
そして業躰さんがそのお茶を運びます。
畏れ多くて、飲めた心地せず……。
拝見の頃には足が冷え切っていたためいつもにまして痺れて動かず、恥ずかしかったです。

茶会の後は、学芸員から作品の解説を聞きながら美術鑑賞。

その後、付属のカフェに移動し、三友居さんの点心をいただきました。
点心席では今回、集合場所でお話しし、三客になった方と相席で食事をいただきました。
その方とはもちろん初対面ですが、先生と今日の茶道具やお互いのお茶との付き合い方、お茶にまつわる企画展情報などについて話を咲かせていたのですが、私は語れる知識も経験もなく、聞くだけで精一杯。 
こういうところでも、誰とでも話ができるようになりたいものです。

私くらいの年代やそれ以下の若い方を見かけませんでした。先生は、他の人からは若い人がいてうらやましい、とよく言われていました。
正直、会費は高いし、先生がいないと分からない暗黙のルールのようなものもあるしなぁ。
コスパ重視のY、Z世代にとっては受け入れ難いものがたくさんあるように思います。

食事の後は自由解散。私たちは再び美術館に戻り、改めてじっくり作品を愛でました。

さて、今年の愉しみのひとつが終わってしまいましたが(早い)、とても素晴らしい経験に感謝です。
先生が仰ることばを真似すれば、またいつか、お茶道具や作品たちと再会できる日を楽しみにしています。

今年はいよいよ、家元に私や他の生徒さんのお茶名の申請をしてくださるなんて話をチラッと伺いました。
お茶のお稽古も、みんなに感動を与えられるよう⁈、コツコツ頑張ろうと思います。

京都駅

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